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2013/10/24

第9回 次世代のための輝かしい日本の歯科界7:光機能化、イノベーションとしての位置づけのみならず、注目される多くの世界初の事象

前回コラムにて、インプラント治療の新技術としての、あるいはチタンの生物学的老化(バイロジカルエインジング)という避けられない負の現象を克服するための唯一の手段としての光機能化を紹介した。光機能化は、エイジングしたインプラントの能力を最高の状態に回復することから、その圧倒的な効果のみならず、いつでも、どの患者にも、どのケースにも、どの部位にも、安定した高い能力のインプラントを使用することを可能にした革新的な技術とも言える。そして、このことは、とてつもなく大きな臨床的な意義をもたらすと考える。

今回のコラムでは、この光機能化に関連する科学、学術には、世界初のことが多く含まれることを紹介したい。まず第一は、その生物学的定義である。光機能化は、45年ぶりにオッセオインテグレーション(骨結合)という生物現象を前進させた。光機能化インプラント周囲で、事実状100%に至った骨インプラント接触率、ならびに初期の細胞接着にメカニズムに関する特異性は、その現象が、これまで人類が理解してきたオッセオインテグレーションとは別の現象、あるいは飛躍的に強化された現象であることを強く示唆した。よって、我々、UCLAの研究チームは、光機能化インプラント周囲での骨形成を、新規に、スーパーオッセオインテグレーション(超骨結合)と定義することを提唱し、現在までに、この新定義は、多くの一流科学誌に認められ、パブリッシュされた。ここで、「超」は、事象がこれまでよりも極めて優れた状態を指す接頭語であると同時に、物理化学の分野で、何かの抵抗を限りなく0に抑えたという意味でも用いられるものである。抵抗がないために、電圧をかけずに電気を通すことができる超電導体が有名である。今回の場合、骨結合の抵抗現象である軟組織の介在が可及的に0に抑えられたという意味においても、超骨結合と定義されたわけである。

第二の世界初は、光機能化によってチタン表面が生体不活性(バイオイナート)から生体活性(バイオアクティブ)に変化したことである。これは、光機能化が、その学術的意義において、従来から行われてきたような単なる表面修飾ではなく、理解する上での形質転換を可能にしたことを意味する。しかし、この形質転換は、何かを加えることによって行われたわけでなく、あくまでチタン素材の本来の能力を引き出すことによって可能にしたのである。つまり、チタンは光機能化によって、生物学の理解・解釈の観点からは形質転換と呼べるほど、極めて大きな進歩を成し遂げたが、化学的には、何ら変わりのないチタンのままである。酸化チタンに何の原子も分子も加えられていないのである。また、バイオアクティブになったとは以下のようなことからである。これまでチタンは、細胞を特に引き付けるわけではなく、ニュートラルに周囲環境と作用してきた。骨結合とは、いわば通りすがりの細胞が偶然接着し、チタンがその足場となることによりそこに骨を形成していくものと理解されてきた。これが、生体不活性(バイオイナート)という概念であり、チタンはそこに分類されてきたのだ。しかし、光処理を施すと、そのチタン面は、細胞を積極的に引き付け、さらには、細胞の接着から、さらに生着、伸展・維持まで強化することがわかった。光機能化がなされていないチタン面となされたチタン面上での細胞の接着像を見ると、もはや説明はいらないぐらい一目瞭然である(図1)。光機能化チタンが可能にした、細胞のリクルート、および接着、生着時での、この積極的な関与は、まるでHA表面で見られるごとくであり、歴史上初めて、チタンがHAと同じ生体活性(バイオアクティブ)として分類されることになったのである。このことからも、上記の超骨結合という新定義が必要であったことが理解していただけると思う。

図

図1細胞をチタン上に播いてから3時間後の顕微鏡写真。左が従来のチタン、右は光機能化されたチタン

 

次に挙げられるのは、歴史上類を見ない教育へのインパクトである。これまで、例えば、あるインプラント会社が、インプラントの新しいサーフェスを販売開始したことが、公の教育で、それが旧サーフェスに比べて優れているなどと教えられたことはなかった。あるいは、ある会社のサーフェスが、別の会社のサーフェスより優れているなどと、教えられたこともなかった。現代インプラントの教科書や教育要綱(シラバス)を見ても、現在市場にあるいわゆるラフサーフェスの間で、特定のサーフェスの優位性を支持する記述は見当たらない。つまりそれは、現存するミクロトポグラフィサーフェスがブランド間でそれほど差がないと考えられているためである。しかし、光機能化されたチタンサーフェスは、ドイツ、スイス、オーストリアの国家シラバスにその有効性が公式に記載されたのである(図2)。学生や研修医が公式に学び始めるのである。また、光機能化や付随する超骨結合の概念は、インプラント分野や歯科分野をはるかに超えた、チタンに関する一般科学のテキストブックにおいても記載された。光機能化の卓越した効果と革新性が高く評価された結果に他ならない。

図2 光機能化が掲載されたヨーロッパ(ドイツ、スイス、オーストリア)の国家教育要綱(シラバス)図2 光機能化が掲載されたヨーロッパ(ドイツ、スイス、オーストリア)の国家教育要綱(シラバス)

