歯の幹細胞で脊髄損傷治療 名大、ラットで神経再生

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2011年12月2日 02時04分

 

 

 名古屋大大学院医学系研究科の上田実教授らの研究グループは、歯の内部にある歯髄から取り出した幹細胞を使い、損傷した中枢神経を再生するメカニズムを動物を使った実験で解明した。ヒトへの応用が進めば、現在有効な治療法のない脊髄損傷治療の可能性がある。研究成果は1日付の米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲイション」電子版に掲載された。

 研究グループは、名大病院の患者から乳歯や永久歯(親知らず)の提供を受け、歯髄幹細胞を採取。脊髄損傷で下肢の運動機能を失ったラットに移植したところ、8週間で歩けるようになった。歯髄幹細胞を移植したことで、神経損傷に伴う細胞死を抑制したり、神経情報を伝える構造を再生したりといったメカニズムが働くことが分かった。

 さらに脳梗塞の状態にしたラットへの移植実験も行ったところ、移植したラットはしなかったものと比べてスムーズに歩けるようになり、梗塞の範囲が小さくなった。今後はサルへの移植実験で効果や安全性を検証する。

 歯髄幹細胞を使った再生医療は、歯周病や骨粗しょう症など歯科医療関連では既に臨床研究段階にある。今後、脊髄損傷など中枢神経系や肝臓、腎臓、糖尿病といった全身疾患を対象に、新しい再生治療法の開発を目指す。

 さまざまな組織や臓器に成長するもととなる幹細胞を利用した再生医療では、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究が世界中で進められているが、臨床応用に向けては安全性や倫理面での課題が多く残る。一方、歯髄幹細胞は、医療廃棄物である乳歯や抜いた親知らずから取り出せるため人体への負担がほとんどなく、倫理面のハードルは低い。上田教授は「再生能力はiPS細胞と同じかそれ以上。がん化しないなど安全で、実用化の可能性が高い。初期の脊髄損傷などの治療に役立てたい」と期待する。

(中日新聞)

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