歯科にも利用の可能性を感じる、リコーの全天球カメラ

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全天球カメラ「RICOH THETA」でワンショット360度パノラマ撮影を試す【後編】 誠 Biz.ID 2014年1月27日(月)15時51分配信 全天球カメラ「RICOH THETA」。側面にあるシャッターボタンを押すと、上下前後左右合計360度の全空間を2つのレンズで約180度ずつ分担して1度に撮影。画像処理でつなぎ合わせ、本体内部に1枚のパノラマ写真データとして保存する 周囲360度をシャッターボタン1つで撮影できる、リコーの全天球カメラ「RICOH THETA(リコー・シータ)」(以下、THETA)。2つの超広角レンズが搭載され、その形は従来のカメラとは大きく異なる。 ●仕事にも使えそう 前編で紹介したように、THETAは斬新でユニークな画像を撮影できるのが魅力のカメラだ。これをスナップショット用、SNS投稿用と捉えても面白いが、業務現場での活躍も期待できる。そこで後編では、ビジネスシーンのどんな用途に向いているかを考えてみた。 不動産業 不動産業では、販売物件をいかに魅力的に顧客に見せるかが重要になる。物件をTHETAで撮影して、臨場感や迫力のあるパノラマ写真で公開するというのはどうだろう。 旅行業、ホテル、レストランなどショップ 観光地の風景や施設の写真を、臨場感のあるパノラマで見せるのにもTHETAは向いている。 施設内の案内をパノラマ画面で 駅構内やホテル、商業施設、オフィスビル、商店街などでの道案内や施設案内にパノラマ画面を使うと、とても直感的で分かりやすい案内ができそうだ。特にsphereやGoogleマップとの組み合わせは、便利に使えそうだ。 今回はAdobe Photoshopを使い、THETAの画像ファイル(JPEG形式)に矢印や説明を入れてみた。実際にパノラマ画像として3つのサイトに登録したのでご覧いただこう。THETAの画像の水平部分に文字を入れると、パノラマ表示になったときにもあまり歪まないので、思ったより違和感を覚えずにすむようだ。 ・イベント業 展示会、セミナー、ワークショップ、コンサート、その他イベントでの様子をTHETAで撮影すれば、臨場感のあるPRができそうだ。すでに、スバルがモーターショーでのプロモーションに使った事例がある。 ・その他 THETAは、幅広い業種・業務で使えそうだ。例えば私のような執筆業の取材でも、現場で自分が気づかなかった点まで撮影できることがある。現場の様子を詳細に、そして具体的に思い出しながら記事を書くのにとても役に立ちそうだ。 またWeb上で見かけて驚いたのは、大きく開いた口にTHETAを入れて撮影した事例だ。照明等に工夫が必要だが、虫歯や治療の跡の状況がつぶさに分かるのがすごい。今回その写真の掲載は遠慮させていただいたが、まさに斬新な「視点」である。素人考えではあるが、歯科の診察にもTHETAは使えるのではないかと感じた。そして、アイデア次第で斬新な「視点」は他にもあるだろう。 ●スナップカメラとしてのTHETA 個人的には、THETAは気軽に撮影できるので、スナップ写真的な撮影にどんどん使うべきだと感じている。THETAはファインダーを覗いて構図を決める必要がない。つまり、取り出していつでもシャッターボタンを押せる。シンプルにそれだけで自分の周り360度が記録できる。面白いと思って撮ったのがつまらなかったり、逆に意外にも面白い写真が撮れたり、そんなことも新鮮で楽しいカメラである。 ただ、1つ撮影時に配慮したいことがある。THETAは普通のカメラとかなり印象が違う形状をしており、撮影スタイルも異なるので、ほかの誰からも気づかれずに撮影をすることができてしまう。くれぐれもマナーをわきまえて活用したいものである。 ●レンタルビジネスの薦め THETAの価格は4万円台とカメラとしてはやや高価。しかも特定のシーンで活躍するカメラであるから、残念ながら、誰にでも購入をお薦めできるような商品ではない。ユーザー側からすれば、特定のシーンを撮影する際に業者からレンタルできるとうれしい。 イベント会場や、ホテル、レストラン、ショップなどで来場・来店者に貸し出したらどうだろう。作品はWebに残せるし、後で画像ファイルを利用者にメールで送ってもらってもいい。ぜひ、今後レンタルができる仕組みが出てきてほしいと思う。 ●THETAは買いか? 今回テストしたTHETAは実は友人の所有物で、1カ月ほど借りたものだ。何しろ4万円台のカメラであり、全く新しいコンセプトの製品である。購入する価値があるか、慎重に見極めるつもりで借りて試してみた。 実際に使ってみてその価値があることが実感できたので、私個人としては「買い」と判断した。ただし、誰にでもとは今の段階ではいわないでおこう。やはり特殊なカメラである。使いこなしはそれほど難しくはないが、スマートフォンやタブレットとWi-Fiで接続したり、Facebookで共有したりといった手順を煩わしいと思わない、ある程度IT機器の扱いになれている人にお薦めしようと思う。 THETAはさまざまな業種で活用できる可能性を秘めている。ビジネスで利用する場合には、職場に1人、少しだけ詳しい人がいれば導入は難しくないと思う。撮影そのものは簡単だが、どの視点から撮影するか(シャッターを押すときにカメラをどこに置くか)に知恵を絞ることが大切だ。ときには三脚を使うなど、さまざまに工夫もしてほしい。 THETAが開拓したこの分野の写真撮影はまだまだ発展途上であり、知恵の絞り甲斐があるというものだ。本記事で紹介したsphereとの組み合わせや、Photoshopで文字や図形を追加するアイデアも、まだ入り口にすぎない。ぜひ新しいアイデアを考えて実行し、SNSなどで披露してほしい。 THETAのアイデアを最初に聞いたときには、こんなに面白い体験ができるとは全く予想できなかった。しかし実際に使ってみて、THETAの開く新しい可能性の大きさにとても驚いた。デジカメに、まだこんな楽しみ方があったのか、という感じだ。 近い将来、ボタンを押すと、スマートフォンの裏表のカメラが飛び出し、THETAのような魚眼レンズになる日が来るかもしれない。THETAが動画撮影にも対応したら、さらに面白いことになりそうだとも思う。THETAは、思わずそんな夢をみせてくれるような、ワクワクする製品である。 [鈴木啓一,Business Media 誠]
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