歯科医師BowBoが誕生した背景【Dentwave.com会員寄稿メディア】

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歯科医師BowBoが誕生した背景
 みなさんこんにちは、歯科医師のBowBoです。
 さて、皆様、前回の記事は読んで頂けたでしょうか?まだお読みで無い方、サクッと読めますのでぜひこちらから読んでみて頂ければ幸いです。
 その前回の記事の最後に、このような活動を続ける中で同業者からの批判を受ける事がある、と私は書きました。時には中々に心ない言葉を頂くこともあります。なぜこの活動に拘るのか。今回は、この活動をしようと考えた、そのきっかけについてお話したいと思います。
変わったきっかけ
 きっかけは、何気ない疑問でした。歯科医師になってから、日々虫歯や歯周病を治療する中で、最初の数年は治療できる事が増えてとてもやり甲斐を感じていました。ところがしばらくすると、「う蝕、全然減ってないじゃん」「歯周病ってこんなに多いの?」という思いが頭の中を占めるようになりました。確かに昭和の「虫歯の洪水」時代に比べたら少なくなっているのでしょう。統計学的にも、う蝕の罹患数は減少している事も知っています。でも、実感的には「多いな」と。こんな事を言ってはいけないのかも知れませんが、「え、今の時代にまだこんなレベルの虫歯の人いるのか」と驚いた事も少なくありません。でも、私が現場で関われる患者さんの数には限界があります。本当にこんな毎日でいいのか。そう考えていました。
 そんな時に、2018年ごろだったと記憶しておりますが、TikTokを提供するバイトダンスの評価額が8兆円を超えたというニュースを聞き、衝撃を受けました。TikTokの事は既に知っていたのですが、それだけに、なぜあの企業に、あのサービスにそれだけの価値がつくのか、当時の全く僕には理解できませんでした。しかし同時に、これからは全く想像できない時代が来ることを肌感覚で予感しました。その時、冷静になって考えたんです。「今までの歯科医師像で本当に良いのか?」
旧態依然とした歯科医療業界のビジネスモデル
 さて、この記事を読んでいる方の多くは歯科医療関係の方だと思いますが、例えば歯科医師のたどる道は多くが「自立して開業する」ということは皆さんご存知かと思います。何年間か修行して腕をつけてから、自分のクリニックを持つ、それを夢見て日々臨床に打ち込む方も多くいらっしゃると思います。それを反映するかのように、平成30年時点での歯科医師の数は104,908人、歯科診療所の数は令和元年5月時点で68,488軒とのことで、実に約7割もの歯科医師が各々開業している計算になります。ちなみに医師でそれらの項目を見てみると、平成30年時点で327,210人、一般診療所数は令和元年5月時点で102,396軒と、約3割の医師が開業するに留まっているようで、真逆なのは興味深いですね。

 さて、統計的な数値から見ても開業志向の歯科医師が多いのは事実のようです。ちなみに以前開業志向の強い方や既に開業していらっしゃる歯科医師の方複数名に「なぜ開業したのですか?」と尋ねたことがあります。様々な回答を頂いたのですが、それらを集約すると、
  • 自立して仕事をしたい
  • 誰かに指図されながら仕事をしたくない
  • 自分の理想とする歯科医療を提供したい

