第2回 実験的歯科医院奮闘記(2) 「キレイ」がキーワード

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 健康な人を歯科医院に呼び込まない限り歯科界に明日はない,と心の底から思っている.言うまでもなく,主要歯科疾患は治らない,あるいは治りにくい疾患であることが知られている.そうであるならば,病気にさせない,なっても早いうちに手当てをすることが重要である.いわゆる予防管理である.

 しかし,私たち歯科関係者が歯科疾患には予防管理が重要であると,どんなに口を酸っぱくして言ったとしても,「ハイそうですか」などとすぐに応じてくれる人はまれである.それは,タバコが身体に悪いと言ってもなかなか止めてはくれないし,メタボリックシンドロームの数が多いことを考えてみても分かることである.

 さらに日本の健康保険は疾病保険であるので,予防に対する給付は行われない.これでは,お金を払ってまで予防管理してもらおうとは思わないのも人情である.ましてや,歯科医院は狭い,汚い,うるさい,薬品臭い,痛くされる,挙句に歯科医からは「何でここまで放っておいたのですか」なんて,聞きたくもない言葉を浴びせられる.「これでも予防管理のために歯科医院に行けというのですか?」というのも分からなくはない.それほど歯科医院に行くのは多くのバリアーが存在する.

 つまり,予防管理だけでは患者さんを呼べない.歯科医院は儲からないし,悪くなったら来院するだけでは国民の口腔保健は一向によくならない.そこで考えたのが,一般のエステで用いられている「キレイ」という言葉である.あえてカタカナを使っていることがにくい.これをキーワードに歯科医院を展開すればきっと健康な人も足を運んでくれるに違いないと考えたわけである.キレイになって,予防管理も出来る,まさに一石二鳥というわけだ.

 これを成功に導くためには,それ相応の心構えが大切である.先ほど挙げたうるさい,汚い,痛くされる等のバリアーを極力排除した歯科医院経営が必要と考えられる.さらには,そこそこのキレイさとスタッフのホスピタリティが,今までの歯科医院とは異なった展開を生んでくれるはずである.受付には花を飾り,フローリングを模した床にピンクのケア専門のユニットも備えた.まずは外見からその気にならなくてはという訳である.

 料金設定に関しては,何しろ花の丸の内である.保険治療をやっていたのでは,およそ家賃も払うことが出来ない.保険はやらず自費だけで行うことを選択した.後は患者さんが来てくれるのを待つばかりである.

図1 受付はまるでホテルのホールのようである

図2 歯科のスタッフ.徹底したホスピタリティで接するように教育している

図3 ケアルーム.タカラのピンクのケア用ユニットを使用.

 

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