第3回:接着歯内療法

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「接着歯内療法?」こんな言葉は初めて耳にする人がほとんどであろうと思う。これは“Adhesive Endodontics”の和訳である。第1回のコラムで記したように、接着歯学(Adhesive Dentistry)は我が国が本家本元なのであるが、残念ながら、我が国での歯内療法領域における接着の概念の導入が遅れている間に、それが海外に先を越されてしまったということである。 根管治療は歯科治療における難易度の高い処置であるが、根管治療失敗のかなりの部分は不完全な根管充填に起因するといわれている。根管を完全に封鎖することが根管治療成功の条件であるが、従来臨床的に広く使われているガッタパーチャ/シーラーによる根管充填では、根管の完全封鎖は困難である。 近年、歯質接着性を有するレジンが保存修復領域で広く利用され、良好な成績を収めていることから、根管を完全封鎖するには、根管壁と接着するようなシーラーあるいはレジンが有用であると考えられるようになった。第2回の本コラムで「合着と接着」について述べたが、従来の根管充填はまさに合着の世界であり、完全な封鎖性をめざすには、根管充填にも接着の概念を取り入れることが重要となり、Adhesive Endodonticsなる言葉が最近登場してきたのである。 歯内療法における接着の重要性が認識されつつも、歯内療法専用の接着性レジンはこれまで市販されていなかった。そのため、修復領域で利用されているレジンを根管充填材として利用する研究も行われたが、さまざまな問題があり、臨床家の満足が得られるような結果とはならなかった。これまでのレジン系シーラーとしてロエコシール、AH Plus等があるが、いずれも根管壁への接着性はほとんどなく、“接着”を謳ったレジン系根管充填材は最近初めて2種類が発売されたのである。 まず3年ほど前に現れたのは、Resilon Researchが開発したResilonシステムである。これは、Epiphany (Pentron)、RealSeal (SybronEndo)、 InnoEndo (Heraeus Kulzer)の商品名で米国で販売されている。このシステムは、ポリカプロラクトンを主成分とするコア材料(従来のガッタパーチャポイントに代わるもの)およびセルフエッチングプライマーとコンポジットレジン系シーラーを組み合わせた接着性レジンシステムから成っている。 国内ではスーパーボンド根充シーラー(サンメディカル)が昨年発売された。これは、象牙質に対して優れた接着性を示すレジンとして約25年の歴史と実績を有するスーパーボンドC&Bを根充用に改変したものである。粉末成分が異なるだけで、前処理材、モノマー液、キャタリストは従来のスーパーボンドと同じであり、スーパーボンドのすぐれた性質、特徴はそのまま継承されている。 Resilonシステムもいずれ我が国でも販売されるようになると思われるが、根管内でセルフエッチングプライマーや加水分解性のコア材料を用いることについて、長期的観点からは懸念なしとはいい難いところがある。それに比べ、スーパーボンド根充シーラーには懸念材料はなく、良好な長期成績が期待できる。この国内で発売されたばかりの製品については、やや使いにくいといった臨床家の声も耳にしており、将来的にはさらに改良され、接着歯内療法の普及、発展に寄与してほしいと思う。 歯内療法は、ニッケル-チタンファイル、手術用顕微鏡などの新しい器具・機器の導入、それに接着性レジンシーラーが加わることで革新が進みつつあるが、まだまだ不十分であり、全体的にさらなる革新が必要であろうと感じている。
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