インプラントオーバーデンチャー成功のポイント

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

インプラントオーバーデンチャー成功のポイント
はじめに
無歯顎難症例への治療方法の一つにインプラントオーバーデンチャーがあります。世情を鑑みると少ないインプラント埋入本数で良好なQOL向上が期待できる本治療法は高齢社会が進行する現在、今後益々増加してゆくことが予想されます。本稿では、更に少ない埋入本数で成功している症例から得た知見をもとに、インプラント体に優しい山八歯材工業株式会社のクーゲルホックアタッチメントが成功の一端を担っている事実について、その概要を紹介させていただきます。
インプラントオーバーデンチャー治療が目指すもの
私は治療のゴールを、難症例であるか否かを問わず、「長期間安心して食事ができるためにはどうすべきか」と設定しています。そのためにまずは全部床義歯の設計から始め、次いで顎堤や顎骨、上顎洞等解剖学的制約、さらには粘膜の被圧変位、側方力が加わりやすい条件、対合歯の状況などを考慮し、維持装置としてインプラント体を使用することが可能かどうかについてトップダウンで計画的に検討しています。これまでに取り組んできた症例は現在50余を数え、概ね良好な治療結果を得ています。インプラントオーバーデンチャー治療を選択した際、最近では欠損補綴治療での使用経験の多いミューワンHAインプラントシステムを用いています。
インプラントオーバーデンチャー治療を成功させるためのポイント
インプラントオーバーデンチャー治療では以下1~4を意識した治療を行っています。
  1. 義歯によるインプラント体に掛かる側方力に対する配慮
    義歯への過度の側方力はインプラント体脱落リスクを上昇させるため義歯床粘膜面への咬合力負担の適正化を図る。つまり、応力分散の考えからむやみに無口蓋義歯としない。
  2. 維持装置の維持力に対する配慮
    アタッチメントの維持力への過度な期待は禁物であり、粘膜の被圧変位の大きい上顎では義歯吸着が確実であればその維持力はやや弱めとする。
  3. 解剖学的要因への配慮
    上下顎の骨質や骨量の違いを認識したインプラント体を選択する。
  4. 義歯への配慮
    上下顎の顎堤形態の違いを意識し側方力に対する抵抗形態となる顎堤側要因を考慮した義歯形態とする。また人工歯排列は両側性平衡咬合を有するリンガライズドオクルージョンとし側方力を低減させ義歯床の動揺を可及的に減少させる。
これらがポイントと考えています。
特に4. 義歯への配慮 を十分に考え、吸着を有する辺縁封鎖性を考慮した全部床義歯が作製できるなら義歯の動揺が抑制され結果的にインプラント体への側方力が減じることになり埋入本数の減少化につながると考えます。さらに、アタッチメントもインプラント体への過度な荷重負担が必要でないことより、インプラント体に優しい長寿命の期待できるタイプを選択することができます。この考えは特にインプラント体脱落リスク危険性の高い4本埋入が必要不可欠と考えられている上顎無歯顎に当てはまります。当院では、十分な吸着を有する全部床義歯に上下ともこのような考えを有するアタッチメントとしてクーゲルホックを用い、上下とも2本埋入で良好な結果を得ています。最近では吸着を得ることが難しい症例でも義歯動揺の抵抗形態となる顎堤の存在と適合の良い全部床義歯の組み合わせに、アタッチメントとしてインプラント体に優しいクーゲルホックを使用することにより良好な結果が得られることが分かってきました。
全部床義歯にインプラント体が加わることにより、義歯の安定性が向上し良好な咀嚼が得られることはアタッチメントの有無による食物咀嚼試験の比較からも明らかです。
症例供覧
  • 図1
  • 図2
  • 図3
  • 図4
インプラントオーバーデンチャー治療の本質とは?
インプラントオーバーデンチャー治療は、上顎4本、下顎2本のインプラント体を使用することが標準的とされていますが、供覧症例のように上下顎各2本でも良好な治療結果が得られることを経験しています。その一翼を担っているのはミューワンHAインプラントシステムとクーゲルホックアタッチメントと言えます。この結果はさらなる外科的侵襲低減、経済的負担軽減を可能にすることを意味し、より多くのニーズに呼応できると期待できます。
しかし幾ら良いシステムを用いようともインプラントオーバーデンチャー治療の本質は“義歯治療”です。確実な義歯治療の上に成り立つ、補助ツールとしてのインプラント治療であるとの認識を持つことが肝要です。ミューワンHAインプラントシステムは、今日の私のインプラントオーバーデンチャー治療に必須のツールと言え、その操作性や得られた治療結果からは本治療に携わる先生方に自信をもってお勧めできるシステムと言えます。
今井 守夫 先生

ぐみょう今井歯科医院 院長・理事長
今井 守夫 先生
[略歴]
1984年 徳島大学歯学部卒業
1988年 徳島大学歯学部大学院歯学研究科修了 歯学博士
1993年 医療法人社団皓歯会 ぐみょう今井歯科医院院長・理事長
2016年 松本歯科大学非常勤講師
2017年 モンゴル国立医科大学客員教授
日本補綴歯科学会専門医・指導医
日本口腔インプラント学会専門医
バイオインテグレーション学会専門医・指導医・理事
日本一般臨床医矯正研究会認定医・常任理事
日本歯科放射線学会准認定医
日本顎咬合学会認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
介護支援専門員
スタディーグループMDSG(現代歯学研究会)主宰
厚生労働省歯科医師臨床研修指導医
日本糖尿病協会歯科医師登録医
▶ 資料請求はこちらから
お問い合わせ先
≪製造販売元≫ 山八歯材工業株式会社
http://www.mu-one.com
お問合せ先:インプラント営業所
TEL:03-3295-3451 / FAX:03-3295-3452
記事提供

© Dentwave.com

この記事を見ている人がよく見ている記事

新着ピックアップ