【会員限定公開記事】「ハードモードTBI」1Dセミナー イベントレポート

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【会員限定公開記事】「ハードモードTBI」1Dセミナー イベントレポート

▲オンラインセミナーの様子(講師:「井上 和」先生)

TBIの勘所を理解できるセミナー

2023年5月19日 (金) 、1D (ワンディー) 開催のオンラインセミナー「ハードモードTBI」が開催された。

セミナー講師は「井上 和」先生。東京都歯科医師会付属歯科衛生士学院卒業後、保健所や都内の歯科医院勤務を経て、フリーランスに転身し、全国の歯科医院でスタッフ向けセミナーやサポートを行っている。「ぶっちゃけK’s seminar」主宰者でもあり、書籍も出版されている(上画像)。
▲TBIの重要性を理解してくれない患者は多い(ハードモード)
「ハードモードTBI」講義目次
  • 歯を磨かない理由
  • 機能的に困難な場合の対応方法
  • 指導を聞き入れてもらえない場合の対応方法
  • 低年齢児・思春期への対応方法
  • シュガーコントロールとフッ化物応用
「歯を指導通りに磨いてくれない患者さんに悩んでいる」「シュガーコントロールを学んで臨床で実践したい」「患者とのコミュニケーションをより円滑にしたい」などで悩んでいる歯科衛生士の読者に特にお勧めしたいセミナー内容となっている。

本記事では「ハードモードTBI」オンラインセミナーで紹介された内容を3点ピックアップして紹介したい。

本記事が日常臨床で行う機会の多いTBIの知識を深める機会となれば、幸いである。
▲小窩裂溝は歯ブラシの毛先が届かない

ブラッシングのみでのう蝕予防は不十分

う蝕好発部位は小窩裂溝、歯間部、歯頸部の3箇所であり、その中で最もう蝕になりやすいのが小窩裂溝である。

小窩裂溝にはV型、U型、I型、IK型の4種類があり、上画像のように、極細毛の歯ブラシの毛先でも届かないため、歯ブラシだけではう蝕予防が不十分である(一方、歯頸部のプラークは歯ブラシだけでも除去が可能である)。

小窩裂溝う蝕を予防するためにはブラッシングだけでなく、砂糖の摂取量や頻度をコントロールし、フッ化物を正しく活用することが肝要である。
▲歯の重要性を伝えるために、時には厳しく接することも重要

どうしても磨かない人への対応方法

こちらが歯の大切さをどんなに説明しても理解してくれない、磨いてくれない患者さんに遭遇したことは誰もが一度は経験したことがあるのではないか。

多くの患者さんが歯周病で歯を失うことがあるのは理解しているが、歯周病により歯を喪失する詳しいメカニズムまでは理解していないことも多い。

歯周病になると歯を支える骨(歯槽骨・顎骨)が溶けて歯が動揺して最終的に抜けてしまうことなどを、まずはしっかりと説明して理解してもらうことが大切である。

しっかりと説明しても「分かっているのですが、時間がなくて中々磨けなくて」と言い訳をする患者さんもいる。言い訳をして実践しない患者さんには「時間が無くて磨けないのであれば、ご自身が必要だと思っている歯だけしっかりと磨いてください」など、患者さんのために時には厳しく接することも大切である。

また、高齢者の患者さんに歯の重要性を説明をした際に「もうじき死ぬからそんなに磨かなくても大丈夫だよ〜」と言われた場合などは、定期的にクリーニングを受けてもらえるように一旦お願いして、次回来院時に患者さんの健康レベルを上げる機会を狙うのがポイントである。
▲麻痺のある患者さんには大きく振動する電動歯ブラシがおすすめ

