福井新聞 2013年12月5日9時30分
3カ月ほど前から口の中がひどく乾燥します。
歯科に通い、うがい薬や飲み薬を使っていますが治りません。
何か大きな病気が隠れているのではないかと心配です。
原因や改善法を教えてください。(福井市、79歳男性)
【お答えします】
高橋昇・福井総合クリニック・耳鼻咽喉科医長
◆多尿が原因になる場合もある!
重い疾患をご心配されているようですので、はじめに口渇(こうかつ)の原因となる全身的疾患から説明したいと思います。
まず、脱水になると口渇が認められます。
胃腸炎に伴う下痢や嘔吐(おうと)、高温やスポーツに伴う大量の発汗、水分の摂取不足が誘因となります。
重い疾患ではありますが、ご相談の症状の経過からは該当しないと思われます。
多尿によって口渇が認められる場合もあります。糖尿病、抗利尿ホルモンの異常による尿崩(にょうほう)症、高カルシウム血症や低カリウム血症などの電解質異常などが、原因として挙げられます。
糖尿病の場合に口渇が認められることは、一般的にも比較的知られています。
もしも思い当たることやご心配なことがあれば、内科などで相談されてはいかがでしょうか。
◆唾液の減少、口腔環境にも注意 !
その他、唾液の分泌減少が原因の場合もあります。
加齢による唾液腺の機能低下、薬剤の副作用、シェーグレン症候群と呼ばれる自己免疫性の慢性唾液腺炎などで唾液の分泌が減少します。
一般的に加齢変化と薬剤の副作用が多いと思われます。
シェーグレン症候群と放射線治療の副作用には、内服薬による唾液分泌の改善治療が適応となる場合があります。
それ以外の場合は根本的に治癒させる方法に乏しく、治療が難しい場合が多いです。
また、口腔(こうくう)環境の悪化も考えられます。
齲歯(うし)や歯肉炎などの歯科領域の疾患、咽喉頭逆流症(胃食道逆流症)などがあり、飲酒、喫煙、ポビドンヨード製剤のうがいの長期連用などの生活習慣にも注意が必要と思われます。
悪化の要因除去、アズレン製剤のうがい、空気の加湿やマスク着用、少量ずつこまめな水分摂取などが、症状を緩和する方法となります。
全身的疾患の可能性が除外された場合には、かかりつけ医と相談の上、口渇の原因に見合った適切な対処法を、根気よく継続してみてはいかがでしょうか。
記事提供
© Dentwave.com