うつ病になった勤務歯科医師に聞く

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その歯科医師は、千葉県松戸市の歯科診療所に勤務していた時のことを、ためらいながら語った。

「うつ病で、3年ほど仕事が出来ない状態でした」

—原因は?

「6年前のことですが、勤務していた医院が出来高制で、歯を削れば削るほど収入になっていました」

—歯科大学・歯学部の教育にはありませんね

「そうなんですが、あくまでノルマで、月の売上げを経営的にはこれくらい出すように言われていました」

—具体的には?

「院内ラボ(歯科技工)もあり、ブコーヌスをやっていましたが、きちんとラボで作っても、なぜ分からないのですが、直ぐに割れてしまうのです。咬合もよく分からなかったからかもしれません」

(コーヌスクローネとは維持装置としてクラスプ(バネ)を使わず、2重構造でできた冠を 使った嵌め込み式の機構を用いた義歯のことである)

—患者側の立場からは、問題ですね

「そうなんです。これでいいだろうと、一生懸命やったのですが、それでもコーヌスが壊れるのです。高いお金を払っているので、患者さんには何かミスがあったのだと文句を言われるです」

—他の勤務医の対応は?

「私は口下手でしたので、謝るだけですが、先輩の勤務医は、患者さんの性にするんです。

噛み方に問題があるとか、口腔清掃が悪るいからだとか」

—なるほど・・・・

「それで、気が滅入り、夜眠れなくなりました。夜中の12時に寝て、午前1時に目覚めて、そのまま眠ることができなせん」

—それは、辛いですね

「歯を削りたくないのに、削るのが辛く、やがては手が震えるようになりました」

—それでは、歯科治療はできませんね

「そうなんです。手にするのはタービンですから危ないです。ある時、朝起きようとしたら、体が動かないんです。病院へ行き、血液検査をしたのですが、何でもないんです」

—精神的な問題なのですね

「うつ病です。明日も歯を削るのか、嫌だなと思うと、眠れなくなる。朝を迎えると体が重い。集中もできない、ふらふらになります。一方、先輩の勤務医たちは、歯を削っても平気なのです。コーヌスが壊れても、『ストレス社会ですからね、寝ていて歯ぎしりをしたんですね。咬合に問題があるとコーヌスは壊れます』と言うんです」

—その状態(うつ病)は、どのくらい続いたのですか?

「3年間です」

—年齢は?

「33歳から35歳の間でした」

—ところで、松戸の歯科診療所に勤務する前は?

「東京歯科大学を24歳で卒業して、千葉ニュータウンの歯科診療所に勤務していました。そこで5年間勤務してから、保険診療以外の歯科治療をしよう。人に相談したら、自費をメインにしている医院があると松戸の歯科診療所を紹介されました」

—今、振り返ってどうですか?

「松戸の前は、3年間分院長をやっていて、先生、先生といわれ、いい気になり自分はそこそこにできる、と思っていたのですが、自分はまだまだ歯科医師として未熟だったことを思いしらされました。

偉い先生に聞いても結論が出ない問題もありました。

咬合の問題を含めて、勉強が足りなかったと痛感させられました。

テクニカルエラーであるのことは分かっていたのですが、対応できなかったのです」

—具体的には?

「噛めているはずなのに、患者さんが噛めない、噛めないと訴えてくるのです。

あるいは、直ぐにコーヌスが合わなくなってくるのです。

ミスはないとやっていますからね」

—ミスがないことが、ミスですか?

「そうかもしれません。そのために、歯を削ってしまったわけですから・・・削った歯はもう元には戻りません」

—噛めないのは事実ですね

「治療できると思っていた先輩の勤務医の先生は、患者が神経質なんだ。噛めないわけがない、と言うんです。専門家が言うんだからと患者さんは諦めていました」

—現在は?

「企業内歯科診療所に勤務しています。これは言いづらいことですが、モンスターペイシェントの問題もあり、一般の歯科診療所には勤務したくない心境ですね」

(いわゆるモンスターペイシェントとはクレーマーを指す。

ごり押しによる不当な脅迫的な 行為だ。

困った患者を通り越し、治療の妨げとなり、究極的には医師やスタッフをうつ 状態にし、就業不可能にさせることさえある。

ごり押しによる不当な脅迫的な 行為だ。

困った患者を通り越し、治療の妨げとなり、究極的には医師やスタッフをうつ 状態にし、就業不可能にさせることさえある。)

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