難易度高過ぎ!?現役歯科医師らが歯科医師国家試験に物申す

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みなさん、こんにちは!もうすぐ社会人3年目となるルーキー片岡です。
いよいよ第112回歯科医師国家試験の本番である2月3日(日)が近づいてきました。
近年の歯科医師国家試験は歯科以外の分野の知識も求められるため、問題の難易度も上がり、合格率が低下している傾向にあります。以下のとおり、20年前(1999年)と比較すると合格率が大きく低下していることが分かります。
歯科医師国家試験の合格率
昨年の第111回歯科医師国家試験の出題傾向と合格率は下記の記事からご覧ください。
⇒【特集記事】第111回歯科医師国家試験の総評と今後の展望
そこで、今回は約15~20年前に国家試験を通過した現役歯科医師が現在の国家試験に対してどのような印象を抱いているのか調査をしてきました。
難易度が上昇傾向にある現在の国家試験に現役歯科医師はどう思うのか?
早速、その調査結果を見ていきましょう!
回答者の年齢層
今回の調査では、回答者の約9割が40代以上の現役歯科医師でした。
20年前と比較すると大きく低下した合格率に対して、どのような印象を持っているのでしょうか?
現在の歯科医師国家試験の難易度についてどう思いますか?
「難しい」、「やや難しい」と回答した方が全体の81%でした。
やはり現役歯科医師も当時より難しいという印象を抱く人がほとんどのようです。
現在の歯科医師国家試験に合格する自信はありますか?
約7割が今の歯科医師国家試験に挑戦すると落第してしまうと回答しました。
なぜ今の国家試験に合格できないと感じたのでしょうか?
合格できないと回答した方に、その要因についても伺いました。

現在の歯科医師国家試験に「合格できない」と思う理由

より高度で実践的な知識を必要とするため、今、自分が学生だったら難しいと思う。


歯科医療にとどまらず、時事、医学的知識を問う問題や、在宅、摂食嚥下など問われる範囲が広がっているため。


卒業してから学べばいい問題が多過ぎで、学生には難し過ぎる。


合格基準点ではなく人数で切っているため。国試の出題のスタイルが当時とは違い過ぎる。


資格試験というより選抜試験になっているため。


歯科に直接関係ないような問題をA問題に並べているし、医師国家試験から問題を引っ張ってきたりしている。さらに、2,000人で足切りしていて、選抜試験となってしまっている。



このように、「合格が難しい理由」は大きく2つの理由に分かれました。

1つ目は、覚えなければいけない範囲が当時に比べて広過ぎるということです。
近年は口腔と全身の関係性の高さに関する研究も進み、歯科と医科は切り離せない関係にあります。そのため当然、歯科以外の知識も今の学生には必要とされるわけです。
そして2つ目は、合格者の数が絞られているという点です。
過剰に増えてしまった歯科医師数を減らすための施策とも言えるのでしょうか?
実際に20年前の歯科医師国家試験では受験者3,056人中合格者は2,554人に対し、昨年は受験者3,159人中合格者は2,039人でした。
歯科医師が増え過ぎないように、ある一定の合格点を達すれば合格という絶対評価ではなく、一定の合格点に加えて上位何名までが合格という相対評価を採用していることが合格率低下の要因になっていると多くの現役歯科医師は回答しました。

さらに、現在の歯科医師国家試験の合格率に対する意見も調査しました。
昨年度の歯科医師国家試験の合格率に対してどう思いますか?
「低い」、「やや低い」と回答した方が全体の57.8%で半数を超えました。
なぜ低く感じるのか、回答者の意見を見てみましょう。
合格率が「低い」と思う人の意見

意図的な合格者減らしを感じます。入試で絞り、大学の入学生を減らすべきだと思う。


日本人の歯の悪さは先進国最低水準。歯科医師は不足していると言えるのに抑制するのは問題だ。


成人の8割が有すると言われる歯周病患者全員に歯科医院へ通院させようと思ったとき、現在の歯科医院の数では足りないと感じます。また、現在65歳以上の歯科医師が今後リタイアしていくことを考えても歯科医師の数が過剰だとは感じません。そもそも資格試験の性質のはずが競争試験なんておかしいと思います。


6年間大学に通って、7割の合格者が出ないのは教育が悪いのか、受験者が悪いのかはわからないが異常。9割の合格が普通だと思う


マスコミが発信する歯科情報は、経営が厳しいなどのマイナス情報が増え、受験者が魅力を感じなくなっている。その結果、合格率が高いような優秀な人材は集まらなくなっていると思う。


研修医の費用として厚生労働省が2,000人分しか出していないことが見え透いている



このように様々な意見がありますが、その中でも多かった意見が「国家試験で落とすのではなく卒業試験を厳しく選考すべき」というものでした。

確かに、6年間高い学費を払いながら学び、卒業認定まで受けた学生の中から6割しか歯科医師になれないということは、改めて狭き門だと感じますね。
学生だけでなく学費を投じる親御さんの身になっても辛い現状です。

現役歯科医師の意見を聞くと、いかに現在の歯科医師国家試験を突破することが難しくなったのかが明確になりますね。そこには時代の背景が大きく反映されていました。

しかし、歯科医師の需要は今後さらに高まっていくはずです。なぜなら、日本人の多くが歯周病を罹患しているにも関わらず、定期検診の受診率は先進国と比較すると非常に低いためです。今後、日本人が「口腔ケアは全身疾患の予防に繋がる」という意識を持てば、歯科医院の需要は自然に高まっていくことでしょう。

最後に国家試験を目前にした学生に向けて現役歯科医師からエールの言葉が寄せられましたので、それを紹介したいと思います。
今年、歯科医師国家試験を受験する学生へエール

君たちならできる。立派な歯科医をめざしてくれ!


合格がゴールでは無い。合格してスタートラインに立てるんだ。


今は国家試験だけなく、実際に接する患者とのことも習っている。あとはこの試験だけだから頑張れ!


歯科界にはさまざまな逆風も吹いているが、歯科から国民健康の向上に寄与できることがあります。高い志を持って共に頑張っていきましょう!頑張った分だけ必ず報われる時が来ます。


健康管理、毎日の食事に気をつけて下さい! そして一緒に過ごす友達を選ぶこと。(気のおけない人と一緒にいると、励まし合えるしストレスも軽減!苦手な人はできるだけ避ける!) あとは、自分自身との戦いです。自分を信じてあげて下さい。努力は必ず報われます! たまには息抜きも必要ですよ!


今を乗り越えないと明るい未来が開けないので、あと数週間の我慢です。頑張ってください! 国家試験に合格すれば、今後は好きな分野の勉強のみ集中してできます。


卒業して、歯科医師として食べていくほうが、国家試験よりはるかに大変ですし、覚悟が必要です。今、21年目ですが国家試験の時よりも勉強しています。けれども国家試験の勉強より辛くはありません。仲間になれるよう祈っています!





「国家試験は通過点であり、歯科医師としてのスタート地点」という現役歯科医師ならではの非常に重みのある言葉が多数寄せられました。
学生のみなさんには歯科医師になった後も、学びを止めず、素晴らしい歯科医師を目指してほしいと思います。
最後の最後まで諦めずに歯科医師を目指してがんばってください!心より応援しています!
DentResearch調べ
調査日時:2019年1月24日
調査人数:185名 (Dentwave.com会員 歯科医師)
本音に迫る!歯科ネタ情報局:ルーキー片岡の歯科業界ここが知りたい!
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