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かつて歯科医院にとって「紙」は、診療を支える欠かせない存在でした。診療ノート、問診票、予約台帳、受付管理──これらはすべて紙によって成り立ち、日々の診療業務は紙の束の中で回っていました。しかし近年、スタッフの人手不足、業務の属人化、感染症対策、そして患者ニーズの多様化といった現場の課題が顕在化する中で、「紙を使い続けること」自体が、医院経営のボトルネックとなりつつあります。本連載では、全6回にわたり、Dental eNoteの導入により経営改革に成功した歯科医院の事例を通じて、「歯科DX=大きな投資や技術導入」と捉えがちな考え方を一度リセットし、日々の診療の中から始められる小さな変化からはじまる経営改革のヒントを探っていきます。第3回目は、りお歯科クリニックの事例を紹介いたします。

『現場から始まる歯科DX』ー紙からの開放で変わる歯科経営改革
第1回「受付無人化」への挑戦 ─全6回シリーズ連載 『現場から始まる歯科DX』
第2回MFTを紙運用からデジタルへ──スタッフ主導で4,000万円増益を実現した舞台裏に迫る『現場から始まる歯科DX』
第3回【今回はこちら】患者が増え続ける「夕方5時までの歯科医院」──1日200名を9台のチェアで残業なしを実現
第4回「カルテ待ちで診療が止まる」をゼロに──6院・90名体制がわずか1週間で歯科DXを実現『現場から始まる歯科DX』
第5回11月15日に公開予定
第6回12月15日に公開予定

患者が増え続ける「夕方5時までの歯科医院」──1日200名を9台のチェアで残業なしを実現 『現場から始まる歯科DX』

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待たせない医院経営の実現

岐阜市の「医療法人ハッピースマイル りお歯科クリニック」(以下「りお歯科」)は、開業から17年を迎える歯科医院です。
開業当初3台だったチェアは現在9台となり、平日は160名、土曜日には200名を超える患者が来院しています。
注目すべきは、診療時間が夕方5時までであること。わずか7時間半という短い診療時間にもかかわらず、患者数は減らず、むしろ増加を続けています。
2026年末には隣地へ23チェア規模に拡大して移転リニューアルを計画中です。

「待ち時間は当たり前」を覆す考え方

多くの人が「通院には待たされるのが当たり前」と考えます。
受付から呼ばれるまで、チェアに座って治療が始まるまで、処置の合間、会計や予約に至るまで…。
しかし折戸院長はこれらを「ロスタイム」と捉えました。「一人の時間を1分短縮すれば、200人で200分削減できる。その分、多くの患者を診られるのです」と院長は語ります。
削減の対象はあくまで治療以外の部分。患者とのコミュニケーションや治療の質はそのままに、無駄な時間だけを徹底的に減らす取り組みが続けられています。

紙カルテからデジタルへ ― Dental eNote導入の決断

カルテ棚を拡張しても追いつかない状況が、Dental eNote 導入の出発点でした。
信頼する複数の歯科医院が成果を上げていたこともあり、スタッフを募って見学へ。現場を見た瞬間、「これは必要だ」と導入が決まりました。
移行作業は年末の短期間で実施。リーダー陣が中心となり、スタッフ全員が協力して進めました。
その結果、カルテ庫を埋め尽くしていた診療ノートは姿を消し、現在は事務室として活用。
カルテ検索はタブレットから数秒で行えるようになり、「探す時間」というロスはなくなりました。

テンプレート活用で繰り返し作業を削減

移行時には、紙をそのままデジタル化するだけでなく、デジタルならではの機能を活かした多数のテンプレートを作成しました。
紙カルテ時代は情報を探して何度も紙をめくるのに時間を費やしていましたが、「重要事項を常に先頭に表示できる仕組み」を利用することによって、アレルギーや既往歴、顔写真などを見落とさなくなり高く評価されています。
また、衛生士から「このボタン本当に便利」と喜ばれるなど現場から声があがり、テンプレートの改善が進みました。
多数のテンプレートが生まれたものの、操作感は紙にボールペンで書くのと変わらず、年齢層を問わず短期間で定着しました。

