「日本歯技」掲載の新春鼎談を興味深く読む。
テーマは「歯科技工士教育の高度化 その先にあるもの」
4年生の歯科衛生士養成機関は8校。
一方、4年生の歯科技工士養成機関は広島大学1校のみ。
来春、東京医科歯科大学4年制へ移行する。
鼎談は日技の中西茂昭会長と広島大学の二川浩樹教授、東京医科歯科大学三浦宏之教授による。
「大学卒業に相応しい評価がされるよう、待遇改善などを日技として人事院に申し入れをしました。当然のことです」中西茂昭会長
「現在、博士課程の設置について文部科学省の審査を受けている段階ですけれど、やはり4年制の上に修士課程、博士課程を積み上げて、我々が口腔工学と呼んでいる学問に関する
博士号を持った人材が輩出され、その人たちが研究職あるいは教育職として大学に残ることによって初めて学術体系として歯科技工が成り立つのだと考えています」二川浩樹教授
「本学では、『知と癒しの匠を創造する』をミッションとして医療人の育成を行っておりうますが、そのなかで歯科技工士教育だけが専門学校として取り残された形になっていました」三浦宏之教授
鼎談内容を概括すると以下である。
○ 技術教育ばかりではなく、人間教育、一般教養も必要。
○ 自分で物事を考えで行動できる、いわゆる自己問題解決型の歯科技工士の育成を目指す。
○ 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士過程の3職を一緒に育てていく。
これはチーム医療を形成する上でとても大切なことだ。
○ 同じカリキュラムの中で、いわば同じ釜の飯を食う、同じ苦労をすることが、これだけで仲間意識を生む。
○ 文部科学省のヒヤリングに際に広島大学の学長が「きっと良い医療人が育つ」と熱弁をした。
○ 東京医科歯科大学では、教養は医学部と歯学部が2年間一緒に授業を受けている。
同級生意識がり、卒業生は非常につながっている。
専門課程での医歯学融合教育が行われている。
○ 将来、医学と歯学の連携連帯意識も涵養され、考え方も大きく変わるだろう。
○ ここ数年、日本歯科技工学会学術大会では、広島大学の4年生の学生がかなりの数の発表をしている。
○ 広島大学4年制の卒業生は、歯科企業、製薬企業、国立研究所に勤めたり、大学の職員になっている。
○ 広島大学では細胞工学を学ばせており、再生医療分野でも人材が育つだろう。
○ 初めて総義歯を入れる人は、口腔周囲の筋や咀嚼筋、表情筋が萎縮xしているので、最初は義歯に適応できない。
リハビリに3か月かかる。
リハビリの一環として可撤性装置が必要。
だから再生医療=歯科技工士がいらなくなるではない。
○ CAD/CAMも高い専門的知識と技術を有する歯科技工士の存在があって存在する。
○ 広島大学では突破口として、光学印象は歯科技工士が採用し、そのデータも歯科技工士が扱い設計を行って方向である。
○ 将来、デンチャーの咬合採得やワックスデンチャーの試適などは歯科技工士がすればいい。
例えば咀嚼能率がどれだく改善されたかという検査・診断は歯科医師が行う。
歯科医師はもっと楽になるべきだ。
○ 業務分担の中で、歯科医院で患者さんと直に接する歯科技工士が誕生してほしい。
○ 広島大学では、医療現場を見るための臨床実習を行っている。
歯科技工士の存在を歯科医師にもみてほしい、そばにいるとこんなに便利なのだということを歯科医師に実感してほしい。
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