老衰を遅らせるためには新たなタンパク質の合成を

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 情報代行業の立場で、第26回日本老年学会総会での断片的な知見を以下列記する。

1)生理的老衰の根本には、多くの代謝システムの恒常性維持機構の不具合、生体防御能力の減退、筋力の低下がある。

 いずれにもタンパク質が関わっている。 老衰の原因は分子レベルでみると、質的、量的低下、異常化に集約できると考えられる。 その原因を減らし、老衰を遅らせるためには異常分子の除去と遺伝子発現を介した新たなタンパク質の合成が必要である。 藤佐多良さん(順天堂大学大学院スポーツ健康医科学研究所)

2)最近、加齢医学の進歩により、生命の死は生物学的に積極的意味を保持していることが判りつつある。

 老衰はその自然な姿の表現であると考えられる。 人は60歳を過ぎるとメタボリック症候群は加速される。また、高次中枢機能荒廃の促進も観測される。 前者は生命を中断させるポテンシャルを有している。 これに対し後者の防御機構は、生命の中断を余儀なくしても、前者を要求する。生命の中断を経験しない時、老衰が認められる。 老衰はしたがって、前者を要求しない結果であると判断できる。 老衰とは、優れた高次中枢機能が全うされた結果として得られる独立した事象であると考えるべきである。 橋爪潔志さん(信州大学大学院医科学研究科加齢病態制御学)

3)年をとると「頭はかたくなる?」

 "頭がかたい"頑固、応用問題が苦手、規則に則る。 "頭がやわらかい"融通がきく、臨機応変、発想が豊かである。 思考には収束性思考と発散的思考の二つの型に区分される。収束性思考は、一つの答えを求めていく思考過程。一定の規則に従って思考をすすめる。 発散的思考は、いくつも答えがありうる思考過程。自由で柔軟な発想にそって思考が展開していくのである。 収束性思考は、より後部の脳機能。発散的思考は、より前部の脳機能と関係が深い。つまり、"頭がかたくなる"とは、前頭葉の保持ととらえることができる。 鹿島晴雄さん(慶應義塾大学医学部精神神経科学教室)

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