若年層に歯周疾患が広がっている 国会質疑(上)

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12月1日 参議院厚生労働委員会

石井みどり委員(自民党 参議院議員 歯科医師)

今、日本の経済状況が非常に悪くなって、そのことが子どもたちにも大きな影響を及ぼしております。

親の経済格差が子どもたちへの経済格差にもつながり、そのことが大事な子どもたちの健康格差にもつながっている。

健康を蝕むことにもつながるような問題も起こっています。

先生方も学校時代、検診(健診)を受けられたと思いますが、その中に歯科検診もあったと思います。

今ですね、口腔の二大疾患として、齲蝕と歯周病がよく知られているところですが、特に歯周病疾患に関しては、青年期以降の歯を失う大きな原因になっていました、特に40歳以降は、それが著明になってまいります。

ところがですね、歯肉炎に関しまして幅広い年齢層、小学生に至ってまでこれが認められることが、学校歯科検診によって明らかになっております。

私が臨床で働いておりましたのは、すでに6年前になりますが、その時の臨床の感覚においても非常に子どもたちに硬組織の疾患だけでなく、いわゆる歯周疾患が広がっているという実感をもっていました。

これはやはり生活環境が大きく変わって子どもたちの食生活も変化をしてきている、そういうことが原因だと思っております。

直近の歯科疾患実態調査といっても2005年度でありますが、これによりますと、5歳から4歳までの子どもにおいては、何らかの歯周病の所見が見られるのが43%に上るとされています。

そして15歳から19歳では、5%の者が、これは専門的になりますが4㍉の歯周ポケット

を有する歯周炎を生じているとされています。

歯周ポケットというのは、健全な歯周組織であれば、ほとんど1㍉くらいしか、歯と歯周組織の間に隙間がないんですが、それが4㍉の深さになるというのは、もう中等度に歯周炎が進行していたという状況であります。

すでに5歳から14歳で5%の歯周炎の子どもたちが、そういう中等度の歯周炎に罹患しているというデータが出ています。

広島大学の調査では歯周病所見が見られる生徒の割合が、歯科疾患実態調査における数字よりも遥かに大きく、実際には若年層における歯周疾患の状況が歯科疾患実態調査の数字が示すよりも深刻なのではないかというデータが示されています。

若年世代における歯周疾患の実態、また最近の傾向についてどのように認識されておられるのでしょうか、これは厚生労働省の方におねがいします。

辻厚生労働副大臣

若年層における歯周疾患についての、ご質問をいただきました。

一般に歯周疾患は中高年層に多く見られる疾患だと、認知されているところでございますけれど、厚生労働省が6年ごとに実施しております、歯科疾患実態調査によりますと、平成17年の歯肉に所見のある者の割合は、15歳から19歳で66%、20歳から25歳76%となっておりまして、低年齢層からの罹患が認められところでございます。

また、平成11年と17年の調査結果を比較するといずれの年齢階層におきましても、歯肉に所見のある者の割合はおむね増加しているところでございます。

このような現状を踏まえ、厚生労働省といたしましては、8020運動推進特別事業などを通じまして、歯周疾患の予防のための歯ブラシ指導等を進めているところでございます。

今後も国民の歯科保健の向上に努めていきたい、このようの考えているところでございます。

石井委員

ありがとうございます。

そういう認識でおられることは大変、ありがたいことだと思っておりますが、今、お答えいただいたように、若年層における歯周疾患の多くは、今広がっているわけでありますが、

 

多くは歯肉炎でありまして、その歯肉炎から歯周炎に移行するということが、様々なデータで出ています。

ただ、歯周病、あるいは歯周疾患は、いわゆる自覚症状が乏しいのであります。

痛みがなかったりで、痛みが出た時にはすでに相当程度重度に移行していることがありまして、そのために予防に関しまして歯科保健活動が大変重要であります。

それも若年期からの予防、そして早期発見、早期治療、そしてそのあとの自己管理ということが大変重要であると考えております。

また、近年は若年性歯周炎といわれていたのですが、アメリカの歯周病学会では侵襲性歯周疾患という言い方をしておりまが、これが特異な歯周疾患でございます。

これは若年世代のみに多発して、しかもいわゆる第一大臼歯とか前歯部に限局して非常に高度に進行する歯周疾患でありまして骨の破壊があったりします。

 

このような若年層で、歯周疾患がありますので、予防が重要であろうと考えています。

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