そして、一般、つまり患者や国民レベルを対象にした情報・知識の広がりも、この光機能化の歴史的特徴である。現存するインプラントサーフェスに関する教育と同じように、これまで、あるインプラント会社が、新サーフェスを販売開始などといったことが、国民にむけたニュースとして報道された例は世界でも見あたらない。ところが、チタンの生物学的老化や光機能化は、新聞や雑誌や、ウェブサイトの全国配信を通じて、広く国民に向けて情報発信されている。歯科医院を訪ねる患者が光機能化について言及する例も増えているという。また、光機能化バイオマテリアル研究会によると、光機能化の効果や導入医院についての、一般国民からの問い合わせが相次いでいるという。この点において、光機能化は、従来のサーフェス技術とはまったく次元のちがう技術であるということが理解していただけると思う。インプラント治療は、米国においても100人に1人がうけている国民的医療であり、光機能化がもたらした科学的新規性が、口腔健康へ及ぼす影響、医療パラダイムの変化に及ぼす影響は極めて大きいと考えられ、そのことが認められた結果なのである。光機能化は、歯科医師よりも国民、経験の豊富な歯科医師よりも、新卒の歯科医師や研修医あるいは歯学部の学生などが、そのことを先に知り得る常識的な技術、一般的な知識として発展していく過程を経ているのである。歴史の常識を覆しつつあるといっていいだろう。

そして、一般、つまり患者や国民レベルを対象にした情報・知識の広がりも、この光機能化の歴史的特徴である。現存するインプラントサーフェスに関する教育と同じように、これまで、あるインプラント会社が、新サーフェスを販売開始などといったことが、国民にむけたニュースとして報道された例は世界でも見あたらない。ところが、チタンの生物学的老化や光機能化は、新聞や雑誌や、ウェブサイトの全国配信を通じて、広く国民に向けて情報発信されている。歯科医院を訪ねる患者が光機能化について言及する例も増えているという。また、光機能化バイオマテリアル研究会によると、光機能化の効果や導入医院についての、一般国民からの問い合わせが相次いでいるという。この点において、光機能化は、従来のサーフェス技術とはまったく次元のちがう技術であるということが理解していただけると思う。インプラント治療は、米国においても100人に1人がうけている国民的医療であり、光機能化がもたらした科学的新規性が、口腔健康へ及ぼす影響、医療パラダイムの変化に及ぼす影響は極めて大きいと考えられ、そのことが認められた結果なのである。光機能化は、歯科医師よりも国民、経験の豊富な歯科医師よりも、新卒の歯科医師や研修医あるいは歯学部の学生などが、そのことを先に知り得る常識的な技術、一般的な知識として発展していく過程を経ているのである。歴史の常識を覆しつつあるといっていいだろう。

次は、学術・科学的な背景である。チタンの生物学的老化と光機能化に関する知見は、これまで20本以上の英文科学誌にパブリッシュされ、これらの論文のインパクトファクタの合計は100以上に及ぶ。しかも、これらのパブリケーションは、この技術に関する知的財産関連の手続きが整った2009年からわずか2年足らずの間に起こったことである。インパクトファクタが100以上というのは、通常、優秀な研究者が一生かかってやっと到達できるか否かのレベルである。ましてや、これだけ短期間の間に、しかも、ある特定の研究トピックだけで、この質と量の成果の獲得と発信が行われたということは、インプラントやチタン研究の歴史上、類を見ないと言っても誰も否定できないであろう。またパブリッシュされた多くの科学誌は、一つ一つが、これまでのインプラント学の常識を超えた(つまり、多くの研究者が掲載させることができなかった)良質の雑誌を多く含むことも付け加えたい。光機能化は、科学・学術的にもインプラント学のブレイクスルーを達成したのである。そして、このことが、インプラント治療の歴史の転換点における極めて高い信頼性を得ることにつながったのである。

図3 3種類のブランドのインプラントを光機能化したとき、いずれも、極めて水に濡れる状態、超親水性が付与された。光機能化を行わない従来法では、疎水性である。

最後に挙げる歴史上初の事象、といっても、このことが最も重要なことかもしれない。それは、これまでの骨結合能の増強に関する技術の中で、光機能化は、世界で初めて、世界標準化の可能性をもつことである。これまでインプラントサーフェスは、インプラント会社の先導で研究・開発が行われ、各会社が個別に、新しいインプラントサーフェスを展開してきた。つまり、インプラントサーフェスはブランド固有であり、ブランドを選ぶ以外に、術者によってコントロールできる余地はなかった。しかし、光機能化は、前コラムでも述べたように、チタンあるいはチタン合金ベースのインプラントであればサーフェスの形状を選ばす効果を発揮することがわかっている(図3には、3種類のブライドのインプラントが光機能によってどう変化するかが明確に示してある)。よって、現場の歯科医師の手で、今使っているブランドのインプラントの能力を高めることができるのである。つまり、会社主導から歯科医師主導に時代に移ったのである。歯科医師は現在使っているブランドを変えることなく、骨結合能をさらに高めることができるのである。そして、異なるブランドのユーザーでも、光機能化による骨結合の増強という共通のゴールに向うことを可能にしたのである。このようなことはかつてなかった歯科の社会現象なのである。優れたインプラントが平等に、多くの患者に供給されることは、国民側からみても、非常に好ましい社会現象と言えるだろう。そして、この社会現象が、世界に広まった時、それは世界標準化となるのである。光機能化が可能にするインプラント医療の世界標準化であり、まさにそれが革命であるということに誰も異論を唱えないであろう。

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