第2回JDAミーティングのMedeia Interview

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アメリカでも無歯顎患者は増加傾向

  

2010年・第2回JDAミーティングが9月4日・秋葉原UDXの6階会議室で開かれた。

演者であるFrank R LaucielloさんとRobert Kreyerさんへの専門紙・誌によるインタビューが参加者に公開で行われた。

事前に各社から提出された質問は多岐にわたり、到底1時間内では収まらないため、主催者側が7つのカテゴリーに絞った。

質問1)

米国の無歯顎患者はどれくらい多いのか。

どのような歯科医師(医院)を訪れるのでしょうか? また、総義歯治療は補綴専門医が行う場合がやはり多いのでしょうか?

Frank R Laucielloさん

アメリカの人口に対して、無歯顎患者の比率であるが、統計的数値とは別にして無歯顎患者は増加傾向にある。

インターネットがあるので、色々な方向にアクセスできる状態となっている。

どういう患者さんが情報を見て治療を求めるか、患者さんのタイプによる。

無歯顎患者は3000万人を超えている。

平均年齢は65歳である。

補綴専門医は複雑な総義歯治療を行っている。

多くの一般の歯科医師たちは、できれば総義歯治療は行いたくないと思っている。

その大きな理由は、総義歯治療のテクニックを十分取得していないからだ。

Robert Kreyerさん

20代の若い患者さんの無歯顎の症例は、日本ではあまり見られないと思うが、アメリカでは麻薬の使用などで歯を失っている。

Frank R Laucielloさん

インターネットで情報を得ているため、これまで以上の高いレベルの総義歯治療を求める患者さんが増えている。

テクニシャンの平均年齢は59歳である。

セラミストになりたい、クラウンブリッジをやりたいという人が多く、なかなか総義歯の方に向かう若い人は減っている。

最近はCAD/CAMの普及が影響している。

また、インド、中国の影響もある(海外委託技工問題など)。

質問2)

総義歯の難症例が増えているが、アメリカはどのような傾向か。

Frank R Laucielloさん

アメリカでもベビーブームから団塊の世代の人口が増えている。

65歳となると残念ながら予防歯科もずいぶん発達してきたが、歯を失ってしまう。

特に全身状態の問題から、歯を失っている。

このため糖尿病などの合併症として、口腔の治療をしなければならない。

我々、歯科医師としてもそれに対応して、生涯教育をしなければならない。

また、歯学部教育においても無歯顎のための教育をしなければならない。

質問3)

総義歯の新しい潮流はどのようなものでしょうか。総義歯の作製に関しては、日本では大家がいて、印象採得、咬合採得など独自に工夫されていますが、アメリカでも「○○○○式デンチャー」などという流れがあるのでしょうか。その中で、今主流になっているシステムがありましたらお聞かせ下さい。

Frank R Laucielloさん

治療の成功はフィロソフィーというより、臨床医の才能と経験によるものだ。

印象採得、咬合採得も経験による。

大学の教育ではカスタムトレーを使って、辺縁形成をするテクニックが95%。

しかし、必ずしも現実の臨床では、それがなされていない。

咬合器は半調節製であるが、歯科技工所ではもっとシンプルな咬合器が使われている。

質の高い総義歯を作るためには、より質いい人工歯が必要だということが臨床医の間で認識が高まっている。

しかし、義歯の注文についてはラボ任せである。

質問4)

良質な補綴物の製作には、歯科医師と歯科技工士とが綿密に連携した作業が必要であると思います。

主にどのような情報や資料をやりとりしているのでしょうか? その手段は? 

また、歯科医師と歯科技工士が一緒に患者に対面しながら診療することはあるのでしょうか?(米国内の一般的な対応も含めて)

Frank R Laucielloさん

良質な補綴物の製作のためには、歯科医師と歯科技工士のコミュニケーションは重要である。

患者さんの情報をいかに歯科技工士に伝えるかということだ。

Robert Kreyerさん

質の高い義歯に対する要求が高まっており、それは固定式義歯から可撤式義歯の需要が高まっていることを意味している。

質問5)

米国での義歯に付与する咬合としては、フルバランス、リンガライズドオクルージョン、あるいは別の咬合のどれ一般的でしょうか?

Frank R Laucielloさん

アメリカの人工歯の販売高からいうと、80%リンガライズドオクルージョンである。

質問6)

総義歯の価格はどれくらいか?

Frank R Laucielloさん

2000ドルから2500ドルである。

Robert Kreyerさん

歯科技工料は325ドルだが、いい人工歯や歯科技工システムを使うと500ドルくらいになる。

800ドルくらい取るラボもある。

Frank R Laucielloさん

金属床義歯は5%以下だと思う。

質問7)

すべての歯科大学・歯学部に総義歯の講座はあるのでしょうか?

 また、大学教育ではどのくらいの時間を割いて総義歯について教えられているのでしょうか? 

さらに、大学教育でスタンダードとして教えられている方法はあるのでしょうか?

Frank R Laucielloさん

何年か前には、総義歯はもう、なくなりそうだねと言われていた。

私も10年ほど前には、無歯顎患者は減るだろうと予測していた。

しかし、10年経って私は間違っていた。

高齢人口が増えてきたこと、また、インプラントの普及があった。

Kreyer先生が述べていたが、麻薬の使用で歯を失うこともある。

現在、無歯顎患者の増加に大学教育が追いついていない状況だ。

総義歯のカリキュラムを増やそうと歯科大学・歯学部も努めている。

それはインプラントオーバーデンチャーに対応するものである。

Robert Kreyerさん

2年生の歯科技工学校のほか、学部4年の歯科技工教育もある。

アメリカでは歯科技工士になるための教育要件はない。

そこで歯科技工士になるための教育要件を、アメリカでも設けるべきだと思っている。

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