オリンピック選手も定期歯科健診を必ず受けている

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外傷予防にマウスガードという安全対策

  

 健康スポーツ歯科全国指導者講習会から(上)

 

健康スポーツ歯科全国指導者講習会は既報のとおり、1月28日、歯科医師会館7階会議室で開かれた。

歯科領域からスポーツを支援する。

歯科医療領域の拡大が期待されている。

日歯にスポーツ歯科か検討委員会が発足して、ようやく本格的にこの分野が展開していく端緒として期待されている。

箱崎守男委員長を司会・進行に活発な質疑も行われた。

以下概要を紹介する。

<基調講演の要旨>

安井利一・明海大学歯学部教授

我々は患者さんが来ると、どうしても、「どうされましたか?」「何処か、痛いところがありますか?」、「食べにくいところ、ありますか」と聞く。

最初は主訴を聞くのだからそれでいい。

しかし、日常臨床のなかで、「健康のために何か運動していますか?」「スポーツしていますか?」、あるいは子どもたちには、「何かクラブに入っているの?」という問いかけが自然に出てくる。

そのように聞くことから、健康スポーツ歯科医としての理念が始まるのかなと思う。

聞かれた患者さんは、「何で歯科医師が、(歯には直接関係のない)そのようなことを聞くのか」と疑問に思う。

そこから、健康スポーツ歯科について啓発し、広めていっていただくことも大事である。

実は歯科には(齲蝕治療・虫歯、歯周病の治療以外)別の役割がある。

スポーツを通じて健康をつくるなかで、歯科がもっている力についてよく理解をしていただく。

「咬み合せがしっかりしているから、したがってあなたは体がよく動いているのだ」という話をちゃんとしていただく。

健康寿命の延伸、あるいはQOLの向上に、実は歯科医師が大きく関わっており、健康スポーツの分野でも力をもっていることを分かっていただく。

また、健康スポーツ歯科を通じて、顎顔面外傷予防と安全対策・安全意識(安全教育)の向上に寄与している。

私たちはマウスガードという安全対策があり、この普及、啓発については、日本スポーツ歯科医学会(1990年設立)として、日本スポーツ振興センター、文部科学省を通じて教育をもって、できるだけ広めるように努力をしている。

このために日本歯科医師会にも色々と助けていただいている。

日本には独特の文化があり、スポーツ選手はゲガをして一人前、そのような伝統みたいなものが昔からある。

 1987年ころ私がスポーツ現場へ行くと、壁には根性、努力しか書いていなかった。

コーチに、「前歯がかけていますが、この選手は大丈夫ですか?」と尋ねると、「それで一人前なんですよ」というような言い方をされた。

歯科医師がいながら、前歯が折れたまま放置されているのは、耐え難いと思った。

これは何とかしなければ、という思いもあった。

また、学校歯科医の領域もあった。

昔は子ども同士がぶつかり、歯が欠けた、歯が折れた場合でもあまり大きな問題にはならなかった。

最近ではそれが大きなトラブルになっている。

結局、ケガをするのは子どもである。

ケガは高校生が一番多いが、小学校、中学校でも起こり、歯冠修復をしてレジン充填ですんだが、それでは納得しない親がいる。

私も何度か学校から相談を受けたが、子ども、親もケガを予防することに関心を持たなければならないと思う。

しかし、日本には安全教育の題材が少ない。

交通安全、生活安全、災害安全があり、子どもたちにどうのようにその心構えを教えるかが非常に大きな問題となっている。

安全は自分の身を守ることなのだと学校安全教育で教える。

「病気ばかりではなくアクシデントとしての外傷で、健全歯を失ってしまう」そのことは子どもの心の傷、気持ちとして残ることはまずいと考えている。

現場の第一線の先生方が、理解をしていただくと、マウスガードはもっと早く広まると思う。

患者さんのなかには、スポーツをやっている子どもやアマチュアのスポーツ選手もおられるかもしれない。

そこで健康スポーツ歯科医としての理念のなかで、何をしてあげられるのか。

どのようなサポートをしてあげられるのかが重要なところであると思う。

最近は、各競技団体へ行っても歯科医師が頑張っており、その関わりは増えている。

そのようは現場では競技団体の健康管理は優れているし、スポーツパフォーマンスにもプラスになることを理解している。

スポーツは心技体のバランスをとっていくことが大切である。

そこにぜひ、健康スポーツ歯科医がサポートをしていただきたいと思っている。

オリンピック選手も定期歯科健診必ず受けている。

プロの歯科医から「大丈夫だよ」と言われた安堵感は大きいと思う。

また、筋力、重心動揺が咬合と大きく関係がることは分かっている。

その意味で、いい選手を長続きさせる、そのようなサポートは、普段の『かかりつけ歯科医』でやってもらうのが一番いいと思う。

今後ともスポーツ選手が、かかりつけの先生をつくって、定期的に診てもらった方がいいよという指導をわたしたち日本スポーツ歯科医学学会、あるいは歯科大学(歯学部)は、啓発活動を展開するが、これをぜひ都道府県歯科医師会の先生方を通じて、発信をしていただきたいと思う。

健康スポーツ歯科の役割は、講習会のテキスト(製作:医学情報社)に書いてある。

1)     スポーツによる住民の健康・安全づくりを支援する。

健康寿命の延伸(生涯スポーツへの支援)、(寝たきり防止への支援)。

転倒予防の支援(安全づくり支援)。

2)     顎顔面口腔領域でのスポーツ外傷を予防する。

学齢期からの安全支援(安全教育への支援)、(課外活動・スポーツクラブ等への支援)

マウスガードの支援(適切なマウスガード作製の支援(マウスガード啓発への支援)

3)     スポーツ競技力の維持・向上をサポートする。

咬合と競技力(咬合管理への支援)、(かかりつけ機能の強化)

競技種目と咬合特性。

咬合挙上・接触面性と競技力。

歯科疾患、咬合が自分の競技にまさか影響する、とういうことを競技者は分かっていない。

それに対する国民への啓発が、非常に重要であると思っている。

安全教育として、若いうちから自分の身をケガから守るためにマウスガードが普及していけばいい。

これについては、開業されている先生方から機会があるごとに地域で、あるいは学校で啓発をしていがだきたい。

そしてスポーツを愛好しているアマチュアに、如何に自分がもっているパフォーマンスを出し切るか、そこに咬合が重要なのだと分かっていただければいいと思っている。

昔は、虫歯がなければ、それでいいんだと思っていたがアスリートもいた。

現在は、この咬み合せで自分は大丈夫なのか、この咬み合せでベストが出せるか、というところまで選手の関心いく。

そのためには、歯科医師が長期にわたりその選手を診てあげることだ。

単発的に来てすぐに咬み合せはわからないので、かかりつけの先生に継続的に診てもらうことが必要になる。

 

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