診療室の消毒を簡単にするには?

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感染防御の難しさ
毎日の診療で、滅菌消毒の重要性について議論の余地もなく励行されることが求められますしかし歯科診療の技術の進歩に伴い様々な歯科医療機器が開発されオートクレーブで滅菌消毒できない器具も増えてきたことも事実です。日常の臨床で、血液や唾液の暴露にさらされている、レーザー、顕微鏡、拡大鏡といった機器は、ほぼ滅菌は不可能と考えられます。今月は、弱酸性の弱酸性次亜塩素酸とナノ洗浄の成分を配合した強い除菌、洗浄、消臭効果を同時に発揮するナノクイック(㈱タスク)を用いた日常の消毒をご紹介します。
スタンダードプリコーション
スタンダードプリコーションとは、全ての患者さんの血液、体液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚、粘膜、病理組織、胎盤、抜去しなどを全て感染源とみなし、予防策を講じるという考え方です。歯科においては、血液はもとより、唾液、歯牙の切削粉塵といったものが当てはまります。初診時の問診で、正確に患者さんが記入していただければ問題ありませんが、B型肝炎、C型肝炎、HIVなどといった疾患は、正直に申告すると受診を拒否されることを危惧して、患者さんが申告しない可能と、患者さん自身が知らないうちに感染している可能性があります。
スタンダードプリコーションの概念
①患者、一処置ごとの手洗い励行
②患者の体液に触れる可能性がある場合には、グローブ、マスク、ゴーグルを使用する。
③鋭利な器材を適切に取り扱う。
④使用したリネン、器材は適切に処理する。
⑤労働環境の整備。
⑥必要に応じて患者を隔離する。

昨今の新聞、マスコミの報道と本年4月における保険制度の改定により、歯科医療に従事される方の意識も大きく代わったのではないでしょうか。特に4月より滅菌が十分でない歯科医院に対しては、初再診料の引き下げという当たり前といえば当たり前の保険制度に改定されました。金属の製品に関しては、オートクレーブを用いれば簡単に滅菌できますが、ゴム製品やシリコン製品といった熱に対して弱い製品には、どのようの対処されているのでしょうか。当院では、EOG滅菌を所有していおりますので、大きさのあまり大きなものでなければ、上記の器材滅菌が可能です。しかし、EOG滅菌の運転には特定化学物質取扱主任者の免許が必要であることと、ガスの毒性の高さから取り扱いは難しいものとなっております。もう一つの低温で使用できる滅菌器として、過酸化水素を用いたプラズマ滅菌もありますが、こちらは大変高価な器材となり、一般の歯科医院での導入は難しいのではないでしょうか。
感染対策の基本
・エビデンスに基づいたものである。
・患者の人権に配慮したものである。
・医療従事者が守られている。
・経済的である。


ナノクイック(㈱タスク)
ナノクイックは、安定化した弱酸性の次亜塩素酸とナノ洗浄成分を配合し、強い除菌、洗浄、消臭効果を同時に発揮する次亜塩素酸ナノ洗浄液である。除菌の難しい芽胞菌にも次亜塩素酸(230ppm/弱酸性)が大きな効果を発揮する。また、弱酸性なので、アルコールやアルカリの塩素系漂白剤が禁忌とされる樹脂系の器具やミラー、拡大鏡、顕微鏡といったレンズにも安心して使用できる。


ユニットのスピットンの除菌
血液、唾液、歯牙の切削片といった感染源は、水流で流すだけで十分でしょうか?患者さん毎にスピットン全体にナノクイックを噴霧したのちに10秒間以上放置したのちに水流で流すことにより、スピットンの洗浄、除菌が可能となる。プラスチック、ガラス、陶材といった各社メーカーにより材質が異なっても材質を変色したり、傷をつけることもない。 写真 無影灯の除菌 アルコールによる消毒もできず、表面に傷も作りやすいプラスチックなので消毒には注意を要する器材である。ナノクイックは、表面を傷つけたり、変色させることもなく安心して使用できる。


往診時の消毒
器材を落としたり不意に汚してしまった際診療室では予備の器材があり、簡単に交換ができますしかし往診先では器材の交換は困難となりますとくに往診が適応の患者さんは体力的にも弱く免疫力も低いために消毒はとくに気を使わなけければなりません不意に落下した器材や口腔内で一度使用した器材もナノクイックを噴霧した後に10秒以上放置した後にティッシュやワッテにより拭き取れば、往診先でも確実な除菌が可能となる。


拡大鏡や顕微鏡のレンズ表面の消毒
口腔内で歯牙を切削すると多量の歯牙の切削片、唾液が噴霧しレンズ表面を汚染する。レンズの表面はコーティング剤により表面処理されているために、アルコールによる消毒は、禁忌となる。しかし、ナノクイックでは、コーティングを傷めることなく消毒が可能である。


ナノクイックの除菌効果(下図)
試料名 放置時間 生菌数(CFU)
ナノクイック(タスク)
(弱酸性次亜塩素酸ナノ洗浄液)
10秒間 5.8×101
30秒間 2.3×101
1分間 <1
消毒用エタノール80% 1分間 1.0×1.07
次亜塩素酸ナトリウム1,000ppm 1分間 5.3×107
グルタラール製剤3.5% 1分間 5.6×107
フタラール製剤0.55% 1分間 8.0×107
<1:菌が検出されなかったことを示す(神奈川県産業技術センター)
滅菌消毒の重要性
滅菌消毒の重要性に異議のある方はいらっしゃらないと思います。しかし、日常の臨床で、本当に満足のいく滅菌消毒をされているでしょうか。当院では、アメリカCDCのプロトコールに準じた滅菌消毒を行っていますが、スタッフの一人でもこのプロトコールを逸脱した行為を行えば診療室内の滅菌消毒が無為なものとなってしまいます。スタッフのモチベーションを維持しながら経済効率も良くエビデンスのある方法を考えられてはいかがでしょうか。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業
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