CAMBRAⓇ 臨床編 セミナーレポート

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2018/12/09 CAMBRAⓇ 臨床編 セミナー
12月9日、赤坂の博報堂ラーニングスタジオにおいて、株式会社ヨシダと株式会社キッズデンタルパークの共催で「CAMBRAⓇ 臨床編」セミナーが開催された。講演者は麻生幸男先生(麻生歯科クリニック院長)と佐久間愛先生(麻生歯科クリニック勤務DH)であった。
トータルで30人以上にのぼる参加者の大半は、歯科医師もしくは歯科衛生士で、会場は満席に近かった。「CAMBRAⓇ 臨床編」セミナーは、CAMBRAⓇの基礎を学び、臨床での運営のコツを知りたい歯科医療従事者向けのセミナーとなっている。セミナーに参加することで、自医院にCAMBRAⓇを取り入れるイメージをより強くすることができる。本記事では、セミナー内容をピックアップして紹介する。

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CAMBRAⓇの導入の目的は、患者の主訴を解決するだけでなく、潜在的な希望も叶えること
▲臨床編 セミナーの様子
CAMBRAⓇを導入していく上で、大切なのは、患者の「治療後の将来はどうありたいか」を引き出すことである。主訴のみの聴き取り・改善を行うのでなく、主訴を取り除いた後の患者の望みを叶えることが大切である。「一生涯、自分の歯で咀嚼したい」、「治療で痛い思いをしたくない」など、患者は何かしらの望みは持っている。仮に、患者の口腔内の将来像が明確でないのであれば、まずは主訴の改善を優先する。主訴が改善した後、望みをもう一度聞くのも、CAMBRAⓇを導入していく上で一つのポイントである。
患者に将来のう蝕リスクを理解してもらい、定期通院とセルフケアをしっかりと行ってもらえれば、患者の歯をより長持ちさせることが可能である。修復歯やその周囲歯がう蝕になるリスクは非常に高いため、特にう蝕治療後の定期通院は重要である。
  • ・う蝕歯の隣在歯の隣接面う蝕リスク→5倍上昇
  • ・修復歯の隣在歯の隣接面う蝕リスク→7倍上昇
  • *う蝕フリーの歯の隣在歯の隣接面う蝕リスクと比較
「歯科医院はキュアのために来るのではなく、ケアのために来る場所」であることを患者に理解してもらうことが大切であり、CAMBRAⓇはそのためのツールとして、大変有用である。
CAMBRAⓇによるう蝕リスクレベル判定に挑戦
▲う蝕リスク評価フォーム
本セミナー受講者は、う蝕リスク評価フォーム(上画像)を用いて、実際に症例や自身のう蝕リスクレベルを測定するワークを行った。カリスクリーンによる細菌の活動性試験の検査後、5分間の唾液検査を実施し、評価フォームに記入していった。
上画像は、自身のう蝕リスクレベルの判定結果である。カリスクリーンの検査結果が1,501以上であれば、リスク因子(+)としてカウントする。また、唾液分泌量が0.5mL/分以下であれば、リスク因子(+)となる。私の場合、「疾患・リスク因子合計数(3)<防御因子合計数(4)」より、う蝕リスクレベルが「ローリスク」という判定となった。講義とワークを行ったことで、CAMBRAⓇを自身で運営していくイメージをより強く具現化することができた。
CAMBRAⓇによるう蝕リスクを正確に判断する上で特に注意すべきことは、間食回数のカウント方法である。例えば、500mLのジュースを飲む際に、時間を空けて何回も飲用するのであれば、全ての飲用をカウントするか否かがポイントになる。1回をカウントする目安として、食後の口腔内pHが元に戻る30分が良いのかもしれない。セミナー講師は、CAMBRAⓇによるう蝕リスクを正確に判定する前に、数日間の食生活の記録 (Ex.平日2日・休日1日) を、患者にお願いすることを勧めた。セミナーに参加していなければ、気づかなかったポイントである。
CAMBRAⓇが今後の予防歯科のトレンドに
▲臨床編 セミナーの様子
CAMBRAⓇ関連セミナーの参加は今回で3度目となったが、日本の歯科文化をう蝕フリーにしていく上でCAMBRAⓇは非常に有用なツールであると、確信している。アメリカの予防歯科で既にトレンドになっていることから、日本の予防歯科でも今後主流になっていくことは間違いない。
CAMBRAⓇの大きなメリットは、歯科医師や歯科衛生士の知識や経験に左右されず、安定したリスク判定結果と処方までが即座に出ることである。その上、CAMBRAⓇは患者にとって非常に理解し易い。例えば、技術に不安のある復職したての歯科衛生士にCAMBRAⓇを中心とした業務を任せてみるのも、歯科衛生士が長く定着していく上で一つの戦略になる。CAMBRAⓇは歯科衛生士が主体となって行うシステムであり、歯科衛生士の自信がつき易いからだ。
CAMBRAⓇの今後の普及により、院内での歯科衛生士の役割が増え、歯科衛生士自身の存在意義も高まっていくことは十分考えられる。CAMBRAⓇの臨床導入を検討中の方は、 CAMBRAⓇ基礎編の記事もぜひ参考にしていただきたい。CAMBRAⓇを臨床で実施する上で、本記事が読者の一助になれば、幸いである。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。

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