公開フォーラム「かむことは食育の入口」(下)
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第28回日本顎咬合学会学術大会・総会の公開フォーラム「かむことは食育の入口」は6月13日、東京・千代田区丸の内の東京国際フォーラムホールCで開かれた。
塚本末廣さん(福岡大学)
私にとって残念だったのは、私を育ててくれた母が、生きる意欲がなかったことだ。
生きる意欲は、生きがいであり、食べる楽しみである。
母が好きであった納豆など、匂いを嗅がせたりして、食べる意欲を思い起こさせる努力をすべきだった。
生きるためには、食べる楽しみが大切だ。
石井克枝さん(千葉大学教育学部)
みなさんの話を聞き、大変参考になった。
私は大学生を前にしているが、調査した結果、食べる意欲のない学生は、生きることに真正面から向き合っていないな、と思うがそのような実態がある。
小学校の時から、食に確りと向き合うという教育をしてほしい。
学校で食について学び、食についての色々な体験をしてほしい。
また、家庭の中でも食について、身近なところから教えてほしいと思っている。
学校と家庭が連携して、よりよい子どもたちの成長に繋げていってほしい。
生きることにとって、本当に食べることは大切であって、食べることは頭で考えることいではない。
美味しい、という実感がものすごく大切だ。
食育は、この実感を大事にしなかったら広がっていかないとつくづく思う。
赤ちゃんからお年寄りまでの食生活は幅が広いが、高齢社会だと優しい献立などもある。
しかし、食べ物が軟らければいい、栄養さえ入れておけばいいとい流れは問題だと思っている。
例えば肉じゃがの中には色々な食材が入っている。
しかし、同じ肉じゃがでも、軟らく砕いてしまったら、肉じゃではなくなる。
食材の形、噛みごたえ、歯ごたい、舌触り色々な感覚がり、匂いもある。
それを飲み込むように軟らかくしたら美味しくなくなる。
我々は栄養を考える前に、見て食べたいという気持ちを大切にしたいと思っている。
鈴木豊(キューピー株式会社)
食の値段、値ごろ感も大切にしていかなければならない。
美味しさと価格、買う場所についても、高齢者の立場で考えて、製品を開発していきたいと考えている。
その点を踏まえて、努力させていただきたいと思っている。
武井典子さん(日本歯科衛生士会)
本日のようにたくさんの一般市民の方、そして色々な職種の方と一緒になって、食の大切さがどんどん広がるようこれからも努力をしたいと思っている。
<取材後記>
自分の息子たちをみていると軟らかい菓子類やケーキを好むが、果物は敬遠している。
リンゴやナシなどの皮を包丁で剥くことをしない。
ジュース類で果物を補給しているつもりである。
母親は息子たちのために、バランスとく食材を組み合わせているが、好きなものしか食べない。
その意味で、石井克枝さん(千葉大学教育学部)の講演は参考になった。
栄養バランス、食材の特徴、食事の味わい方を学校教育で指導している。
昔はなかった『食育』という言葉自体が今日の時代を象徴しており、食の崩壊によって浮上してきたのである。
人間関係が複雑で、ストレスも多い。
心が病んでおり、食の乱れをも誘発している。
過食症や拒食症は、発展途上国にあるのだろうか?
なお、塚本末廣さん(福岡大学)の症例を中心にテレビで特番を組んだら、国民はさぞや驚愕するだろうと思われた。
医科の現場は、正常ではないと、認識するだろう。
「胃ろうの20%は、その必要性がない」と言明している人もいる。
山本嗣信
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