身体障害者のブラッシングへの対応方法

手や腕に麻痺があり運動障害の認められる患者さんの場合、御本人にブラッシングのモチベーションがあっても上手く磨けないことが多い。

井上先生はセミナーの中で、はっきりと振動しているのが分かるタイプの電動歯ブラシを使用すると良いと述べていた。プラーク除去効果が高いことが最大のメリットだが、デメリットとして価格が高く2万円以上の製品も多いということである。

「年金暮らしをしているから、そんなに高い歯ブラシは購入する余裕がない」など、患者さんの経済事情によっては購入できない(時には言い訳される)ことも考えられるが、患者それぞれの価値観の違いもあるため購入するかしないかは患者さん次第である。
▲得た知識の中で良いので堂々と説明することが大切

「ハードモードTBI」受講後の振り返り

本セミナーを受講し、医療従事者側の歯の大切さに対する価値観を一方的に押し付けずに、各患者さんの望む健康をサポートするつもりでTBIを行い、TBIを通じて健康レベルを少しずつでも上げていくことが重要であるように感じた。

セミナーでは様々なシチュエーションにおけるTBIのポイントを井上先生が詳しく解説して下さった。本記事で紹介した内容はごく一部であるため、TBIの知識をより深めて日常臨床に活かしたい方は、1Dセミナー「ハードモードTBI」の視聴をぜひお勧めしたい。

1Dセミナー「ハードモードTBI」

本記事が読者のTBIの一助になれば、幸いである。
▲【1D掲載漫画】パパ活院長先生
「ハードモードTBI」を主催した1D(ワンディー)では歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の歯科医療従事者向け情報発信をしており、様々なテーマのセミナーがオンラインで定期開催されている。セミナー以外には3分でサクッと読める記事も掲載されている。

特に個人的にお勧めなのが、定期的に掲載されている「歯医者のゲーム」という連載漫画。歯科医療従事者の欲にまみれた人間模様が描かれており、パパ活をしている院長、ホストにはまる女性勤務医、ギャンブルなど金遣いの荒い男性勤務医が登場する。少し現実離れしたツッコミどころ満載の漫画である。

歯医者のゲーム第五話:関係

上記で紹介した漫画は1Dプレミアム会員(月額9,800円)でなくても閲覧は可能である。1Dプレミアム会員になると、一番の特典は今回紹介したようなオンラインセミナーが見放題となる。

プレミアム会員にならずにセミナーを受講すると12,800円の受講料がかかるため、今回紹介したセミナー以外にも検索して気になるセミナーがあれば、プレミアム会員に登録して視聴することをお勧めする。

実際にオンラインセミナーを受講している個人的な感想だが、振り返り視聴が可能なセミナーが多いので、当日多忙で受講できなかったとしても後で閲覧できるのが非常に嬉しい。

月額9,800円で1Dセミナー見放題「1Dプレミアム」

編集後記 香川の「歯ART美術館」へ

讃岐うどんや骨付鳥など名物で有名な香川県を訪問しました。香川県にはこんぴらさんを筆頭に栗林公園など有名な観光地が多々あります。その中で歯科関係者しか行かないのではないか?とつい思ってしまう「歯ART美術館」という場所があります。

中心部からのアクセスが悪く、高松駅からレンタカーを借りて約45分くらいで到着します。入れ歯やインプラントが中心に展示されており、特に回収した入れ歯(3億5000万円)の展示に圧倒されました(上画像・左上)。

歯ART美術館への道中には、うどんで有名な山田家や、四国八十八ヶ所でお遍路泣かせの八栗寺があります。どちらも車があればアクセスが楽なので、美術館の帰りにでもぜひ立ち寄ってみてくださいね!

歯ART美術館 HP

古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)

日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。イエテボリー大学歯学部 "Oscillation course" 修了。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。
主に、DentwaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問。離島歯科医療に従事後、本島で歯科臨床に従事する傍ら、記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の編集業務、企業コンサルタント、マウスピースの製品管理、オンライン診療などを個人事業主として行っている。

【筆者プロフィール】
https://saipon.jp/h/web_writing98765/2

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