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2013/10/24

第80回:平成23年歯科疾患実態調査について

平成23年歯科疾患実態調査結果の概要は本年6月に発表されていたが、その詳細が9月20日厚生労働省から公表された。この調査は6年ごとに行われているものであるが、今回の被調査者数は全国各地合わせて4,253人(5歳以上4,098人)であった。早速そのデータを入手したが、膨大なデータの中から筆者が興味を抱いた箇所の一部を平成17年の調査結果と比較しながら紹介することにする。 う蝕の状況をみると、5〜10歳では現在歯に対してう歯を持つ人の割合は10℅、20歳以上80歳未満では80℅以上となった。5〜25歳では減少傾向を示したが、45歳以上では増加傾向を示し、とくに75歳以上の高齢者で顕著であった。この高齢者層でのう蝕罹患率の増加とともに、残存歯数および未処置者率の増加が起きていた(図1参照)。

図1
図1(クリックで拡大)

60歳未満の残存歯数は24.2〜28.7歯、20歯以上の人の割合は86〜100%であり、40歳未満は前回と変わらなかった。前回にくらべ、35歳以上〜65歳未満では0.3〜1.2歯増加し、それ以上の年齢以上では2.2〜4.9歯とかなり増加した。80歳での残存歯数は12.9歯、80歳以上で残存歯20歯以上の人の割合は、1999年、2005年、2011年でそれぞれ9.9、17.3、25.1%であり、さらに、残存20歯以上の年齢層が前回の65歳未満から今回70歳未満となり、年齢的に5年ほど進んでいた。いずれにしても、8020の目標に向かって確実に前進しているといえる。 歯肉の状況では、若年者においては歯肉に所見のある人、診査対象歯のない人が少なかったが、高齢になるにつれ歯肉に所見のある人および対象歯のない人が多かった。前回調査にくらべ、歯周ポケット4〜6mm(CPIコード3)の人の割合は概ね低かったが、CPIコード4の場合には、75歳未満ではほとんど変わらなかったものの、それ以上の高齢者層では今回調査のほうがかなり高かった(図2参照)。これには、図1に見られるように、高齢者での現在歯数の増加が影響しているように思われる。

図2
図2(クリックで拡大)

補綴状況の観点から、装着された補綴物の内訳をみると、80歳未満では部分床義歯装着者よりブリッジ装着者が多く、80〜84歳では部分床義歯が多く、85歳以上では全部床義歯装着者が多かった。高齢者での残存歯数が増えて、全部床義歯は減少、ブリッジが増加したようである(図3参照)。

図3
図3(クリックで拡大)

今回からインプラントに関する調査も加わった。15歳以上の人では、インプラントが入っていると回答した人は2.6℅であり、55〜74歳、とくに60〜69歳で高い割合を示した(表1参照)。

表1
表1(クリックで拡大)

これまでのデータは全国レベルのことであったが、地域の比較例を示しておこう(表2参照)。う蝕は大・中都市でやや多く、歯周に問題のある人およびインプラントのある人は人口5万未満+町村で多い傾向となっている。この町村等の結果は、歯周疾患でインプラントにする人が多いということだろうか。

表2
表2(クリックで拡大)

終りに、筆者のコメントを一言記しておこう。厚労省の調査では、被調査者は性別、年齢、地域が適当にバランスするように選ばれているのはよいのであるが、各区分(とくに年齢)に関して各層の人数が少なくなってしまうのは避けられず、そのため、結果は限定的に見る必要もある。例えば、12歳の一人平均DMF歯数とう蝕罹患率%については、文科省は毎年統計を取っており、 2011年のそれと厚労省のデータと比較すると次のようになる。DMFTとう蝕罹患率はそれぞれ、厚労省データは37人を基に1.35歯と32.4%、文科省のは約8.2万人を基に1.20歯と45.4%であり、かなりの違いがある。被調査者が圧倒的に多い文科省の方が実情に近いと考えるのが普通である。図1〜3では、30歳以上の各年齢区分の被調査者数は約200〜450人(ただし、85歳以上は106人)というそれなりの数になっており、 “75歳以上の高齢者で急増しているう蝕と歯周疾患に今後留意する必要がある”程度のことは言ってよいであろう。(なお、表1、2では、人数情報もある方が望ましいと考えて付記した)。

(2012年9月30日)

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