知っていますか?歯周病とリウマチの関係
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リウマチ患者は歯周病に罹患しやすい傾向にあります。リウマチを引き起こす原因の一つにポルフィロモナスジンジバリス(以下Pg菌)が関与しているとされ、Pg菌は歯周病を引き起こす細菌の一つであるからです。
Pg菌は「シトルリン化酵素」と呼ばれるものを分泌し、周囲のたんぱく質を「シトルリン化蛋白」に変えてしまいます。シトルリン化蛋白は通常体内で作られることはあまりありません。そのため体内では異物と認識され、免疫細胞が動き抗体を作ります。この抗体は「抗CCP抗体(抗シトルリン化蛋白抗体)」と呼ばれています。
抗CCP抗体はリウマチを診断する血液検査の項目の一つでもあります。リウマチ患者の血中から抗CCP抗体が検出される機会が多いことから、リウマチと歯周病との連性が疑われています。また抗CCP抗体の値が高いリウマチ患者は、関節破壊が進行しやすい傾向にあります。
歯科衛生士はリウマチ患者にどのようにアプローチしたら良いのでしょうか。以下の点に留意しながら診療にあたるようにしましょう。
リウマチを患っている患者さんは、全身に起こる強い痛みやその痛みによる疲労感、身体状態の悪化により、身体的にも精神的にも感じていることでしょう。まずは関節の痛み、心身の状態に配慮することが大切です。
リウマチ患者の常用薬は、非ステロイド性抗炎症薬と抗リウマチ薬の2種類に分けられます。特に後者を服用している方は免疫が下がり、細菌感染を起こしやすいといえます。そのため歯周病が進行しやすかったり、口腔カンジダを発症したりする可能性があります。
またリウマチの治療で用いられるメトトレキサートは、リンパ増殖性疾患の原因となることが分かっています。これが歯肉に生じると歯肉の変色や口内炎、出血を起こすことがあるため、常用薬は必ず確認しておきましょう。
前章でリウマチと歯周病は関連性があると説明しました。ただ患者さんは歯周病とリウマチの関連性について詳しくないことも多いです。定期的な検診を怠らないようにするためにも、しっかりと説明しておきましょう。
例えば手の痛みが強く、歯磨きが上手くできない方には電動歯ブラシを勧めます。また常用薬の副作用で口腔内が乾燥しがちな患者さんには、うがい薬や保湿ジェルの提案をすることができます。このように患者さんの状態に応じて口腔衛生指導を行えるようにしておくことが大切です。
リウマチ患者が来院しても、焦らずに丁寧にサポートできるようになると良いですね。
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