東京歯科保険医協会の2013年度第3回メディア懇談会が9月13日、東京・新宿区高田馬場の同協会会議室で開かれた。
藤野健正副会長が司会を務め、呉橋美紀副会長が以下の話題を提供した。
1)平成26年(2014年)度東京都予算等に関する要望(猪瀬直樹都知事宛)
・歯科医療等に関わる事項について地域包括ケアへの対応〜口腔保健推進事業に関わって
口腔保健支援センターを設置し、施策の具体化を図ること(新規事項)
周術期口腔管理の推進のために、医療機関案内サービス「ひまわり」にその実施保険機関を掲載するなど、連携促進のための情報提供を行うよう努めること(新規事項)
2012年4月、がん患者等の周術期等における口腔機能の管理が診療報酬上で評価された。
しかし東京都内でのその取り組みの状況が不明確であるため、実施する医療機関や管理を求める患者に対し、適切に情報が提供されるよう、医療機関案内サービス「ひまわり」に実施医療機関を明示するなど努めること。
リスクが高い要介護高齢者や心身障害者に対する在宅歯科医療を提供できる医療人材を確保するための育成研修に対し、委託すること(新規事項)
地域の中で、そうした高齢者や心身障害者を支えるために、必要な知識と技術を習得・蓄積させることが共通の課題となっている。
当会は歯科医師・歯科衛生士を対象とした研修を行っている。
当会の研修への委託をお願いしたい。
訪問歯科診療を行った患者を病院や他の医療機関に搬送することがシームレスに行えるように、都としての制度を創設すること(新規事項)
・健診事業について
18歳以上の都民が毎年、歯科検診を受けられる体制を整備すること(新規項目)
歯周疾患検診が行われているるが一定の年齢になってから検診を進めてもなかなか効果が期待できない。
若いうちから口腔チェックを行い、長期的視野で歯科保健の向上を行う必要がある。
8歳以上の都民を対象にした歯科検診制度を区市町村が実施できるよう、体制を整備すること。
・医療体制の確保について
離職した歯科衛生士について、その実態を把握し、再就職支援を懇切丁寧に行うころ(新規事項)
都内の歯科衛生士のの有効求人倍率は非常に高い、安心・安全な歯科医療供給体制を確保させる上では歯科衛生士の雇用はなくてはならないものである。
離職した歯科衛生士の実態を把握し、再就職に結びつくような支援を懇切に行うこと。
地域での歯科医療を支える都立病院や都がかかわる公社の歯科・口腔外科は充実させること(継続項目)
歯科・口腔外科の閉鎖等を危惧している。
青山病院や清瀬病院など口腔外科が閉鎖された。
歯科を標榜する病院は減少傾向にあるが、閉鎖した口腔外科の復活とともにこれ以上閉鎖をしないこと。
孤立死対策を強化させること(新規項目)
外国人医師による医療行為を認める東京都「特区」は取りやめること(新規項目)
・医療費の助成等について
18歳までの医療費助成制度を創設すること(継続項目)
三多摩格差となっている200円の窓口負担をなくすよう、市町村に対し都がイニシアチブを発揮して指導すること。
・医療機関への指導等について
高点数による集団的個別指導は廃止するよう国に意見書を出すこと(継続項目)
個別指導時に持参すべき患者の指定の郵送にあたっては、時間を指定した郵送方法で行うなど配慮すること(新規項目)
現在個別指導時に持参するカルテの指定が行われている。
しかし、連絡が指導前日に行われるため、準備がとても大切である。
対象者によっては前日といっても、午前の場合もあれば夕方の場合もある。
せめて、時間帯を指定した郵送方法で行うこと。
個別指導の選定理由を化開示すること。
また、指導結果に従うかどうかは任意であることを明示すること(継続項目)
放射線量観測網を整備し、必要な措置を講じること(新規項目)
都内においても放射能汚染に対する都民の不安は大きいことから、都全域を対象とした放射線量観測網を整備すること。
また、同協会の秋の署名、保険診療への消費税「ゼロ税率」を求める院長署名」、「いつでも、どこでも、誰もがお金の心配をせず保険で良い歯科医療」の実現を求める請願署名。10.27歯科決起集会」について、第28回保団連医療研究集会、第2回気軽に学べる市民講座、いのちをまもる10.24国民集会についての行事日程について説明があった。
これらの話題提供について懇談した。
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<コメント>
都内の歯科診療所へ歯科衛生士を...雇用したくとも歯科衛生士を雇用できない経営的な問題がある。都立病院の歯科・歯科口腔外科が廃止されるのも根にあるのは同じである。
苦肉の策として歯科助手を活用するのが歯科医院の実態である。
これは構造的な問題だ。院内歯科技工も減っている。
零細な個人経営の歯科診療所へ疲弊しているのだ。モラルの問題以前の構造的な欠陥が医療制度にある。
つまり歯科診療報酬は低すぎるのだ。自費という国民側の犠牲で歯科医院の経営は何とか維持されている。
歯科診療は唯一国民皆保険ではないのだ。
(山本嗣信)
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