2021年から日本歯周病学会でも導入!歯周病の新分類

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歯周病の新分類

新分類の特徴:歯周炎が、ステージとグレードで分類された。
<図1>
 2018年に公表された「歯周病とインプラント周囲疾患の新分類」のなかで特記すべき項目として、歯周炎の分類がある。従来の「慢性歯周炎」と「侵襲性歯周炎」に分けたものを改め、「歯周炎」を一つの疾患にまとめ、「ステージ・グレード」を用いて分けたことである(図1)。
<図2a>
<図2b>

 「ステージ;I~IV、4段階」は重症度と複雑性から判断するもので、初期、中等度、重度、アドバンスドに分けられるもので、従来からの重症度をより具体的に定義したことになる(図2a)。それに対して「グレード;A-B-C、3段階」は歯周炎の進行度・進行リスクを基準とした新しい分け方といえる。グレードAは緩慢(slow)、Bは中等度(moderate)、Cは急速(rapid)である(図2b)。大まかに表現すると従来の「慢性歯周炎」は「グレードAとグレードBの一部」に相当、「侵襲性歯周炎」が「グレードCとグレードBの一部」に対応しているといえる(図3)。
<図3>
侵襲性歯周炎は今回、なぜ、採用されなかったのか
 約20年間、国際分類として使用された「侵襲性歯周炎」を採用しなかった理由としては、掲載された論文やユーロペリオ学会2018や米国歯周病学会2018での説明等で多くのことが述べられているが、4つの視点があると思われる。
①歯周組織の破壊速度(歯周炎の進行度)から、慢性と侵襲性の二つに分けることが臨床的に難しいことがまず挙げられる。両者の中間型の症例も多数あり、現場の臨床医を悩ましているのも事実である。
②病因論の立場からみて、「慢性歯周炎」と「侵襲性歯周炎」の原因因子、リスク因子は多くの点で共通しており、病理学的にみても別の疾患であるとは言い難い点である。2000年以前に使用された「若年性歯周炎」や「急速進行性歯周炎」なども同様である。
③治療学的にみて、両疾患の治療体系には大きな違いはなく、コンセンサスの得られた特別の処置法が確立している訳でもない。もちろん、治療方針や、詳細な処置法の違いはあり得るが、本質的な療法に相違はないと考えるべきである。
④治療介入により、あるいは積極的な治療がない自然経過でも、歯周炎の進行度は変化しえる可能性がある。すなわち、「歯周炎グレードC」から「歯周炎グレードB」に移行することは十分あり得る。その意味で、一つの病名である「歯周炎」のほうが理解しやすい。「侵襲性歯周炎」患者が「慢性歯周炎」患者へ変わるのは違和感があるだろう。
新分類下での3つのキー
以下、個人的見解をもとに解説する。

1)歯周病リスク(図4)が重要
<図4>
 歯周治療を行う上で、個々の症例に応じて、原因因子・リスク因子を明確に特定することは極めて重要なことである。グレード・ステージと歯周病リスクを図4に示す。
縦軸にグレードA,B,C, 横軸にステージI,II,III,IVをとってみると、左下が低リスクで右上が高リスクであり、その中間型が中リスクとすることが可能である。


2)歯周治療における処置選択の目安(図5)としてのグレードの活用
<図5>
 グレードA,B,C,を確定した後の歯周治療における処置選択の目安を図5に示す。
プラークコントロールの徹底度、歯周基本治療における薬物治療の併用の有無、歯周再生治療の可能性、抜歯や切除治療、インプラント治療の適応、メインテナンス・SPTの治療間隔の目安である。


3)安定期治療・重症化予防治療(図6)に注力
<図6>
 現保険診療において、歯周基本治療・歯周外科治療・口腔機能回復治療後には、「治癒・メインテナンス」、「安定期治療(SPT)」、「重症化予防治療(P重防)」の選択肢がある。このSPTとP重防に移行するであろう患者の範囲をグレード・ステージの図に位置付けたものを図6に示す。初診時や検査後の診断の段階での、今後の治療経過や予後に関する患者説明において参考にしてもらえば幸いである。


日本歯周病学会としては、従来の学会分類との併記を推奨している。例えば 「侵襲性歯周炎 歯周炎ステージIIIグレードC)の表記であり、詳しくは学会ホームページwww.perio.jpをまた、「歯科医師・研究者チームによる歯周治療のコンセンサス1 歯周炎の新分類(2017)」(インターアクション株)を参照していただきたい。
参考文献
1.Tonetti MS, Greenwell H, Kornman KS, Staging and grading of periodontitis: Framework and proposal of a new classification and case definition. J Periodontol 2018;89 Sppl 1:S159-S172.
2.吉江弘正、二階堂雅彦、畑めぐみ 世話人、歯科医師・研究者チームによる歯周治療のコンセンサス 1 歯周炎の新分類、2020.1月 インターアクション出版
3.安田登、吉江弘正 座談会、歯周病を減らす歯科医療を 歯周治療のコンセンサスミーティングの意義、
アポロニア21 2020.4月316号、130-136、日本歯科新聞社
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