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ニュース

2009/06/23

歯科技工士関係

歯科技工の海外委託訴訟脇本代表が中国訪問方向

歯科技工の海外委託問題訴訟は、東京高裁で第3回の進行協議が行われた。原告団の脇本代表が先日、保団連の成田歯科部長たち4人と中国の歯科技工所を訪問したとして、施設の報告をした。まず、脇本代表が挨拶し、「我々、幹部は先週の金曜日に話をしたが、進行協議に先がけて、悩んでいるところもある。今日あたりが一つの山だと考えていた。今日の進行協議の内容を即、お伝えして今後の対策を考えていただきたく、急遽みなさんにお集まりをいただくことになった」と挨拶した。ついで、「6月7日から10日まで、保団連の皆様のご好意により、中国北京の歯科技工所の視察団の加えていただいた」と述べ、スライド写真を用いて以下の報告をした。訪問したのは3社の歯科技工所であり、最初に訪問したラボは、日本とも取引があり、セールスマネージャーが応対した。三和デンタルの依頼先であった。100数名の従業員を抱えていたが、ラボ内の写真は撮らせてもらえなかった。いくつかの認可許可書が掲げられていたが、どれも中華人民共和国の衛生行政部の認可(許可)書はなかった。我々は厚生労働省の管轄下にあるが、今回訪問した中国のラボは3社とも日本の通産省に相当する認可(許可)書を得ていた。2番目に訪問したラボは、大きな4階建のラボであったが、倒産した工場をラボとしていた。ラボは大きく設備は整っていた。授業員は150名ほどで、チタンの金属床なども作られていた。技工の工程は分業の流れ作業であり、分担した作業が終われば、次の部署へ歩いて持っていく。自分の技工作業が流れ(分業)のなかで決まっている。つまり、一個の補綴物を最後まで一人の人がやらない。一つの技工作業工程のみで、他は知らないと、思うほどすこぶる熱心に作業に取り組んでいた。CAD/CAMも設置されていた。高価な歯科技工器械などが使用されていた。このラボで聞いたが、歯科技工士の国家資格はない。中国西南部の上海などの口腔歯科大学があり、3年ほど勉強してやめる。歯科医師になるためにはお金もかかるので、中退する。免許証はないが、許可書が出る。このラブの従業員の8割は許可書を持っていると自慢をしていた。大きいラボが歯科技工学校を自ら作っていた。生徒は100人ほどで、すでに従業員になっているということであった。ラボは兄弟で経営しており、社長はビジネス関係をやっていて技工はくわしくないが、30代であったが設立して5年で150人の大きなラボにした。成田先生の知人の歯科医師の女性の方は、ある企業の診療所の嘱託医として中国にいて、我々をラボに案内してくれた。ナカニシのタービンをしようしていた。日本製の製品も結構使われていたが、他はドイツ製であった。レーザー溶接を含め設備はいい。ジルコニアもやっていた。中国の材料とドイツの材料を使用し、日本の材料が使っていなかった。また、日本との取引もしていなかった。主に、ソ連、ノルウェー、ドイツと取引をしていた。3軒目のラボは150名ほどの規模で、他に100名ほどの学生がいた。学校が終われば学生は帰るが一部を仕事に就かせていた。ラボ社長に今回の訪問の目的を伝えると、「3万5000人もの歯科技工士を擁しているのに、なぜ、自分たちの立場が脅かせているのに、戦わないのか」と言われた。このラボの社長は医師であり、歯科医師であった。歯科技工については、北京病院の院長をやっていた方が、過去に日本の教育を受けて医師になり、歯科医師になった。人間的にも立派な人で、歯科技工も堪能であり、北京病院で歯科技工もやっていた。その院長を尊敬していたので、社長はラボを作ったと述べていた。また、中国に現在、ラボが大きくなったが欠けているのは人材である。日本は法治国家であり、法律で決められた枠でしかできない。それで国民の安心、安全を保っているだろう。海外への歯科技工委託は違法行為であり、違法行為の片棒を担ぐことになるので、中国人として日本には歯科技工の仕事は出したくない、と社長は述べていた。しかし、日本に過去には、仕事を出したことがあるそうである。コストは下げられるし、仕事は厳しい、ので従業員はやる気をなくした。信用の失墜にもつながったので、これからも日本の仕事は請けるつもりはない、と述べていた。日本へ何度行っており、日本の制度、法律、教育に学びたい、優れた教育者がいたら是非、紹介してほしい、と要請された。今回の裁判問題を超えて、人材交流、学問・技術の交流をし、お互いの国民が栄えるようなことを、国際人として真剣に考えて時期にあると思った。国が4月に出した「歯科補綴物の多国籍間の流通に関する調査研究の報告書」の要点は4つある。

1)海外補綴は減っている、2)海外技工物に大きな問題はない、3)中国のラボは設備もよく整っており問題ない、4)海外技工はこれかの主流となり、国内の技工コスト引き下げに有効である、の4点であった。

1)の海外技工は減っているはウソである。厚生労働省の平成17年通達以降、海外技工は増加している。平成19年からうなぎのぼりで増えていた。そのラボは、もはや宣伝をしなくとも、日本の業者が仕事を押させて、継続的に仕事を出していた。

2)海外技工物に大きな問題はない、保団連の調査にもあったが、問題がないのではなく、問題が見つけられないだけか、見逃しているかに過ぎないのである。設計ミスが30.8%もあった。また、装着後の破損や修理は34.6%。患者さんとのトラブルが15.4%。歯科技工指示の記載なしが、65・3%もある。つまり、設計ミス日本の歯科医師側の問題である。歯科技工のための体裁が整っていないのである。単に依頼しているだけである、とも思われる。これの対する、日本歯科医師会、日本歯科技工士の説明がない。義歯の設計は、石膏模型や歯科技工指示書に記入するのは、歯科医師の責任である。義歯の設計は、歯科技工士の責任ではない。海外だから起こる問題であり、我々がミスを起こせば仕事はもらえなくなる。

3)中国のラボは設備もよく整っており問題ないであるが、設備はたしかに立派であるが、資格を含めて法制度面で問題がある。中国は産業であり、我々の歯科技工は医療である。我々には法があり、技術がある。中国と裁判をしているわけではなし、中国にいっさい偏見もないし、蔑視しているわけではない。基本的には、日本の歯科技工制度の維持と発展を願っている。中国訪問で、見聞を深めたことを糧にしたい、と考えている。なお、この後、川上弁護士の進行協議の報告があった。

(明日につづく)

医科歯科通信記者

長年にわたり歯科界の動きをチェックし、鋭い視線で切り込みます。茨城県出身。(医科歯科通信)

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