エアタービンを再考する

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歯科医療の発達は、生体内で最も硬い歯牙の切削という命題と共に歩んでいます。近年は、電気モーター駆動による増速コントラアングルが歯牙の切削に使用されることが主流となってきました。しかし、増速コントラアングルは、複雑な構造のギアを有し、エアタービンに対して重く高価であることも間違いありません。実際に歯牙を切削した際の切削力は変わるのでしょうか。今月は、最近発売されたエアタービンにスポットを当てて考察したいと思います。

エアタービンを使用するメリット
歯牙の切削時にキーンという高周波の音は確かに耳障りではありますが、生活歯の形成に関しては、1分間に最大で40万回転以上回転するエアタービンの切削力は、非常に高いものです。しかし、構造上押し当てるような使用を行うことや、金属を除去するといったトルクのかかる診療行為には向いていません。クラウンの除去には、やはり増速コントラアングルの方に軍配が上がります。しかし、エアタービンは歯牙の切削のみであれば、軽く、切削力も高く、増速コントラアングルと比べても安価であり非常に使用しやすい器材です。また、ある程度歯牙に押し当てトルクのかかるような操作を行うとバーの回転力が落ち切削力が急激に落ちます。このことは欠点でもありますが、生活歯の切削時には、歯髄に対して発熱させることもないという利点でもあります。
高周波の音に対する患者さんの感想
エアタービンの切削時の高周波の不快な音に関してですが、数年前に当の患者さんに対して実際に耳元で実器を回転させてアンケートをしたことがあります。メーカーの方に立ち会って頂きながら、小学生の子供から70代後半の高齢者の方から感想を頂きましたが、意外なことにエアタービンの高周波の音に関して、誰も不快な音と感じていませんでした。不快に感じているのは、歯科医師、歯科衛生士といった歯科診療従事者のトラウマのようなものかもしれません。もちろん、音に関して静かな製品の方がより良いと思いますが、患者さんは意外に気にしていないことに驚きました。歯医者さんの音といった感じで違和感がないのかもしれませんが、面白いアンケート結果でした。反対に気になることは歯牙に対して不用意に振動をあたることや、対顎にヘッドがあたることの方が患者さんサイドとしては気になるとのことでした。この結果に関して全ての歯科診療に携わる人が肝に命じて繊細かつ安全に口腔内で施術することが求められています。
S-Max M Series (株)ナカニシ
最新のシュミレーションソフトを駆使し、給排気を司る『3X-Power System』を新開発。エアを効率良く出力に変換でき、従来品の20Wから26Wへの大きなパワーアップを実現。


セラミック製ボールベアリング
スチール製より25%硬く約2分の1の重量のセラミック製ボールが摩耗を抑えカートリッジの長寿命化を実現。
プッシュボタン式チャック
軽くて押しやすいプッシュボタンで誰でも簡単にバーの着脱が可能。また、バーに高負荷がかかっても確実にグリップし、耐久性にも優れる。
4点注水スプレー
バー全体に効率良くスプレーすることができ、高い冷却効果を実現。
クリーンヘッドシステム
ヘッド部への口腔内の血液、異物等の侵入を防ぐ、サックバック防止機構がボールベアリングの寿命を延ばす役割も果たす。
オールステンレス製ボディー
ボディーの素材にはサビに強く頑丈なステンレスを採用。手になじむ梨地仕上げ。
ボディーの内部構造をアップデート
新たな内部構造にすることで、さらに高い耐久性を実現。熱水洗浄や繰り返しのオートクレーブ滅菌にも対応。

3ステップで簡単に交換可能なカートリッジ
エアタービンのカートリッジを歯科医師自身が交換できるため、修理に出す時間のロスを抑え、常に良好な状態で施術できる。

①付属のヘッドキャップレンチをヘッドキャップに合わせ、反時計方向に回すとヘッドキャップが取り外せる。

②バーを押し上げると、ヘッドからカートリッジが外れる。

③新しいカートリッジを切り欠きに合わせて挿入し、ヘッドキャップをレンチで取り付ける。

3X—Power System

①ノズル構造を最適化。整った空気の流れを生み出し、空気のロスを低減することで、空気の力を高効率で回転力を変換する。

②空気を受ける面積が従来の2倍となり、広いバスケット面で無駄なく空気を受けて高トルクを実現。

③拡大した排気溝でバケットが受けたエアを速かに排気することで、低回転速度域のトルクが向上。

エアタービン使用時のポイント
エアタービンの一番のポイントはフェザータッチです。切削時の圧を40gから100gという非常に軽い負荷により高速切削することが、切削効率を高め、歯髄保護という一番の命題を担保することができます。また、診療毎にオートクレーブ滅菌を行うことから、注油と空ぶかしといった日常のメインテナンスは、器材の寿命を延ばすことができます。増速コントラアングルに対して安価であることから昨今の切削器具の滅菌問題にも対応して購入量を増やして、十分な滅菌を行うことも可能となります。増速コントラアングルも素晴らしい切削器具ですが、エアタービンの使用を見直してみませんか。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業

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