東京歯科保険医協 第1回政策研究会 から

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東京歯科保険医協会のまとめた「21世紀にふさわしい歯科医療改革提言」をもとに第1回政策研究会が9月28日、同協会会議室で開かれた。

歯科医師増問題を考えための政策研究会であり、南條芳久政策委員長が歯科医療改革提言について解説した。

このあと活発な質疑応答が行われ、最後にメディア関係者からの意見を求めた。

会場から、「歯科医療では、あたりまえのように混合診療が行われている。

インプラントを含めて、高額歯科医療を保険に入れてどうか、といことを時々耳にする。しかし、例えばインプラントが3万点になってしまうと、これまで30万円であったインプラントが高所得者は6万円で手に入るこことなるが、3割負担であるので低所得者は負担増から逆進性になってしまう」という指摘があった。

結局、「窓口負担が問題である」とした。

国民の目線から見れば、すべての歯科医療が保険で保証されること望ましい。

では、窓口負担ゼロとなったとき、歯科医療の改革はどのようになるのか?

このような問題も提起された。

会場の声の一つ。

「過去の歯の110番(歯科治療費のトラブルが多く起きてしまった1983年)が思い出されるが、その後は、受診抑制ともなった。

そこで今度、窓口負担をゼロにして、患者が歯科医院へ来るかどうかである」

また、中川勝洋会長が以下の意見を述べた。

 「今、医療費が払えている人が増えている。それなりの所得層でない払えなえない現状がある。

また、財源論が出てくると、当然、消費税の値上げという話題が出てくる。

その時に国民はどのような選択をするかだ。

今の3割負担のままで、国民が消費税の値上げを選択するかどうかだ。

消費税は上げるが、窓口負担を軽減してほしいという思いがあると思う。

その点について、国民の側から声を出すべきだという感じがしている。

窓口負担ゼロになったときには、事前の計画、それに対する承認、計画に基づく治療がそのなかに考えられる。

つまりもモラルハザードの問題が出てくるという考え方だ」

あた、会場の高橋英登さんの発言は以下である。

歯科は実は国民皆保険制度ではない、と思っている。

医科は大体、保険でカバーされているので国民皆保険制度に乗っていが、歯科は乗り切れていない。

一番、歯科医師が悩んでいること、困っていることは、現状の経済状況であり、全部保険に入れるとどのようなことが問題になるかである。

あるいは窓口負担をゼロにするなかで、受診者が増えるのか?

歯科医療費は伸びて、これまでの2兆5千億円から3兆円になることはないと思う。

患者は国民皆保険だと思って歯科医院に来る。

我々歯科医師は、最善、最良の歯科医療をしたいと思っている。

あたりまえのことを今の保険でやろうとするならば、当然、自費にいくほかないわけだ。

「保険ではでませんから、3万円いただきます」と言わなければならない。

いい医療をしようと思えば、そこが悩ましいところだ。

歯科医療は窓口負担が少し高いよ、というくらいですめばいいが、そうではない。

そこで、国民に対して、「今の歯科医療は国民皆保険制度に乗り切れておりません。いい治療をしたいと思えば思うほど我々歯科医師は保険とのギャップに悩んでいます」と国民に周知する。

国民が、「そうか歯科医療は国民皆保険制度に乗り切れていないのか」と思ってくれたらいい。

「そうなのか」と理解してくれる人と、「歯科医師は何をいっているんだ」と理解を示さない人がいる。

そのギャップが一番歯科を悩ませていることかな、と思っている。

歯科の現状を国民に周知させることが第1歩だ。

また、護送船団方式に乗ってしまっていることが問題だ。

「どうにか食わしてやるよ、保険制度がある限りは死にやしないよ」と国の護送船団方式に乗っている状態は、非常に歯科の立場を弱くしている。

護送船団方式それは甘いと思う。

一般企業ならとうに潰れている。

我々は大体普通のことをやっていれば、潰れない。

護送船団方式に甘えているように思われる。

例えば、私が夜間診療所をやっていたら、あるところからさんざ批難をされた。

「夜まで診療しないと食えないような、歯科の現状を容認しているのか」と言われた。

しかし、昼間働いていて、歯科診療所に来られない人もいる状況では、我々は苦労をしてでも夜間の診療をしてもいいと思う。

ある学校歯科医は、学校検診で小学校248名の児童で要治療永久歯はわずかに8本であった。

ところが、「我々歯科医師がすることはもうないのか」と思ったら、若年性歯周炎や顎関節症がものすごく多くなっている。

これまでとは疾病構造が変わってきているのだ。

そのような現状に、我々歯科医師が乗り切れていない部分あるかなと思っている。

潜在需要の掘り起こしを必死すべきで、それでもダメなら改めて方策を考えるべきだ。

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