日歯連盟裁判初公判:傍聴席38の法廷 村田被告は罪状認否で起訴内容否認

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昨年10月20日、東京地検特捜部は政治資金規正法違反容疑で高木幹正・元日本歯科医師会会長、村田嘉信・元日本歯科医師連盟副理事長、堤直文・元日本歯科医師連盟会長の3名が、組織として日歯連を起訴していた。その後の公判日程が決定せず月日が経緯していたが12月7日、東京地裁718号法廷で初公判が行われた。 被告は3名であったが、村田被告とその他の被告とは分けて行うことになり、当日は村田被告一人の公判になった。通常の公判通り裁判所からの人定質問、原告の起訴状の読み上げ、被告の罪状認否、原告(検察)、被告(弁護人)からの冒頭陳述があり、事実の報告・背景等を含めて双方の事実認識が示された。村田被告は「収支報告書は政治資金の流れに沿って記載。虚偽記載はしていない」と起訴内容を明確に否定し、公判を終えるやいなや日歯連盟事務局員らに囲まれ、黙したまま東京地裁を後にした。今後は双方から申請された証人尋問が行われる予定とされており、その内容が注目される。 本件概要は要約すると次の通りになる。2013年の参院選挙に石井みどり議員を推薦候補に決定。同議員後援会に同法で規定されている上限額5000万円を超える9500万円を寄付したが、そのうち5000万円を当時支援していた西村まさみ元参院議員の後援会を経由したように政治資金収支報告書に虚偽記載したとされた。同様に西村まさみ前参院議員が当選した2010年の参院選挙前にも、石井みどり後援会に5000万円寄付したが、当時、西村氏が支部長だった民主党支部を経由したように虚偽記載したという起訴内容。この経緯については、石井みどり参院議員、西村まさみ前参院議員は報道された当時には「初めて知ったことでコメントできない」とマスコミに話していた。   なお、今回の初公判から新たに確認できたことがあった。それは裁判への注目・関心度の低下。基本的には東京地検特捜部案件や社会的に注目される公判は東京地裁1階の大法廷で行われるのが通例となっているが、今回は傍聴席に余裕を残すなど緊張感が薄かったことは事実。当初予定していた時間は10時~12時であったが11時30分に冒頭陳述をもって終えた。特捜部案件として歯科業界では重要な案件になっているが、社会的には既に過去のことで、何ら関心を有していなものになっていることに業界とすれば忸怩たる思いが出てきている。 司法クラブ所属の記者たちは入れ替わり傍聴取材をしていたが、コメントを聞くことができた記者からは「検察は金銭の流れを追及することで明らかにしたいはず。その行為の意図・真意をどう明らかにしていくのか。まあ、検察としても容易な公判ではないのも事実のようだが、予想通り長期化は回避できないかも」「一応、東京地検案件なので取材するが、事件の報道価値や注目度が低下していることは事実。証言から予想外の展開があればまた違うのだが、それはないと思う」と吐露していた。検察は当時の村田被告の意図・真意をどう明らかにできるのか懸念していたが、組織的には“通常の行為であり問題にならなかったのでよし”として暗黙の了解事項として継続してきたものなのか、改めて問われることになりそうだ。 一般的な公判の進行の概略は次のようになる。法廷が始まると、まず被告人が裁判官から人定質問が行われ、氏名、本籍、住所、生年月日、職業が聞かれる。続いて罪状認否。検察官が起訴状に記載された事件内容を読み上げる。起訴状に記載された内容に間違いがないか。被告人が本当に起訴状の通りに行ったのか質問される。罪状認否が終わると、検察官から事件がどういう流れで起きたのか、どういう被害があったのか具体的に説明され、事件の動機や背景などを含めた検察側の見立てを説明する冒頭陳述という手続きが行われる。 通常の自白事件なら読み上げて10分程度行で終わるが、否認事件であれば検察官も多数の証人尋問を行うことがあり、その尋問を行うために日を変えて何度も公判を実施することになる。検察側の立証が終わると、今度は弁護人・被告人側から立証が行われる。証人尋問、被告人質問が終わると審理は終了して判決を待つことになる。 いずれにしても今回は、日歯連盟としての組織も起訴されたことで、日歯・日歯連盟に衝撃が走り、その影響は残っている。現在はこれらの事情から日歯連盟は選挙活動を自粛しているが、その期限は未定。日歯連盟の機能とは何か、選挙活動とはどこまでを指すのか。日歯連盟評議員会でも説明はなく、今後に向けての予想が不透明なことは事実。裁判を継続している期間は他団体からも冷ややかな視線が続く中、次期参院選挙、いろいろ憶測を呼んでいる衆院解散・総選挙も念頭に日歯連盟の活動は具体的にどう対応するのか、内外から依然として厳しい視点が向けられることは間違いなさそうだ。
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