明日の診療に役立つ歯科医院の感染対策

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医療従事者の皮膚貫通時のHIV感染率は0.3%

   東京歯科保険医協会の医療安全研修会「明日の診療に役立つ歯科医院の感染対策」が1月13日、東京歯科保険医協会の会議室(東京・新宿区高田馬場)で開かれた。

講師は早川智さん(日本大学医学部病態病理系微生物学分野教授。

 司会は高山史年 経営・税務部長。

はじめに挨拶した森本主税副会長は、診療報酬改定にふれ、「2.09%は、1歯科医院25万点の2%出5万点の引き上げであり、焼け石に水だ。東京歯科保険医協会としては、最低でも10%以上の診療報酬改定を求めていた。過去10年のマイナス改定を取り戻すには不十分。今日の講演の感染症対策には、観血処置をともなう歯科医療では色々なコストがかかる。それには外来加算として点数は付いているが、ほとんど経費に見合っていない。今後、どのように点数が貼り付けられるが、これまで政治家の方々と懇談をしてきて結果が、2.09%の引き上げであった。平成12年は介護報酬との同時改定であり、これに向かって準備を含めて動いているので、先生がたは他人ごとだと思わないで、色々協力していただきたい。数は力だと民主党の小沢幹事長も言っている。署名活動も数が集まれば、威力を発揮するので是非、協力していただければと思う。今日の講演を明日の歯科診療に活かしていただきたい」と期待した。

ついて、司会者から、第3回会員交流会「返戻事例から対応を考える」(1月21日、北千住マルイビル11階)への案内があった。

「歯科医療安全講習会」

HIVとインフルエンザを中心に

早川智さん

(日本大学医学部病態病理系微生物学分野教授)

<講演主旨>

私は産婦人科医として、産婦人科学性感染症、周産期感染症などを研究してきている。

人間の体はおもしろくできていて、生体の防御は三段階である。

感染症は外からので、健康な皮膚、粘膜が防御の働きをしている。

1)   非特異的防御機構としての、皮膚、粘膜があり、そう簡単には感染症は起こさない。

また、リゾチームがあり防いでいる。食細胞としての白血球がある。

2)   自然免疫(特異的抗原認識が低い)補体、レクチン、TLR、NK細胞、胸腺外T細胞、NKT細胞など特異性は低いが、ここで防げないと感染する。

3)   獲得免疫(特異的な抗原認識)としてのT細胞、B−2細胞がある。

この生体の防御は三段階がある。

自然免疫は、抗原性とは関係ない、即座に応答する。

一方、獲得免疫は、抗原依存性である。効くまでの期間(潜伏期間)が必要だ。

自然免疫には、免疫学的記憶がないが、獲得免疫には免疫学的記憶がある。

医科と歯科は同じように、感染と免疫のバランスであり、免疫力が強ければ、感染は不成立となる。

免疫が極端に低下していると日和見感染をする。

では免疫を活性化すれば良いのか?

アガリスク、ローヤルゼリーなどが宣伝され、「これで私はがんが治った」などと人を惑わすようなこともなされている。

インフルエンザに絶対に罹らない人もいる。

みんな同じ遺伝子をもっているわけではなく、なかには過剰に反応する人もいる。

感染にともなう組織の過剰破壊であり、アレルギーがその典型だ。

人は環境の変改に適応してきた。

また、微生物との絶え間ない競争をしてきた。

しかし、人間より微生物の世代時間はるかに短く、迅速な変異をとげてきている。

免疫応答には、有益な反応として、侵入者からの防御、変異した自己の排除する働きがある。

一方、不都合な反応として、不愉快な炎症反応と組織の破壊がある。自己また自己組織の障害がある。

学生にも常に話してきているは、人の皮膚や粘膜は多くの微生物に覆われている。

しかし、そのなかで病原性のあるものはその一部にすぎない。

すべての微生物は機会が複製をする。

微生物が宿主に進入しようとすれば、宿主は反応する。

防御反応は感染症の病態形成に関わる。

過剰な炎症反応は宿主を傷害する。

防御反応が弱ければ、日和見感染が成立する。

宿主の免疫応答は二つに大別できる。

非特異的防御系の自然免疫であり、非常に多くのメカニズムがある。

一方の獲得免疫系は、VDJ再構成による特異的応答をする。

病態が宿主に侵入すると遺伝的感受性、抵抗性免疫機構(自然免疫・獲得免疫)が防御する。

菌の排除(殺菌、静菌)不顕性感染と病変形成、急性炎症、慢性炎症に分かれる。

感染症の発生率であるが、カリニ肺炎は0.1%以下だ。

ポリオ(小児麻痺)は0.1%〜1%。

結核は10%、インフルエンザ60%、百日咳・腸チフス・マラリア・炭疽90%以上、淋菌感染症・麻疹(はしか)・狂犬病99%。

HIV/AIDSは、1981年、米国で新たな免疫不全症として報告されたが、私の学生時代であり、とんでもない感染症が出てきたとおどろいた。

その後、HIVの分子構造が明らかになったので、治療法も開発されると考えられたが、20年経っても治療法はなかった。

HIVは患者さんも感染していることを言わないので、注意すべきであるが、対応が不十分であるとHIVではないが感染を起こす。

眼科のレーザー治療で、角膜が感染した例もある。

我々の研究分野であるが、HIVの有効な予防ワクチンはまだない。

(以下、HIVの構造、エイズの症状、HIVの感染経路、エイズの診断の話があった)

HIVの感染ソースとして、血液が最も危険だ。

精液、膣分泌物も感染性がある。

脳脊髄液、関節液、胸水、腹水、心襄液、羊水は潜在的に感染力がある。

糞便、鼻水、唾液、痰、汗、涙、尿、吐物、これらは血液を含まなければ感染性は非常に低い。

暴露は、針刺し事故や鋭利なによる損傷、粘膜や正常ではない皮膚(あかぎれをしたり、擦りむけた皮膚炎のある皮膚に対して血液、組織、感染性のある体液が接触した場合をいう。

医療従事者の皮膚貫通時のHIV感染率は0.3%。

医療従事者の粘膜暴露時のHIV感染率は0.09%。

針刺し事故でより多くの血液に暴露した場合には、よりHIVに感染しやすい。

HVI陽性同性愛者のなかで、肛門挿入性交を行っており、このうち25%はコンドームを使用していなかった(アメリカでの2491名を対象としたインタビュー)。

(以下HIV母子感染、A型インフルエンザ、新型インフルエンザの話があった)

 

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