口腔がん検診とがん予防対策 ―口腔がんの罹患率・死亡率低減のための方策―

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日本における口腔がん検診の実態調査 ―日本口腔外科学会関連医療連携委員会による調査報告―
座長:愛知学院大学歯学部顎顔面外科学講座 長尾 徹 氏
座長:広島大学大学院医歯薬保健学研究科公衆口腔保健学 杉山 勝 氏
東京歯科大学口腔病態外科学講座 片倉 朗 氏
今回のわが国における口腔がん検診の実態調査は、日本口腔外科学会の関連医療連携委員会(委員長:長尾氏、副委員長:片倉氏)から日本のがんの検診の状況を歯科医師会として調査した報告内容である。この実態調査の結果を踏まえて各地域の口腔外科における地域連携の一環として口腔がんや口腔粘膜疾患の二次予防対策を目的とした啓発・健診活動を普及させていくことが望ましいと片倉氏は語った。
日本口腔外科学会から理事長名で歯科医師会を通じて全国の口腔がん検診が、どのように行われているかをアンケート形式で調査した。
2017年12月現在(調査実施期間は2017年4月~8月)で、各歯科医師会が把握している口腔がん検診の調査を実施。調査対象となった群市区歯科医師会は747団体で回答を得られたのは465団体。回収率は都道府県別では80.9%、群市区では62.1%であった。
口腔がん検診の有無に関する調査(n=188団体)では、健診を実施している団体が174団体/465団体、健診の実施を予定しているのは14団体/465団体であった。運営の主体は、都道府県単独での実施が9.8%、群市区での実施が86.2%を占めていた。方法としては、集団検診が45.7%、歯科医院での個別検診では13.3%、口腔内の健康フェアなどのイベントに合わせた健診は44.1%で実施されていた。
大学病院や病院の歯科口腔外科などとの連携に関しては、79.8%で実施されており、11.2%で実施していなかった(図 Q8:要精密検査者の紹介先)。
検診者は、一般の歯科医師64.4%、口腔外科医74.5%が実施している結果となった。これは、両方の領域の医師が重複するかたちで検診を実施しているケースが含まれていることを背景にした結果である。各領域の二人でペアを組んでいる医療機関もあったが、口腔外科医が派遣されて実施している団体が多い。検診の方法は、視診・触診88.8%、生食や蛍光発色を使った補助診断を視診・触診と合わせて17.6%で用いている結果であった。
回数は、年一回が67.6%を占めており、平均すると年2.24回となった。一回の検診での検診者数は、都心部の歯科医師会では一回に約200人をみているのが実情で平均は186.1人。精密検査が必要な場合には紹介先が決まっている医療機関が55.9%、連携している施設が決まっていない医療機関が33.5%。都道府県の境界線上にある地域では特に連携先を固定せず、患者さんの意向を優先している場合もある。
標準化のための研修会では、口腔がん検診を行うための情報共有活動として研修会を行っているかという点に関しては、研修会実施後に口腔がん検診を実施しているところが29.8%、既存の知識で口腔がん検診を実施しているところは58.0%であった。事前研修会の実施回数は、実施している場合では研修会を1~2回実施後、口腔がん検診を実施していた。日常的な口腔がん検診や口腔がんの早期発見に関する歯科医師会レベルでの研修会を実施しているかという点に関しては、188団体のうち、約3割が行っている実態で実施回数は年1回程度。
健診の結果の処理方法は、集計後、歯科医師会の中で報告が59.0%。学術大会での発表は、県レベルで歯科医師会が発表する範囲に留まっており、学術大会のような場での発表や論文発表は非常に少ない。
予算については各歯科医師会の予算の使用が全体の50.5%。市町村の委託事業としての予算を使用しているケースが、35.1%を占めていた。
自由記載欄に書かれていた意見では、後期高齢者歯科検診に合わせて実施、成人の節目健診で実施している事例が多く、今後、予算を取得するために地域行政に理解を求めて助成が必要なところの説明を自治体あるいは各口腔外科学会の地域の担当者に行ってほしいというリクエスト内容や県の中に複数の口腔外科関連施設があると派遣施設によって謝金が違うケースでは、統一してほしいという意見もあった。
全国の約25%の群市区歯科医師会が何らかのかたちで口腔がん検診を実施していた。この結果を踏まえて各地域の口腔外科における地域医療連携活動の一助にしていただき、口腔がんや口腔粘膜疾患の二次予防対策を目的として啓発・健診活動の普及の参考にしていただくことが望ましいと片倉氏は締め括った。
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