患者対応のスピードと質を変える

紙カルテ時代は、電話応対から始まり診療から会計に至るまで、受付や医師、衛生士がカルテを探して手に取る必要がありました。
Dental eNote では全員が同時に編集・閲覧でき、治療が終わる前に予約や会計の準備を整えることができます。
急患対応でも大きな変化がありました。以前はカルテ番号を調べ、脚立を出して探すこともありましたが、今ではクリック一つで処置内容を確認可能。
受付の林さんは「カルテの出し入れにかけていた時間を、患者さんとの会話に使えるようになった」と語ります。

効率化により、むしろ人と人とのコミュニケーションが充実する結果となっています。

スタッフを守るための診療時間短縮

診療を夕方5時までに短縮した背景には、優秀なスタッフを守るという経営判断がありました。
かつては夜8時まで診療を行い、現場は「野戦病院」のようでした。しかしスタッフが家庭を持つにつれ、勤務環境の改善が不可欠となりました。
「スタッフにとって最高の職場は、患者にとっても最高の医院につながる」という理念のもと、診療時間を短縮。
昼休みも 1時間(平日)、45分(土曜)と短く設定し、集中して働きリフレッシュする流れをつくりました。

成長を促すチーム文化

医院名「RIO」は「Reliable and Impressive Organization(信頼でき、感動を与える組織)」の頭文字に由来します。
その理念のもと、スタッフはそれぞれの役割を全うしながら学び続けています。
竹内さんはアシスタントとして勤務を始めましたが、夜間学校に通って衛生士資格を取得し、今では 歯科衛生士兼TCとして活躍。院外研修の講師を務めるほか、出張TCセミナーを請け負うほど成長しました。
総務の三木さんも「院長が常に勉強している姿を見ているからこそ、私たちも努力できる」と語ります。

患者からの信頼と選ばれる理由

診療時間短縮に当初は不安の声もありました。しかし誠実に説明すると理解が広がり、有休を取ってまで通院する患者も増えました。
学校帰りに通えなくなった分、土曜日は予約が集中しますが、それでも待ち時間は最小限。遠方から来院する患者も増えています。
TCによるカウンセリングの質は非常に高く、若手歯科医師以上の説明力を持つと評価されています。
スタッフの専門性と効率的な仕組みが、患者満足度と来院数の増加につながっています。

未来へ ― 2倍規模の新院へ

Dental eNote 導入時は19,000番台だったカルテ番号が、現在は25,000番台に。
増加する需要に対応するため、2026年末には隣地へ23チェア規模に拡大して移転リニューアルを計画中です。
折戸院長は「医院はF1のピットのようなもの。1分1秒の無駄をなくすために、各自が役割を果たしながら連携することが重要」と語ります。
この姿勢は新しい環境でも変わらず、さらに進化した形で患者に貢献していくと考えられています。

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その他第6回全シリーズはこちらから!

『現場から始まる歯科DX』ー紙からの開放で変わる歯科経営改革
第1回 「受付無人化」への挑戦 ─全6回シリーズ連載 『現場から始まる歯科DX』
第2回 MFTを紙運用からデジタルへ──スタッフ主導で4,000万円増益を実現した舞台裏に迫る『現場から始まる歯科DX』
第3回 【今回はこちら】患者が増え続ける「夕方5時までの歯科医院」──1日200名を9台のチェアで残業なしを実現 『現場から始まる歯科DX』
第4回 「カルテ待ちで診療が止まる」をゼロに──6院・90名体制がわずか1週間で歯科DXを実現『現場から始まる歯科DX』
第5回 11月15日に公開予定
第6回 12月15日に公開予定