日本歯科技工士会の会報「日本歯技」を読む。
古橋博美会長が7月22日から24日までの3日間、東日本大震災の被災地の東北3県を訪問した。
見舞金を渡すとともに、歯科技工士会会員はじめ歯科に携わる全国の仲間の想いを届けた。
特に津波による被害を受けた沿岸部を訪れ、現地会員の声を聞いた。
対話集会では震災当日のリアルな話を聞くとともに、震災ボランティアで歯科技工士が一つになった、歯科技工士仲間から様々な支援や協力を受けたとの報告があり、歯科技工士会の会員で良かったとの声があったそうだ。
被災地の会員からは、「この声を全国へ伝えてほしい」との要望があった。
その一方、支援に関する現場と送り手との間に温度差があるので、マッチングには現場の声が重要であるとの意見も聞かれた。
また、23日、会員からは地震、津波発生当時の壮絶な状況が語られた。
院内勤務の会員からは、歯科医療を受けたい患者さんが非常に多く、歯科技工所の被災しており、義歯の修理や製作で大変忙しいとの報告があった。
逆に、歯科診療所も被災しており、取引先に再開の見通しが立っていないとの報告もあった。
また、海水の影響で残った歯科器材も使えなくなっていた。
あるいは、歯科技工の仕事が震災前の半分になったとの報告もあり、今後の状況を危惧する声も聞かれた。
さらにメンタルな部分でも、本当に絶望的な気持になっている会員もいた。
だが、最近、歯科診療所の再開の話が聞こえてきたので、やるきがでてきた等、それぞれの立場での報告がなされた。
これに対して、古橋会長は、被災地の対する息の長い支援と、歯科技工という仕事の重要性を訴え続けていくことを約束し、「ともに頑張りましょう」と激励した。
また、古橋会長は、4月1日の新執行部発足と同時に災害対策本部を改組、よりきめ細かい対応を指示したこと、被災地県歯科技工士会に特別見舞金を渡した、
被災会員へは従前の共済金に上乗せをした見舞金を渡した等の支援内容を報告した。
そして、今回の被災地訪問で、日本歯科技工士会までなかなかとどかなかった現地の声が聞けたことに感謝の気持を述べた。
その意味で有意義な対話集会であった。
なお、地震の揺れで電気炉が落下して火災が発生した歯科技工所もあった。
津波で自宅の歯科技工所もすべて流され、現在友人に場所を提供してもらっている会員は、「保健所から違法だと指摘されたため、どのように対応すればいいのかとの相談も寄せられた。
古橋会長は、会員の視点に立った支援を続けることを約束した。
<考察>
「東北の人々の力強さに逆に元気づけられた」
被災地へ行った人たちに率直な感想である。
政争に明け暮れたような民主党政権。
復興・復旧のための対応にスピード感がない、と批判されている。
野田内閣の対応がどうなるのか?
少なくとも菅内閣より前進することが期待される。
(沼田利根)
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