外科画像領域の世界市場3300億円の20のシェア獲得を

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「外科分野でイノベーション」 ソニーとオリンパス

医療機器合弁スタート、外科画像領域に力化学工業日報 4月18日 配信

 「外科医療の分野でイノベーションを起こしていきたい」。

16日に開かれた「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」の設立会見で、新会社社長に就任する勝本徹ソニー業務執行役員は高らかに宣言した。

ソニーの画像技術とオリンパスの内視鏡技術を融合し、3D(立体)内視鏡や4K技術を搭載した高解像度内視鏡システムなどを開発していく方針。

2020年には外科画像領域の世界市場3300億円のうち20%のシェア獲得を目指す。

 ソニーにとって新会社は、将来のコア領域に位置付ける医療事業を育成するうえで、戦略的な存在。オリンパスにとっても、今後の外科事業拡大のためにソニーの持つイメージャーやモニターなど画像技術を活用できるのは魅力的だ。

 新会社は、4K以上の解像度を持つ内視鏡や3D内視鏡などのハイエンド硬性鏡と、それに対応するモニター・記録装置など周辺機器の開発・製造のみが事業領域になる。

オリンパスの医療機器開発の拠点である八王子技術開発センター近くに本社を置き、開発・生産活動を行う方針。販売部隊も設けず、国内・海外ともにオリンパスの販売網を活用するという。

 4K、3Dの内視鏡を開発するには特殊なイメージャーが必要。イメージャーを外部から調達してきたオリンパスにとって、ソニーの最先端技術を活用できるメリットは大きい。3Dや4K内視鏡が完成しても、画像を映し出すモニターがなければ売れないからだ。

モニター開発は、テレビ事業を持たないオリンパスには投資負担が重く、自社開発が難しい分野の1つだった。また、手術支援ロボットが普及し始めた外科分野で、「AIBO」に代表されるソニーのロボット技術を活用して次世代品を開発することも、両社で合意している。

 ただ、今回の新会社設立で不思議に映るのは、ソニーが500億円出資という大きな犠牲を払い合弁設立までこぎつけながら、オリンパスの医療機器事業のノウハウを取り込みにくい事業形態になっていることだ。

 身体に負担の少ない内視鏡外科手術の普及にともない、硬性鏡システムや関連器具の市場が拡大している。

なかでも成長を牽引しているのは、超音波メスなどの使い捨てのエナジーデバイスで、オリンパスは昨年、世界初となる高周波と超音波のコンボ手術器具「サンダービート」を上市、順調にシェアを伸ばしている。同社にとって虎の子の事業ともいえるエナジーデバイスは、新会社の事業内容には含まれていない。

 また、医療機器ビジネスは技術だけで生き残れる世界ではない。機器を使う世界中の医師とのコネクション、機器の保守・管理サービス体制、営業マン一人ひとりの医学的知識などが不可欠で、オリンパスの医療機器事業の強さの源泉だ。

医療機器分野で知見を蓄積していきたいソニーにとって、新会社の製品販売を丸投げすることが賢明な判断といえるか疑問符がつく。

 逆にオリンパスは、ソニーとの協業で最先端のハイエンド硬性鏡システムを生み出すことができれば、世界中の手術室を自社/合弁社製品で独占できる可能性が出てくる。手術室をいち早く抑えることで、利幅の大きいエナジーデバイスやその他の外科用製品との販売面で相乗効果が期待できるだろう。

 新会社の主導権は今のところ、肝心なノウハウを明け渡していないオリンパスが握っているとうかがえる。

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