ネオス・インプラント デジタルソリューション
今号では、東京都でご開業の西新宿歯科クリニック 理事長の草間 幸夫先生よりユーザーレビューをご紹介いたします。
数あるインプラントシステムの中から導入システムを選択する基準として、(1)フィクスチャーの外形、表面性状、親水性、Type4純チタンであること、頑丈なこと、(2)補綴の選択肢が豊富で、コネクションが精確かつ堅固であること、(3)システムの供給企業に継続性があり長期的に部品が供給されること、などが挙げられるが、近年ではこれに(4)デジタルソリューションへの対応ができる、ということも含まれると考えている。
これらの選択基準の中で、ネオス・インプラントが他のシステムに比べて特に優れている点は(1)のフィクスチャーの優位性と(2)の独自の堅固で精度の高いコネクションである。
30年来使用してきたメジャーメーカーの幾つかのフィクスチャーに比べ遜色がないばかりでなく、より強い初期固定の獲得や血液の濡れ性状、またコネクションのカッチリ感は価格で比較しても上回ると感じている。
30年来使用してきたメジャーメーカーの幾つかのフィクスチャーに比べ遜色がないばかりでなく、より強い初期固定の獲得や血液の濡れ性状、またコネクションのカッチリ感は価格で比較しても上回ると感じている。
またデジタル印象に必要なScan-post※やCAD/CAMで製作されるオールセラミックのメゾストラクチャーに接着されるTitan-base※などがリリースされており、CTとCAD/CAMのコラボレーションによる埋入シミュレーションから、サージカルガイドの製作、そしてCAD/CAMによる上部構造の製作が可能となっており、今後活発になるインプラントデジタルソリューションにも期待されるシステムであると感じた。
今回はネオス・インプラントを使用したデジタルソリューションについて考察を行いたい。
今回はネオス・インプラントを使用したデジタルソリューションについて考察を行いたい。
ネオス・インプラント デジタルソリューション
患者は56歳男性、#13の欠損へのインプラントによる補綴を 希望していた。
イントラオーラルスキャナーにより欠損部を撮影して、3Dモデルを構築する。
欠損部に対合歯や臨在歯と調和した上部構造のデザインプロポーザルが作成された。
CADのレストレーション・イメージ双方のデータをCTにインストールするためのデータ(.ssiデータ)に変換してエクスポートを行う。
CTにCADデータをインポートする。
CADデータとCTデータがマッチングされた。
Ness proactive φ4.0,11mmを選択。
隣在歯や骨、補綴軸に配慮して埋入のポジションを決定する。
埋入ポジションを確定しガイドスリーブの選択と深度設定を行う。シミュレーションが完了したらデータを.dxdデータで書き出す。
.dxdデータをCAMソフトにインストールしてガイドの外形設定を 行う。
完成したサージカルガイドデザイン。
ミリングマシンでPMMAディスクからガイド本体を削り出して完成。
サージカルガイドにスプーンキー(スリーブ)をセットしてドリリングを行う。φ2.2からφ3.6までキーを差し替えて拡大する。
埋入窩の形成が完了したら埋入を行う、血液がフィクスチャーに 沿って上昇する様子から親水性の良さが分かる。
埋入トルクは中途から急に増加する。
プランニング時のポジションと、埋入後のポジションの整合性は高い。
6週間の免荷期間を経てリエントリーを行う。
既存骨に埋入したケースではそれ以上の免荷期間の延長は経験したことがない。
装着するNeoss用のScan-post※(左)とScan-body (右)滅菌処理されている。
フィクスチャーにScan-post※とScan-body を装着する。
Scan-body をイントラオーラルスキャナーで撮影して3Dデータを構築する。
CAD上でTitan-base※に接着して完成させるセラミックのメゾストラクチャーを設計する、今回はアクセスホールが唇面にやや出ているので、アバットメントとクラウンのマルチレイヤーとして設計し、すぐにミリングとZirconiaのシンタリングを行う。
Neoss用Titan-base※のナローType、浅め埋入用のワイドTypeも選択できる。
Titan-base※の上部を50μmのアルミナ粒径で0.4barの圧力でサンドブラストを行う。
inCoris Zir-meso(DentsplySirona)のメゾストラクチャーの内面には27μmのアルミナ粒径で0.2barの圧力でサンドブラストを行う。
Titan-base※の上部にリン酸エステル系モノマー配合のMonobondplusを塗布。
Zirconiaのメゾストラクチャーの内面にもMonobond-plusを塗布。
Multilink Hybrid-abutment HOをTitan-base※の上部に少量塗布する。
メゾストラクチャーを圧接する。
余剰セメントを拭き取り、このセメントは化学重合なので硬化時間まで圧接を維持する。
適合性度が非常に良い(w:5μm d:10μm)がセメント層を研磨して完成。
プロビジョナルクラウンはPMMAのTerioCADをミリングした。
2次オペ当日に最終のアバットメントとPLVをセットした。
製作時間は2時間だが、これ以降上部構造の脱着はしないで済む。
同ケース咬合面観、歯列と調和している。
この後歯肉の落ち着きを待ち、アバットメントを修正形成してから最終クラウンを完成させる。
西新宿歯科クリニック 理事長 草間 幸夫 先生 |
1991年 医療法人社団 研整会 西新宿歯科クリニック開設 SIRONA Japan インストラクター Ivoclar vivadent アジアン・オピニオンリーダー 日本臨床歯科CADCAM学会(旧JSCAD)会長 日本デジタル歯科学会 理事 日本口腔インプラント学会会員 専門医 |
■バックナンバー
▶第1回:ネオス・インプラントとは
▶第2回:ネオス・インプラントの上顎小臼歯部への応用
▶第3回:欧米で急速にシェアを伸ばしたネオス・インプラントとは
▶第4回:ネオス・インプラントが強固なリムーバルトルクを得られる理由
▶第5回:ネオス・インプラントを使用した抜歯即時インプラント
▶第6回:ネオス・インプラント デジタルソリューション
▶第7回:ネオス・インプラントの審美領域への応用
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