特定行為に係る看護師の研修制度(案)

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○ 医師又は歯科医師の指示の下、診療の補助のうち、実践的な理解力、思考力及び判断力を要し、かつ高度な専門知識及び技能をもって行う必要のある行為(以下「特定行為」という。)について、保助看法において明確化する。

なお、特定行為の具体的な内容については、省令等で定める。

※ 特定行為の規定方法は限定列挙方式とする。

また、その追加・改廃については、医師、歯科医師、看護師等の専門家が参画する常設の審議の場を設置し、そこで検討した上で決定する。

○ 医師又は歯科医師の指示の下、看護師が特定行為を実施する場合に、以下のような研修を受けることを制度化する。

・ 医師又は歯科医師の指示の下、プロトコール(プロトコールの対象となる患者及び病態の範囲、特定行為を実施するに際しての確認事項及び行為の内容、医師への連絡体制など厚生労働省令で定める事項が定められているもの)に基づき、特定行為を行おうとする看護師は、厚生労働大臣が指定する研修機関において、厚生労働省令で定める基準に適合する研修(以下「指定研修」という。)の受講を義務づける。

・ 指定研修の受講が義務づけられない、特定行為を行う看護師については、医療安全の観点から、保助看法上の資質の向上に係る努力義務として、特定行為の実施に係る研修を受けることを追加する。

※ 既存の看護師であっても、プロトコールに基づき特定行為を行おうとする場合は指定研修を受けなければならなくなることから、制度施行後、一定期間内に研修を受けなければならないこととするといった経過措置を設ける。

※ 特定行為が追加された場合であって、かつ、当該内容が研修の教育内容も変更する必

要がある場合にあっては、当該内容に係る追加の研修義務が生じる。

○ 厚生労働大臣は、研修機関の指定を行う場合には、審議会の意見を聴かなければならない。

※ 審議会は、医師、歯科医師、看護師等の専門家により組織する。

○ 特定行為に応じた研修の枠組み(教育内容、単位等)については、指定研修機関の指定基準として省令等で定める。

※ 指定基準の内容は、審議会で検討した上で決定する。

○ 厚生労働大臣は、指定研修を修了した看護師からの申請により、当該研修を修了した旨を看護師籍に登録するとともに、登録証を交付する。

※ 指定研修機関における研修を修了したことの看護師籍への登録は、あくまで研修を修了したことを確認するためのものであって、国家資格を新たに創設するものではない。

別 添

3

特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって

診療の補助のうち特定行為に係る研修制度の創設に当たっては、以下の考え方を基本として、その制度化が行われるべきである。

1.医師又は歯科医師の指示の下で、診療の補助のうち特定行為を行う看護師について研修制度を構築することは、チーム医療の推進を図り、医療安全の確保にも資するものであり、国民のニーズに適った医療提供体制を構築することにつながるものである。

2.本制度は、医師又は歯科医師の指示を受けずに医行為又は歯科医行為を行う看護師の創設に結びつけるものではない。

3.本制度の指定研修を修了した看護師が、他の看護師や他の医療関係職種に対して診療の補助に関する指示を行うことは不適切であり、指示を行うのはあくまで医師又は歯科医師である。

4.本制度を導入した場合でも以下の点に変わりはない。

・ 看護師が絶対的医行為又は絶対的歯科医行為を行うことは違法であり、看護師が医師又は歯科医師の指示なく診療の補助(応急の手当等を除く)を行うことは違法である。

・ 看護師は、医師又は歯科医師の指示の下であれば、診療の補助の範囲内において医行為又は歯科医行為を行うことは可能である。

・ 患者の病態や看護師の能力を勘案し、

①医師又は歯科医師が直接対応するか

②どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるか

の判断は医師又は歯科医師が行う。

5.看護師は、本制度の導入にかかわらず、療養上の世話及び診療の補助について、その専門性の向上や資質の向上に努めるものである。

別紙1

4

特定行為に係る看護師の研修制度(案)に対する日本医師会の意見

1.日進月歩の医療現場にあって、特定行為を法令で定めることは現実的ではなく、チーム医療を阻害するおそれがある。

2.医師の指示の内容は、患者の病態、診療の補助の内容、看護師の業務経験等によって判断されるものであり、医療現場において医師の指示を「包括的指示」と「具体的指示」に明確に区別することは困難である。

3.技術的あるいは判断の難易度が高い行為については、医師の具体的な指示を受けて行うことが医療安全上望ましいものであり、研修を受けて実施することは今まで通り当然のことである。

4.看護業務検討ワーキンググループにおいて取りまとめられた「診療の補助における特定行為(案)」の中には、特定行為に限らず一般の診療の補助行為にもリスクの高い行為が含まれており、医療安全の観点から、これらも医師の具体的な指示を受けて行うべきである。

5.それぞれの現場が必要とする領域や行為によって様々な内容の研修が想定されるものであり、その修了を看護師籍に登録すべき必要性はなく、研修施設が修了証を発行することで足りる。

6.チーム医療の原点は、国家資格で認められた各職種の業務の質の向上に尽きる。医師のメディカルコントロールの下に、医療安全を確保することが重要である。

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