などの答えが多かったです。なるほど、確かにこのような点を考えると独立開業はメリットが大きいように感じます。ちなみに開業というと、1診療所、チェアは3台、歯科医師は一人でスタッフは数人、という所謂「一人親方型」診療所がほとんどです。
 しかし、世の中が歯科医療に望むことが、もしこの多くの「一人親方型」診療所の体制で行えないとしたら、あなたはどのような道を選びますか?
国が歯科医療に求める事
 平成28年度診療報酬改定にて「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」通称「か強診」が新設されたことは記憶に新しい事と思います。長くなるので詳細は省きますが、この「か強診」は厚生労働省からの歯科医療業界への強烈なメッセージであると、僕は捉えました。即ち、「きたる有病高齢者が増加する日本において、有病者や通院困難な患者へきちんと歯科医療を提供できる、或いは医科医療機関と連携して治療にあたれる歯科診療所を優遇する」という事です。さて、このように国が歯科医療へ求める事が変わる際に、必ず「診療報酬」が変わります。事実ここ数年は補綴などの点数がほとんど増えず、むしろ減点傾向にあります。逆に訪問診療や口腔機能管理にかかる歯科医療報酬は新設・増点傾向です。しかしこれらの点数を算定するためには、施設基準を達成するための設備や実績が必要で、マンパワーが必要になります。いち診療所にそれらを達成するのは中々に困難ではないでしょうか?新しい事を始めようとすれスタッフからの不平不満があり、中々体制を変えられない診療所も少なくないのではないでしょうか。

 更に言えば、新型コロナウィルスによって社会から「安全な医療環境」が求められています。より一層の感染対策が必要になり、その点でもコストがかかります。しかし、肝心の医業収入はそこまで増えるわけではありません。人口もこれから減っていきます。それは即ち、一つの歯科診療所が抱えられる患者数が減少する事に他なりません。歯科医業収入の大半は健康保険によるもので、即ち、診療報酬点数の増減は歯科医院経営にダイレクトに関わってくるところなのです。
理由はそれだけではありませんが、以上の理由などを以て、これからは開業自体も厳しくなってくるのではないでしょうか。医師と同様に、大型の医院などが勤務医を大量に雇用する、それこそ医師と同様の構造になっていくのでは、と予測しています(収入等は別にして)。もちろん、診療所自体が無くなる事はないと思いますし、社会にとって必要なインフラであることは事実です。しかし同時に、診療所の数は徐々に減少していくでしょうし、スケールできない診療所はどんどん診療報酬が低減して真綿で首を絞められる状況が考えられます。
減らない開業志向
 さて、そのような昨今の情勢がある中でも開業志向の歯科医師は多くいます。私の同級生でも数人既に開業しており、やはりまだまだ歯科医療の主流は開業なのだなと感じます。私自身もよく「いつ開業するの?」という質問を頂きます。将来の事は分かりませんが、TikTokに衝撃を受けた2018年頃から、自分で開業する可能性は低い、そう思うようになりました。これは現時点でも答えは変わりません。開業する選択肢を否定しているわけではなく、むしろとても勇気がいる事ですから尊敬の念を抱くばかりですが、私が開業しない理由には、前述の通り、これからは「一人親方型」が通用しない時代になってくることを感じている、そして他の多くの人が既にやっている事を私がまたする必要はない、と考えている点がありました。そしてもう一つ、純粋に私の歯科医療における「目的」に「開業」というビジネスモデルが適さないからです。
 当時、その結論に至った私は、何かできないかなと考えた上、Twitterにて歯やお口の健康を守るための情報発信を始めていく事になります。
さて、ここまで読み進めていただいた方々、ありがとうございます。次回は、私が歯科医療で目指す「目的」とは何か、またそこに今の活動がどのように関わっていくのか、語りたいと思います。次回もお付き合い頂けましたら幸いです。

会員の歯科医療従事者の方からご執筆いただいた記事をご紹介いたします
歯科医師 BowBo

2018年10月より、Twitterにて一般の方々もすぐに使える歯や口に関する知識(デンタリズム)の啓蒙を開始。
2019年には『ハミガキ団』という団体に所属し、『歯磨きパーティ』というイベントを複数回開催。さらに、『歯ブラシ博物館』『歯ブフェス』などのイベントも独自に手がけ、様々な形で一般の方々に口や歯の健康に興味を持って貰えるようなイベントを仕掛けている。
2019年10月よりYouTubeチャンネルを稼働開始。動画にて情報発信し、『歯を削らないで済む社会の実現』を目指している。

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