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【特集記事】第111回歯科医師国家試験の総評と今後の展望

【特集記事】第111回歯科医師国家試験の総評と今後の展望
はじめに
2018年2月3日・4日に第111回歯科医師国家試験が行われた。
本稿では、本回の第111回歯科医師国家試験の傾向・今後の歯科医師国家試験の流れや取り組み方について紹介したい。
問題の傾向
近年の歯科医師国家試験の傾向として挙げられている下記においては全体的に踏襲されている。しかしながら、全体の難易度としては例年と比較してやや難というべきものであろう。
第111回歯科医師国家試験は新たな出題基準の1年目となった。その影響があるか定かではないが、簡単な問題と難易度の高い問題の差が非常に激しかった印象を受ける。
近年の歯科医師国家試験のトレンドともいうべき
・英語、時事問題の出題
・医学的知識への拡充、新しい治療法に対する知識
・高齢者・嚥下・救急災害時の歯科保健対策・法歯学などに関する問題
は引き続きの出題がみられた。
加えて、特に基礎教科(解剖学、生理学、病理学など)を中心に教科書などのかなり細かい内容が出題されてもいた。今回の歯科医師国家試験の難易度が高いと感じた理由の一つでもある。
しかしながら、難易度の高い問題が比較的集中していた必修問題の削除により合格者数は昨年とほぼ同様の水準となった。
例題として111回歯科医師国家試験に出題されていた問題を2問示す。
111A-30
ヒトの死は脳死と心臓死に分けることができる。心臓死の判定項目はどれか。3つ選べ。
a 体温低下
b 瞳孔散大
c 腱反射の消失
d 心拍動の停止
e 自発呼吸の消失
解答:b,d,e
111D-42
血液検査で重症感染症の際に増加するのはどれか。3つ選べ。
a CRP
b CEA
c 白血球数
d アミラーゼ
e プロカルシトニン
解答:a,c,e
大学の傾向
今回の歯科医師国家試験は新たに採用された歯科医師国家試験出題基準(平成30年度版歯科医師国家試験基準)での最初の出題となる。
今回東京歯科大学、愛知学院大学、日本大学歯学部、日本歯科大学生命歯学部、日本歯科大学新潟生命歯学部、北海道医療大学、松本歯科大学、福岡歯科大学、鶴見大学は前年と比べて合格率を上げる結果となった。
ただし、新たな歯科医師国家試験出題基準(平成30年度版歯科医師国家試験基準)を警戒してか、大学側における卒業の難化傾向は変化していない。卒業試験の合格点の引き上げや回数の増加、卒業基準の厳格化の流れは変わらず、卒業試験での留年者も依然として多い水準を保っている。
本年も昨年同様、国家試験の受験者数が出願者数の半分以下の大学や、国家試験は受けさせないが、卒業だけを認める三次試験を行った大学は存在しており、その年の国家試験出願者数のうち、国家試験合格まで至ることができたのはわずか20%程度という大学も少なからず存在した。
  • 全体
  • 現役のみ
あくまで上記の表における合格率は受験者数に対する合格率であるため、出願者数に対する合格率で見ると、その数値はさらに低下する。(歯科医師国家試験の出願自体は卒業試験前の11月頃に行われる。)
下表に国公立大学・私立大学における第111回歯科医師国家試験出願者数、受験者数、合格者数(新卒)、私立大学における第107回~111回歯科医師国家試験の出願者数に対する合格者数の割合の変遷を示す。
  • 新卒 受験者数(卒業者)に対する合格率
  • 歯学部在籍の6年生に対する合格率(真実の合格率)
新卒 歯学部在籍の6年生に対する合格率(真実の合格率)
新卒 歯学部在籍の6年生に対する合格率(真実の合格率)の変移
結語
歯科医師国家試験の難関化という流れに対応すべく、各大学においても現行の歯科医師国家試験に対応したカリキュラムの作成や歯科医師国家試験に合格できる学生のみを選抜していくために低学年から留年者数が増加している。 今回の歯科医師国家試験出題基準の改革は、従前より必要とされてきた「皆が正解出来る問題を確実に正解する能力」のみならず、「同じ意味の事柄を他の言葉に変換する能力」をも必要とするものであり、確実な理解、確実な知識の定着がより要求されてくるであろうと考えていた。実際に111回歯科医師国家試験を見るとさらに「より踏み込んだ内容を押さえること」もまた今後要求されると考えられる。
この流れに対し、学生にも低学年の時点より将来のCBT(computer based testing)や国家試験を見据えた学習習慣の確立が求められる。いわゆる「丸暗記・一夜漬け」では間違いなく進級・卒業対策に破綻を来すようになっている。
大学側においても、引き続き歯科医師国家試験に対応できるカリキュラムの構築、学習に不安のある学生のフォロー、予備校などとの提携など、一人でも多く出口を突破できる学生を増やせるような対策は必須であろう。
第111回歯科医師国家試験は難問と平易な問題の差が激しく、また難問のインパクトに平易な問題がかき消される印象を受ける試験であった。平易な問題を正答できなかった学生から合格の可能性が低下していく、普段の積み重ねがより一層重要視される試験であったように思える。
今後は平易な問題を確実に落とさないということ、普段の積み重ねが重要となる試験の流れとなるといえるのではないだろうか。
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