何も知らない普通の人たちが山ほどいる

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みんなの歯科ネットワーク設立4周年記念講演から  

  

NPO法人みんなの歯科ネットワークの設立4周年記念講演が5月9日、東京・中央区京橋2丁目の京橋区民館で以下の内容で開かれた。

「医療関係者のための医療政策基礎知識」

権丈善一さん

慶応大学商学部教授

 

 

政治家は学生の就職活動をしなければならない。

この就職活動には、ウソがつきものだ。

そのような利益活動で支援し、投票してもらい政策を作る。

政策とはお金の流れを変えることだ。

政策を展開して便宜をもたらしてあげる。

そのよに民主主義は動いている。

アメリカの経済学者はだいたい、このようは形で議論をしている。

もし投票者が『合理的無知』であったら、意見交換は無限大となる。

しかし、投票をする人たちが勉強をしていたら政治的なキャンペーン効果はゼロであるが、大半の人たちは『合理的無知』なのだ。

私は日本の国の財政が危ないと3年前から話をしてきたが、「誰がこんな者を議論の場につれ来たんだ」という状態だった。

ようやく少し世の中が変わってきた。

「アメリカはそうでも、日本はそうではないだろう」という話であったが、政権交代をして、日本の財政が危ないということが、もろに当てはまるようになった。

昔の政府は少し隠しながらやっていた。

そこで我々経済学者は、仮説で述べていたが、最近は新聞に「こういうモデルで動いている」書いてある。

「それはあんまりだろう」と思われる。

例えば、選挙の争点は一個ではない。

争点は束になっている。

その束がマニフェストになっている。

ここである利益集団にバラマキという政策を展開する。

それを全体ですると、「よくないよね」と分かる。

総論は賛成、各論反対があるが、バラマキ政策は総論反対各論賛成である。

「そのようなことまですると、国がおかしくなるだろう」と言うが、自分がもらうと支持をしてしまう。

争点の束があるので、色々なところへバラマク。

利益が自分のところへくれば、その政策は「よしよし」と支持される。

農家への所得保障、子ども手当てなども、もらう側は政策を支持している。

みんながバラマキ政策を支持すると、最悪のシナリオとなる。

各人は合理的に行動をしている。

その合理的な均衡点が財政の破綻を招く。

政治家はバラマキ政策をやってはいけない、という倫理規定を働かせなければならない。

禁断の果実を求め、国民がそれぞれミクロの利益の方へ向かうと国は破滅の方向へ行ってしまう。

本当は政治家が、「そこまで露骨にやってはいけないよ」と言わなければならない。

やってしまったら、これはもう終わってしまう。

では誰が悪いのかと言えば、私は政治家のあり方だと思う。

囚人のジレンマではないが、最悪のところで均衡してしまう。

現実に現在、最悪なシナリオが展開されている。

そこで、政治家が悪いと言えるかどうかだ。

各政治家グルプの行動のあり方では、単なる利益集団ではなく、世のため人のためと考えていく専門家集団として、どうあるべきかを考えていかないと、非常に難しい問題が起こる。

医療政策、年金政策も利害関係がある。

100%の人に満足という形で政策は生まれていない。

みんなが妥協しながら、ある程度の均衡点という形で政策は決まる。

100%満足はありえない。

不満があるなかで、「まったく新しいものにします」と言うのは禁句だ。

「抜本的に改革します」と言うと全員が賛成をする。

現実があるとしたら、「ここにします。そして、こことここを評価してください」と言うほかない。

ところが、「まったく新しいものにします。それから徐々に改革をします」と年金をまずやった。

2004年からそれをやり始めて、未だに青写真が見せられない。

民主党は、「これまでは野党だったから」と常に言いわけをしている。

しかし、どう考えてもおかしなことを言っている。

「もっと緻密な制度設計をしろ」という支持も出していない。

実際にやったらものすごい反対が出てくる。

誰かが損をしたら、誰かが得をするものなのだ。

次に民主党がやっていくのは、高齢者医療問題だ。

そして、障害者の自立支援策だ。

私が、「それらの政策はおかしいよ」と言ってきたが誰もわからない。

普天間基地問題で、「おかしい」と言ったらようやく分かってもらえた。

「まったく新しいものにします。最低でも県外」と言っても、新しい場所が決まった途端に大変な問題が起きる。

誰かが損して、誰かが得をするという状況になる。

私は、年金でも医療、障害者の自立支援、普天間でもおかしいと言ってきた。

それを証明してくれたのが、普天間だった。

同じ構造を年金、高齢者医療などにも言えるが、青写真を出さない。

「検討する、検討する」と言っているが、政策が出たら大変なことが起こってくる。

ともかく次の選挙までと伸ばしながら、財源については国民に伝えるかどうかで、彼らは争っている。

「伝えたら選挙に負ける」と党にいるグループと「伝えるべき」というグループがある。

21世紀の西南戦争は、西南軍が勝つかもしれない。

本来、政策的に日本の経済、財政、国民の生活を守るために仕事についている人たちがいる。

私もそうだ。

そして、官僚もそうだ。

政治家もそうだ。

何も知らない普通の人たちが、山ほどいる。

普通の人が知らないことを調べたり考えることが、我々の仕事だ。

負担増を実現しなければならないことは分かりきっている。

それがなかなか世の中には伝わらないのが、ここ30年間のプロセスだ。

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