国外で作成された歯科医療用補てつ物(入れ歯)等の取り扱いに関する本協会の見解
歯科医療の用に供する補てつ物(入れ歯等歯科技工物)等は、長期間口のなかに直接装着される人工臓器であり、非常に高い安全性が求められてきました。
そのためこれまで国内では、歯科技工士法や薬事法などにより、製作者を歯科医師または歯科医師の指示に従って歯科技工士の有資格者に厳しく限定し、技工所の施設基準や使用される金属・材料のなども厳しく規定され安全性が保たれてきました。
しかし近年、中国など国外で作成された歯科医療用補てつ物等が急増しており、これらは製作者の資格が不明であったり、使用金属材料もチェックされないままになっております一方、輸入ギョウザの薬物混入、歯磨き粉や玩具からの有害塗料検出など健康被害の実例が相次ぎ、安全に対する国民的な関心が非常に高まっております。
こうした事態に対し、国は、「国外で作成された歯科医療用補てつ物を患者に供する場合は、歯科医師が十分な情報提供を行い、患者の同意が必要」(平成17年9月8日・厚労省通達)との指示をしていますが、事実上業者の自主規制に任されている状態であり、安全性の保障が十分とはいえません。
市民の健康と安全を守り、安心して歯科医療を受けることができるようにするには、国外で作成された歯科補てつ物等の品質や安全性確保に向けて、一層踏み込んだ対策が急がれます。
本協会としては、歯科補てつ物等の輸入取り扱いに関する法整備を行うとともに、国外で作成された歯科補てつ物等の品質や安全の確保のために、早急に必要な措置を講じることを求めます。
加えて、現政権の民主党は先の総選挙のマニフェストで、「歯科技工物(義歯)については、安価な輸入品の増加等により、品質管理体制を見直す必要が生じています。
歯科技工物(義歯)のトレーサビリティーの基準を定めるとともに、高い技能を持つ歯科技工士の評価等、技術料や歯科基本料の見直しを検討します」と公約しています。
この早期の実現を望むものです。
青森県保険医協会
会 長 大 竹 進
歯科部長 成 田 博 之
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