歯科衛生士 菌血症を注意した臨床の取り組み
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日本顎咬合学会第28回学術大会ポスター発表から
歯科衛生士として菌血症を注意した臨床の取り組み
田代素子さん(D・Hパトスの会)
菌血症とは細菌が血中に存在する状態を指し、全身疾患を有する人に重大な影響を及ぼすことがあると言われている。
近年、歯科界においては抜歯時の出血で、菌血症から感染性心内膜炎等を引き起こすリスクが高まっていることが注目されている。
歯科衛生士の業務においても、それを誘発させるものとして、出血を伴うスケーリングやSRPが容易に想像できる。
しかし、菌血症は特別な処置においてのみ起こるものでなく、歯磨きやフロスといって日常生活の行為によっても生じる。
私たち歯科衛生士は、何にC気をつけて歯周治療およびメインテナンスに取り組めばいいのだろうか。
これまで私たちがD・Hパストの会において学んできた菌血症についての正しい知識と、それに基づいた臨床での取り組みを報告したい。
<参考>
歯科治療や歯磨きの際に一時的な菌血症が起こることがあります。
菌血症は歯ぐきに常在する細菌が、血流に入ってしまう状態です。
細菌は腸からも血流に入ることがありますが、血液が肝臓を通過するときにすみやかに取り除かれます。
こういった状態に関しては、通常は心配する必要はありません。
敗血症は菌血症より発生率は低く、肺、腹部、尿路、皮膚など体のどこかにすでに感染があるときに最もよく起こります。
普通、細菌は感染した部位にとどまりますが、ときに血流に広がることがあります。
感染部位や、腸のように普段から細菌がいる部位への手術を行った場合に、敗血症が起こることもあります。
経静脈カテーテル、尿路カテーテル、ドレナージ管、人工関節、人工心臓弁などの人工物を使用している場合も敗血症が起こりやすく、長く留置するほどリスクが高くなります。
消毒していない注射針を使う麻薬常習者や、化学療法を受けているなどの理由で免疫システムがうまく機能していない人もかかりやすくなります。
まれに、非細菌性の感染でも敗血症が起こります。
循環血中の細菌は、すみやかに治療しないと体内のさまざまな部位に定着し、脳を包む膜の感染症(髄膜炎)、心臓を包む膜の感染症(心外膜炎)、心臓の内側の膜の感染症(心内膜炎)、骨の感染症(骨髄炎)、関節の感染症(感染性関節炎)などを起こします。
ブドウ球菌など、感染した器官に膿(うみ)のかたまり(膿瘍[のうよう])をつくる菌もあります。
症状と診断
人体は少数の細菌であればすぐに排除することができるので、一時的な菌血症では症状が起こることはめったにありません。
ふるえ、悪寒、発熱、脱力感、錯乱、吐き気、嘔吐、下痢などの症状があるときは、敗血症を疑います。
あらかじめ局所の感染症がある場合、その部位やタイプによっては他の症状が現れることもあります。
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