徳洲会公選法違反−公立病院指定に波紋

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毎日新聞 2013年09月28日 大阪夕刊

昨年の衆院選を巡って公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部に捜査されている医療法人「徳洲会」グループに、公立病院の指定管理を予定している自治体の間で懸念が広がっている。

公的医療機関の管理を任せることの是非や、捜査によるグループの経営への悪影響などをただすため、大阪府和泉市議会は緊急の全員協議会を開いて市長に説明を求めた。

奈良県生駒市でも臨時の市議会特別委員会で対応を議論する。

【向畑泰司】

和泉市立病院(307床)は医師不足のため2006年に救急医療を停止後、経営が急速に悪化した。運営改善のため、市は今年6月、指定管理者を公募。

応募は徳洲会だけだったが事業計画が基準を満たしたため、来年4月の指定管理開始を目指し、議会に承認を求めている。

市議会特別委は17日、徳洲会を指定管理者とする議案を採択したが、この日のうちに東京地検が徳洲会東京本部などの家宅捜索を始め、事態が急変した。

徳洲会グループの中には、高い公益性を認められて税制上の優遇措置を受けている法人もあるが、捜査の進展次第では見直し論議が起きる可能性もあると懸念されている。

市関係者によると来春から病院職員は公務員ではなくなるため、看護師が他の公立病院に転職するなど人材流出も予想されている。

新採用で補充する想定だが、徳洲会のイメージ低下が人材確保に悪影響を与える可能性があるとみられている。

市議会は27日、全員協議会を急きょ開催。

「公的医療機関を運営する組織が罰せられた場合はどうするのか」「職員を本当に集められるのか」などと、市議から不安視する質問が相次いだ。

これに対し、辻宏康(ひろみち)市長は「医療そのものに問題が生じているわけではなく、適格性に影響はない。医師確保と救急再開には指定管理が不可欠で、手続きを進めたい」と強調した。

現状での病院運営維持は難しいとされ、議案は30日に可決される見通しだが、市議の一人は「市民の間にも不安が広がっており、捜査の進展をみながら対応を考えなければならない」と話す。

一方、生駒市は既に10年に徳洲会を指定管理者に決めている。

今年8月に新病院の建設にも着工したが、事件を受けて市議会は来月2日に特別委を開く。市病院建設課は「議会にきちんと説明した上で、粛々と計画を進めたい」と話す。

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