がん患者への歯科治療「がん患者歯科医療連携合意書」

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国立がん研究センターと日本歯科医師会

 

国立がん研究センターと日本歯科医師会は8月31日、がん患者への歯科治療「がん患者歯科医療連携合意書」を調印した。目的はがん治療にともなう口腔内の合併症軽減。9月からがん患者への歯科治療に関する歯科医向けの講習会を各地で開催する国立がん研究センターは、がん治療前の患者に講習会を受講した歯科医院への受診を勧める。歯科医師向けの講習会は9月から12月まで関東地方の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県で順次実施する。受講した歯科医に「修了証」を発行する。がん患者は手術や抗がん剤治療、放射線治療の影響で唾液が減るなど、免疫力が低く口内炎が重症化してしまうなど口腔内の疾患が発生しやすい。このため、がん治療前に歯周病の治療や口腔ケアなどを行こなう。歯科医向け講習会では、がん治療と口腔ケアの関係を周知させる。国立がん研究センターと日本歯科医師会は来年度をメドに全国のがん治療の中核施設に拡大する考えだ。2013年度には全国のがん拠点病院(現在約370施設)にも地域の歯科医と連携する事業を開始する予定だ。がん治療の分野で注目される口腔ケア。2006年5月から、静岡県立静岡がんセンター、静岡県歯科医師会、サンスターは共同で、「がん治療における口腔合併症の予防、軽減するための共同研究」を行っている。

 

<参考>がん治療と口腔ケア。一見、何のつながりもないようですが、最近、そこには密接な関係があることが分かってきました。がんの治療法のなかでも、口にもっとも影響を及ぼすと言われているのが、抗がん剤治療です。10数年前から、がん細胞を集中的に攻撃し死滅させる、効果の強い抗がん剤が使われるようになっています。そのなかでも、とくに口や食道など、食事の通過部位である消化器系のがんには、粘膜のがんを集中的に攻撃する抗がん剤が使われることが多くなっています。そうした抗がん剤は、がん細胞のまわりの、正常な細胞も攻撃してしまいます。そのため、強い抗がん剤が始まると、抗がん剤の作用で強い口内炎(口腔粘膜炎)や、味が分からなくなる味覚障害など様々な口のトラブルに苦しむ患者さんが増えてきました。また抗がん剤の影響で唾液をだす細胞が障害をうけると、唾液が少なくなり、口の中も乾いてきます。通常、口の中の健康は唾液の持つ様々な機能によって守られているので、これが少なくなれば、口の中のばい菌が繁殖しやすくなります。さらに抗がん剤治療中は体力も落ちていますから、それまで気がつかなかった虫歯や歯槽膿漏が、一気に進んでしまうことも少なくないのです。さらに、口の中のばい菌が口内炎の部分から全身にひろがると、熱が出て、体力もさらに消耗してしまいます。そのような場合、ばい菌の増殖をおさえる抗生物質の投与が必要になりますし、重症になると、がんの治療を一時的にストップすることもあります。こうしたトラブルを防ぐため、米国では抗がん剤治療や、口の周りに放射線治療を受ける場合は、治療を開始する前に、歯や歯肉の病気をまず治療するという意識が一般的になっています。がん治療に入る前に、歯科医師と相談して虫歯や歯槽膿漏など、トラブルが生じそうな箇所を歯科的に治療しておく。日本でも、最近やっと、がん治療におけるそうした口腔ケアの重要性が注目されてきたところです。

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