根治治療における病巣感染の重要性 3)

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臓器別に進歩の現代医学 完全に欠落しているものがある

 

 

第31回日本歯内療法学術大会(中久木一乘大会長)が関東甲信越静支部会の共催で7月24、25の両日、東京・千代田区丸の内の東京商工会議所4階で開かれた。

テーマは、歯科治療の根幹Endoを熱く語る— Endoで大きく変えよう! —

  第31回日本歯内療法学術大会から

  

シンポジウム

「健康、機能を回復歯内療法」

 

 (敬称略)

座長:赤峰昭文(九州大学大学院歯学研究院教授)

  

木を見て森を見る医療の実践

(IgA腎症の根治治療からのヒント)

 

堀田修(IgA腎症の根治治療ネットワーク代表)

  

近年、医療の細分化が際限なく進み、感染症を代表する急性疾患において、医学の進歩が治療成績の向上に寄与していることを疑う余地はない。

しかし、慢性腎臓病、自己免疫疾患などの慢性疾患においては、医学、医療の細分化は疾患名の数と治療選択肢の増加をもたらした。

だが、必ずしも患者の幸福につながるような治療の革新に結びついているとは言い難い。

それゆえ現代医療はしばしば「木を見て森を見ず」と揶揄されている。

如何なる疾患においても、俯瞰すると根本的な「原因」と疾患の発症によってもたらさせる「結果」の二点が存在する。

そして、これら二つの点を結ぶ発症メカニズムである。

しかしながら、現在の臨床現場や新薬の開発でもっぱら注目されるのは二番目の点である「結果」。

つまり根本的「結果」ではなく、疾患の発症によってもたらされた「結果」に近い範囲にとどまり、疾患の根本原因が探求されることがない。

このためにさまざまな対症治療が生まれた。

慢性腎炎、慢性肝炎、クローン氏病、潰瘍性大腸炎、膠原病、関節リウマチ、喘息、アレルギー性鼻炎、乾癬、掌蹠膿疱症などの多くは難治性の慢性疾患であり、「対症治療」の目指すものは症状の軽減による

QOL(Quality of life、生活の質)の改善である。

あやまった生活、ストレス、口呼吸、喫煙、睡眠不足、冷飲食、化学物質などが慢性疾患の要因となっている。

交感神経が亢進状態となり、免疫が異常になる。

血流障害ともなり、慢性疾患が発症する。

歯科治療で使用されている充填物が上顎洞に迷入し、上顎洞炎となり、病巣か感染で液性免疫の以上から慢性腎症が発症した例もある。

慢性疾患における「対症治療」は原則として継続治療であり、その期間はしばしば生涯にわたる。

したがって、「対症治療」一辺倒の医療は「人生質」の観点からは患者にとっては必ずしも満足できるものではない。

そこで、可能であれば、疾患からの解放をもたらす「根治治療」が望まれる。

IgA腎症は慢性糸球体腎炎のうちで最も頻度の高い疾患であり、透析導入の主要な原因疾患の一つである。

IgA腎症は長い間、不治とみなされてきたため、その治療目的は降圧薬、ステロイド剤を中心とした、透析導入時期を遅らせる、腎症の進行の遅延であった。

ところがIgA腎症の根治治療である口蓋扁桃摘出術・ステロイドパルス併用療法の全国的な普及によりIgA腎症の治療は「腎症の進行の遅らせる」から早期の段階で治療介入を行い「腎症の寛解・治癒を目指す」に我が国パラダイムシフトした。

扁摘パルスの作用機序は扁摘により病巣感染の抗原を除去し、パルス(ステロイド大量療法)により腎症の発症をプログラムしているリンパ球をアポトーシス(プログラムされた細胞死 )に至らせ、免疫機能をリセットすることである。

なお、旧来の経口ステロイドの作用点は腎症発症機序の最下流である炎症部位での顆粒やマクロフアージ浸潤の抑制に限定されるが、根本治療を行うには発症機序の下流のみでなく上流を是正することが必須である。

多くの慢性、難治性疾患の発症機序の最上流には病巣感染が関与している。

病巣感染の中心は食物と空気の入り口であるしかと耳鼻咽喉科領域である。

中でも扁桃、歯周病、鼻咽喉炎(上咽頭炎)が重要である。

しかし、残念ながら病巣感染の二次疾患を引き起こすという考え方が臓器別に進歩した現代医学においては完全に欠落している。

根治治療における病巣感染の重要性についてIgA腎を例に解説する。

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