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2013/10/24

第3回 インプラント治療における歯科衛生士の役割

はじめに

今回は「インプラント治療における歯科衛生士の役割」についてお話しします。 インプラント治療における歯科衛生士の役割は、大きく分けて以下の7つに分かれます。

1.患者さんへのインプラント治療の説明、インフォームド・コンセント
2.術前口腔衛生指導
3.手術器具、器材の準備、滅菌
4.埋入手術のアシスタントワーク
5.後片づけ、器材の管理、保管
6.補綴処置の介助
7.メインテナンス(予後管理)

それでは、その項目1つ1つについて説明をします。

1.患者さんへのインプラント治療の説明、インフォームド・コンセント

こちらに関しては、前回詳しく述べました。患者さんへの説明が治療を行う上でいかに必要であり、重要なことであるかがお解りになったかと思います。

2.術前口腔衛生指導

患者さんはなぜインプラント治療を希望しているのかを考えてみましょう。 外傷などの場合をのぞき、そのほとんどの状態は口腔衛生状態の不良による歯の損失によるものと考えられます。インプラント治療の第一歩は口腔衛生指導から始まると言っても過言ではありません。治療を行うにあたり、患者さんには歯を失った原因が何であったのか、その理由や過程について説明をし、理解をしていただく必要があります。このように、口腔衛生の自己管理の再確認と、新たに埋入されるインプラントを少しでも長持ちさせることがインプラント治療の条件となります。そのため患者さんには、口腔衛生指導を行うために何度か来院していただく必要があります。その指導を重ねることで患者さんとのコミュニケーシが深まり、今後の治療もスムーズに進めることができます。患者さんの口腔衛生の自己管理が不十分であるのにもかかわらず、早く埋入手術を希望される場合や、こちらの指導にご理解が頂けなかったり、口腔衛生不良が改善されなかったりした場合、歯周病が進行している場合は、インプラントの予後の管理ができないことにつながります。せっかく埋入したインプラントがインプラント周囲炎をひきおこし、再度歯を失う恐れがあります。このような場合、インプラント治療は見送るべきです。

3.手術器具、器材の準備、滅菌

インプラントの埋入手術の日程が決まると、必要な器具器材の準備を行います。器具類に関しては、簡潔的処置であることを十分に認識し、術前には正しい滅菌を行う必要があります。歯科医療現場で混乱しているのが、「滅菌」と「消毒」の区別が不明瞭であることです。インプラント手術においては「滅菌」が必要です。必要な器材は細かく、数が多いので、もれのないように、注意を払います。手術の際に1つでもドリルの不備があると、手術が進められずにやむをえず中止となる場合があります。準備のもれなどを防ぐためには、準備リストなどを作成し、担当者をきちんと決めることをお勧めします。また、インプラント体は手術時に径や長さが変更されることもあるため、予想される前後のサイズを発注しておく必要があります。こちらの項目に関しては、以後詳しくお話ししていきます。

4.埋入手術のアシスタントワーク

埋入手術の外科アシスタントの腕は、手術の成功の鍵をにぎっています。迅速かつ的確なアシスタントは、手術時間を短縮し、患者さんの負担を少なくします。インプラント器材の取り扱い方を十分に把握し、清潔・不潔域が混在しないよう、正しい観念に基づいたアシスタント能力が必要とされます。正しい滅菌ガウンや滅菌グローブの装着法を習得し、器具の配置、ドレーピングは熟知しましょう。また、手術を行う場所の環境は正しい知識のもとに整えます。隣のユニットで通常の診療、直前の掃除、花を飾るなど、簡潔的な処置に不適切な環境を作らないように心掛けます。

6.補綴処置の介助

埋入手術の後、骨との結合を待ち、上部構造の印象になります。そのアシスタントも行います。患者さんにとっては上部構造がセットされることへの期待が高まる頃です。

7.メインテナンス(予後管理)

上部構造が長い期間維持できるように、引き続き口腔衛生指導を行います。リコールの期間を決め、インプラントの動揺、咬合状態、インプラント周囲組織を含む口腔全体の歯周組織を評価していきます。

このように、インプラント治療における私たち歯科衛生士の役割は幅広く非常に重要な役割であることがわかります。私たち歯科衛生士だけではなく、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士と、医療側のチームワークがインプラント治療を成功へと導くことにつながります。次回は、滅菌、消毒、洗浄について、さらに詳しくお話ししていきます。

プチコラム「歯科医院全体で同じ目標に向かって・・」

 

イラスト KIM(アートパフォーマー)

イラスト KIM(アートパフォーマー)

 

みなさんの勤務する歯科医院では、定期的な「ミーティング」を行っていますか? 何かを決定する際や、先生とスタッフとの情報共有・意見交換においてミーティングを行う意味は大変重要です。私は日本全国様々な歯科歯科医院へお邪魔し、講義やオペの準備のご指導をさせていただいており、その時々でたくさんのスタッフの方や、先生にお会いしています。

実は、たった一日お邪魔するだけで、そこの歯科医院の環境が伝わってきます。

「さぁ・・私はよくわからないです。」「〜さんは一生懸命やっていますけど・・」「先生はいつも忙しいので、あまり話ができません」

など、歯科医院がまとまっていないのかな?と思うことも、残念ながら見受けられます。 また、例えば感染管理1つであっても、一人でも安全のルールを守らなかったり、「私はいいわ」という考えでいると、医療現場は安心安全の医療を提供することができません。

私のセミナーにご参加下さった皆さんは、終了後にはいつも目がキラキラと輝いてお帰りになります。「よし!明日からがんばるぞ」という心意気が見え、私にはとても嬉しいことです。ところが、後日になって、こんな話も聞こえてくるのです。

「せっかく学んで、歯科医院で提案しても、他のスタッフが聞いてくれず、今までのままでいいというのです」「先生が、話を受け入れてくれないのです。」中には「先生には内緒で自分の知識のためだけに聴きに来ました」という方も。

何人かのスタッフが、その歯科医院を良くしていこうと思っていても、皆がそれぞれ違う方向を向いていると、このように一歩も前に進むことができません。そのためにも、普段からミーティングを行い、それぞれの思うこと、先生の方針などを歯科医院全体でよく話合い、患者さんへ不安のない良い医療を提供していけるようにと心に願うのです。 仕事が終わって一息。空を見上げると、秋の空にこんなトンボを見ることがあるかもしれません。どこに飛んでいるのかな・・あれあれ?1匹だけ違う方向へ飛んではいませんか?

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