東京新聞「歯形カルテDB化」記事報道 日歯は” 寝耳に水”&対応はこれから

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8月8日付の東京新聞朝刊「歯のカルテをDB化災害時、身元確認に活用 政府方針」の見出し記事が反響を呼んでいる。要旨は以下のとおり。「政府は7日、東日本大震災で亡くなった人の身元確認作業が難航しているのを教訓に、全国の歯科医師の協力を得て歯のカルテをデータベース(DB)化し、災害時の身元確認に活用する方針を固めた。今月中に厚生労働省や警察庁などの関係省庁、日本歯科医師会による研究会を新たに設け、具体的な態勢を詰める。構想では、患者から同意を得た上で、歯科医師がエックス線画像で撮影した歯の治療痕などをDB化。データはオンラインシステムを利用して日本歯科医師会に集約して保存すし、災害時に利用できるようにしておく。データの管理保全などの費用は政府が支援する。研究会では、個人情報保護の在り方について意見交換。現在、歯科医師がもっているデータと遺体の照合作業は歯科医師の負担が大きいとの意見もあるため政府が関与するかも議論する」としている。

当該関係者は困惑気味であるが、以来、厚生労働省、警察庁、内閣府などに情報源の確認等を取材したが、上條英之・厚労省歯科保健課長は「身元遺体確認作業という案件に絡むことですので、基本的には厚労省の所掌ではないと思います。ですから、この情報を厚労省から出すことはないです。警察ですかね」(8月8日)。また、警察庁広報室は、「本庁から出した情報かどうか、確認をしましたが、会見等などせず出していませんでした。政府は、と書いていますので内閣府も可能性があるし、東京新聞の記者独自のルートで確認し自社の了解を得て、新聞記事したかもしれない」(8月9日)と述べ、さらに、内閣府政府広報室では「広報室からの情報かどうか、調べていますが確認は取れません。どこからの情報なのですかね」というコメントが返ってきた。情報源は確認に至らず、東京新聞の記者が、独自のルートである程度の確認を得ての"記事"との指摘も同僚記者からの個人的意見との意見もあった。事実、同様内容の記事は東京新聞のみであり、他社になかったことから十分あり得ると推測されている。しかし、あくまで"政府"が主語の記事が1人歩きしている状況にも見えるが、今後は、「研究会の発足・委員構成」、「日歯関与のあり方」などが注目される。

日歯広報課でも「本当に、" 寝耳に水"です。DB化の話は以前からありましたが、今回のニュース源は、日歯ではないし困惑しています。何らかの相談・協力要請があるかと思っています。しばらく様子見の状態です」(8月10日)と現状認識を示していた。

歯科患者のDB化の議論は、一部では行われているが、今回の新聞記事のような"DB化"になると様々な課題があると、既に指摘されている。「どこかデータ管理するのか」、「どこまでのDB化を求めるのか」、「日歯が関与した場合の日歯会員・非会員への対応」、「警察のデータ管理への抵抗感」、「オンラインの整備」など。

歯科的個人識別については、青木孝文・東北大教授と小菅栄子氏(群馬県:篠原歯科医院、神奈川歯科大学)の協力による、口腔内X線画像の自動照合の実現と身元確認支援システム構築の可能性を検討されており、関係者からは早期の実現を期待されている。

 

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