知っておきたい!リウマチ患者の口腔内に表れる症状
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皆さんは「リウマチ」についてどれくらい理解していますか?「高齢者に多い病気」「関節が痛い病気」などざっくりとしたイメージをお持ちの方も少なくないはずです。
リウマチの発症年齢は30~50歳代が最も多いとされており、歯科衛生士がリウマチ患者の対応をする可能性も大いにあります。リウマチについて理解を深めておくと、患者さん一人ひとりに合ったアプローチを行えるよう、今回は歯科での対応方法について解説します。
この記事のポイントは以下の通りです。
- リウマチは免疫システムに異常をきたし、自分自身の組織を攻撃する自己免疫疾患である
- 発症する年齢は30~50歳がピークとなり女性に多い
- 口腔内の変化は、開口障害、不正咬合、口腔内の乾燥、う蝕や歯周病のリスクの増大などが挙げられる
- リウマチと歯周病はポルフィロモナスジンジバリス(Pg菌)が関係している
- リウマチ患者の対応は関節症状や心身の状況に配慮して患者さん一人ひとりに合ったアプローチが必要
リウマチとは、本来自分の体を守るはずの免疫システムに異常が起こり、免疫システムが自分自身の組織を攻撃する自己免疫疾患の一つです。「関節リウマチ」とも呼ばれているため関節に異常が起きると思われがちですが、異常がおこる部位は関節の周囲にある「滑膜」という部位です。免疫システムの異常により滑膜を異物とみなし、攻撃することで炎症性物質(サイトカイン)が増加します。これにより炎症が起こり、痛みや腫れを生じるのです。そのままにしておくと骨や軟骨が破壊されて関節や骨が変形し、元の状態に戻らなくなります。
自己免疫疾患は体質や細菌感染、ウイルス、ストレス、出産などがきっかけで発症するとされていますが、いまだ明確な原因は分かっていません。
リウマチの症状として、以下のような部位の関節で痛みを生じます。
- 手の指
- 足の指
- 肩
- ひじ
- 股関節
- ひざ
- 足首
なお関節以外にも症状の出ることがあり、微熱や倦怠感、肺障害などが挙げられます。
リウマチの罹患率は人口の0.6~1.0%、患者数は全国でおおよそ60~100万人と推定されています。発症する年齢は30~50歳がピークとなっており、女性に多い傾向にあります。
リウマチの検査は主に血液検査、尿検査、X線写真を組み合わせて行うことが多いです。
一見するとリウマチと歯科は関係のないように思えますが、リウマチ患者は口腔内に以下のような症状の現れることがあります。
- 開口障害
- 不正咬合
- 口腔内の乾燥
- う蝕や歯周病
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リウマチが進行すると顎に痛みを生じたり開口障害が起きたりします。開口障害の主な症状としては口を3cm以上開けることができない、一時的に口を閉じることができないなどが挙げられます。
顎関節が変形することにより口腔内の筋肉が異常に緊張し、開咬や上顎前突の起こることがあります。
リウマチ患者の約20%がシェーグレン症候群をも発症するといわれています。シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、ドライアイやドライマウスを引き起こす病気です。
手の痛みや顎の痛みで口を開けられないことにより、歯磨きが不十分になることが考えられます。口腔内の清掃不良になるとう蝕や歯周病のリスクが増大します。
次回は、歯周病とリウマチの関係やリウマチ患者の対応についてご説明いたします。
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