特別講演 『法医学から見たデジタル情報の今と未来』

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既報のとおり第4回日本歯科CAD/CAM学会学術大会(大会長:宮﨑 隆 昭和大学歯学部歯科保存学講座歯科理工学部門教授)が4月20日(土)・21日(日)、昭和大学旗の台校舎4号館で(東京都品川区)開かれ、20日に、総会・開会式が行われた。

 

今回のテーマはデジタルデンティストリーがもたらす歯科医療の未来。

 

東京都歯科医師会、日本歯学系学会協議会 、人日本歯科技工士会、全国歯科技工士教育協議会が後援した。

20日に特別講演 『法医学から見たデジタル情報の今と未来』(講師) 小室 歳信(日本大学)行われた。

 

 

 特別講演 『法医学から見たデジタル情報の今と未来』(講師) 小室 歳信(日本大学 法医学教授)

これまでに、わが国は多くの大規模災害に遭遇し、数多くの貴い生命を失ってきた。

大規模災害時は、平時の事案とは異なって犠牲者の地元確認が最優先される。

その際、三種の神器として挙げられるのが、指紋、DNAおよび歯科所見である。

このなかで最も信頼性の高い手段は万人不同・終生不変の二大特徴を有する指紋の照合である。

遺留指紋と12〜13箇所の特徴点が一致すれば、本人と特定することができる。

また、DNA型鑑定は常染色体上の15在位の型検査によって4兆6000億人から1人を特定することができるまでの大規模災害において犠牲者の身元確認がされてこられたのは、対照資料を入手できたことが最大の要因である。

しかし、東日本大震災では大津波が家屋を倒壊・流失させたために、家具(潜在指紋)やヘアブラシ(毛髪)あるいは歯ブラシ(粘膜上皮等)などは消滅したことで照合は難渋した。

歯科所見も同様に、歯科診療所等が流出したために診療情報の入手は困難を極めた。

診療所の建っていた周辺を捜索してカルテやPCが見つかると、それを修復して情報を得た。

隣町や隣県で受診していることが分かると充分な情報を得ることができたのである。

 歯科所見は32歯について「あり」「なし」の2分類しただけで43億通りに分類される。

日本の総人口は1億2000万人程であり、2分類だけで理論上は充分である。

東日本大震災では「健全歯」「部分冠」「全部冠」「欠損」「情報なし」と5分類し、生前・死後それぞれの歯科所見(デンタルチャート)をスクーリニングにかけて身元を確認している。

政府は日本が地震大国であることを憂慮し、診療情報のディザスタリカバリやデータベース化に本腰を入れ始めた。

これを機に、歯科法医学のデジタル化が加速する気配である。

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