第19回日本訪問歯科医学会〜今だ!夢ある医科・歯科・介護連携〜

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マウスピース矯正スタディグループ様主催
▲ 日本訪問歯科医学会 講演の様子
第19回日本訪問歯科医学会 概要
11/10 (日) 、JR御茶ノ水駅直近の御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにおいて、「第19回日本訪問歯科医学会」が開催された。
1日のみの開催ではあったが、訪問歯科診療に従事している全国の歯科医療従事者を中心に500人近くの参加者が御茶ノ水の会場に集まった。講演会場は常時多くの聴講者で賑わっていた。
第19回日本訪問歯科医学会のメインテーマは「今だ!夢ある医科・歯科・介護連携」で、学会長は「野坂洋一郎」先生である。当日は、今後の在宅医療の在り方をテーマに、講演、実習セミナー、認定講座、企業展示、ポスター発表などの催しが行われた。
▲ 学会会場「御茶ノ水ソラシティ」

第19回日本訪問歯科医学会 アウトライン

・第19回日本訪問歯科医学会 開会式

・歯科医師対象実習セミナー
「医科歯科連携のための文書作成講座」

・シンポジウム
「訪問歯科における医科歯科連携」

・ランチョンセミナー
「革新的な口腔ケア機器」

・教育講演
「高齢者の特性と注意すべき全身疾患」

・特別講演Ⅰ
「在宅医療と医科歯科介護の連携について」

・特別講演Ⅱ
「医療・介護政策と医科・歯科・介護業界の動向」

・表彰・閉会式

全ての講演内容を紹介したい所だが、本記事では、実際に自身が受講した歯科医師対象実習セミナー「医科歯科連携のための文書作成講座」の内容の一部を紹介したい。

歯科医師対象実習セミナー「医科歯科連携のための文書作成講座」
▲ 医科歯科連携のための文書作成講座(歯科医師向け講座)の様子

医科歯科連携のための文書作成講座の講師は、東京医科歯科大学大学院の麻酔・生体管理学講座の深山治久教授だった。円滑な医科歯科連携をするための診療情報提供書の書き方を実習形式で分かりやすく述べていた。
ここでは、深山治久教授がセミナー内で述べていた診療情報提供書の書き方に関する勘所を3点紹介する。
▲ 診療情報提供書の作成の勘所について実習形式で学ぶことができた

1. テンプレート化する
 診療情報提供書を記載するのはそれなりに時間を要する。歯科傷病名や内容に関してのみ歯科医師が記載し、それ以外は歯科助手や歯科衛生士に記載してもらうようにすることで、歯科医師が治療に専念しやすくなる。
患者の担当医が何科に所属するか分からなければ空欄とし、担当医の名前が分からなければ、「担当医」と記載すれば良い。
2. 内容は簡潔に、詳細に、明確に
  紹介(照会)先は歯科の専門用語の知識に乏しいことが予想される。そのため、カリエスが多発しているのであれば、ランパントカリエスではなく「う蝕」、慢性の歯周炎が生じているのであれば、「歯周炎」のように簡潔に記載することが先方にとって分かりやすい。
また、局所麻酔でキシロカインを投与するのであれば、「1.8mLオーラ注(1/8万エピネフリン, 2%キシロカイン)を浸潤麻酔で1本投与する」などといったように、薬剤名や投与方法なども詳細に記載することが望ましい。
簡潔かつ詳細に患者の現病歴や治療について述べたのち、「抜歯などの歯科治療を実施するにあたり、患者の疾患の状態や歯科治療時の注意事項をご教示いただけますと、幸いです」のように、何を聞きたいのかが明確である問い合わせを行うことが肝要である。
歯科治療を行うのは歯科医師であるため、治療の責任は歯科医師自身にある。診療情報提供書を通じて歯科治療の適否を問うことは問題ないが、間違っても歯科治療の可否を先方に問うことはあってはならない。
3. 返事を書く
 こちらの要求に応じ医科の先生は時間を割いて診療情報提供書を作成しているため、返事を書くことは礼儀である。また、返事を書くことは先方との信頼関係の構築にもつながるため、診療情報提供書を相手に分かりやすく書く以上に大切なことなのかもしれない。
診療情報提供書を書く機会は今まであまり無かったため、診療情報提供書の書き方のポイントを実習形式で学べる機会を得られたことは今後の役に立つことは間違いない。これからも高齢化は進む一方であり、何かしらの全身疾患を有する患者を診療する機会は増えていくことが予想される。診療情報提供書を書く機会も増えることは言うまでもない。
患者の全身状態をしっかりと把握した上で歯科治療を行うためには、診療情報提供書を通じた医科歯科連携は必須である。
▲ 御徒町のバー「イゼルローンフォートレス」でタンパク質の補充

第19回日本訪問歯科医学会への参加を通じての感想
今回、第19回日本訪問歯科医学会に初めて参加したわけだが、診療情報提供書の書き方から訪問歯科の今後のトレンドなど、非常に多岐に渡る内容を学ぶことができた。
本記事では一部のみの紹介となったが、訪問歯科診療を行う上での様々な勘所を学ぶ機会となり、訪問歯科診療に実際に従事している私としては非常に満足した内容だったと思う。
また、訪問歯科診療に従事する上で、歯を保存するサポートに加えて、栄養面に関するサポートも積極的にしていきたいという想いが強くなった。身体機能の衰えを防ぐ上で食(特に、タンパク質の摂取)は非常に重要である。
学会直後に訪れたバーにおいて、ビーフステーキ(上画像)を食した。予想以上の弾力性があり、歯が無ければ食べることは難しかっただろう。
栄養的な観点も踏まえて訪問歯科治療を行うことが、患者自身の口腔および全身の健康の改善・維持・増進につながるのではないだろうか。舌のむくみや舌静脈の不明瞭は鉄分不足の兆候であり、口内炎はビタミンB群不足の兆候である。ビタミンC不足は歯周疾患による出血を促す。このように、口腔内状態と栄養状態は密接に関連するため、訪問歯科診療を行うにあたり栄養指導を行うことは非常に重要であると、私自身は考察する。
第19回日本訪問歯科医学会で学んだことを今後の訪問歯科診療に存分に活かしていきたい。また、訪問歯科診療に従事している歯科医療従事者の全ての方に、第20回日本訪問歯科医学会への参加をお勧めしたい。
本記事が読者の訪問歯科診療の一助となれば、幸いである。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問となり、現在は歯科臨床で活躍している。

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