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デジタルデンティストリーの進化は、歯科医療の質の向上にとどまらず、医院経営にも大きな変化をもたらし始めている。特に複数チェアを運用する歯科医院にとっては、診療効率、スタッフ教育、設備投資といった複数の経営課題に関わる重要なテーマといえるだろう。
今回は31台のチェアを運用する安藤先生に、デジタル化によって実際に起きた変化や、その活用による経営面への影響について話を伺った。

デジタル化は「つながってこそ価値になる」 ― 31台のチェアを運用する医院に見るコネクテッド・デンティストリーの実践 ―

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デジタルデンティストリーは、もう特別なものではない

Dentwave編集部:安藤先生がデジタルデンティストリーを活用するようになった背景を教えてください。
安藤先生:私は勤務医の頃から開業後しばらくまでは、いわゆる従来型のアナログ治療を行っていました。印象材を使用する一般的な方法ですね。
ただ、ここ数年で研究データやエビデンスがかなり蓄積されてきたこともあり、若い先生からベテランの先生まで、「デジタルデンティストリー」という言葉自体を普通に使うようになってきたと感じています。
以前は、一部の先進的な医院が取り組むものという印象もあったと思いますが、現在では臨床の選択肢の一つとして自然に受け入れられてきているのではないでしょうか。
私自身も、今では臨床の中でデジタル機器を使用する場面はかなり増えています。特別な技術というよりも、日常診療の中で当たり前に使うものになってきたという感覚がありますね。

来院回数を減らせること自体が患者さんの価値になる

Dentwave編集部:デジタル化による変化はどのような点で感じていますか。
安藤先生:一番大きいのは、やはり治療期間と来院回数の短縮だと思います。
例えば、遠方から来院される患者さんの場合、通院だけで2時間程度かかるケースもあります。そうなると、来院回数が多いこと自体が患者さんの負担になってしまいます。
そのため当院では、初回来院の時点でCT、口腔内スキャン、フェイススキャンなど、取得できるデータは可能な限り当日に取得するようにしています。
そして、それらのデータをデジタル上で統合して治療計画を立てることで、症例によっては翌日に手術が可能になるケースもあります。
もちろん、従来の方法でも同様の治療結果は得られていたと思います。ただ、デジタル技術を活用することで、そこに至るまでの期間を短縮できるようになった点は大きな変化です。
同じ結果が得られるのであれば、患者さんにとって時間的負担が少ない方が望ましいはずです。この点は非常に大きなメリットだと感じています。

教育と診療品質の標準化にもつながる

Dentwave編集部:教育面でのメリットはいかがでしょうか。
安藤先生:教育の面でもメリットはあると考えています。
例えば口腔内写真には5枚法や9枚法がありますが、規格性を持って撮影するためには一定のトレーニングが必要になります。
一方、オーラルスキャンは立体データとして記録でき、視覚的にも非常に分かりやすい特徴があります。また、撮影技術への依存度という意味でも比較的少ないのではないかと感じています。
そのため、ドキュメンテーションの観点でも有効ですし、患者さんへの説明時にも、その場の状態を直感的に理解してもらいやすいというメリットがあります。
教育という視点で見ても、「誰が取得しても一定の情報が得られる」という点は非常に大きいと思います。診療品質の標準化という意味でも価値があるのではないでしょうか。

大規模医院ではクラウド連携の恩恵は大きい

Dentwave編集部:31台のチェアを運用する中で感じるメリットはありますか。
安藤先生:当院は開業して13年になりますが、現在は31台のチェアを運用しています。
従来型の機器の場合、単純に台数を増やそうとするとコストやスペースの問題が出てきます。しかし、クラウドベースのシステムになることでデータ共有が容易になる点は大きなメリットだと感じています。
例えば、チェア間の移動もスムーズになりますし、別のユニットでもすぐに患者さんのデータを確認できます。その結果、スペース効率や設備コストの面でもメリットが出てくると考えています。
一方で注意点としては、やはりネットワーク環境の重要性があります。Wi-Fi環境だけでなく、使用するデバイスの性能によっても処理速度が変わることがあるため、こうした点も含めて環境整備を行うことが重要だと考えています。

ワンビジット治療の可能性も見えてきている

Dentwave編集部:ミリング機器についてはいかがでしょうか。
安藤先生:CEREC Primemill Liteについては、従来機と比較して導入しやすい価格帯だと思います。また加工スピードも速く、症例によっては20分程度で形になることもあります。
そのため、今後は保険診療の中でもワンビジット治療が可能になる可能性もあるのではないかと感じています。
加工時間の短縮は、医院側の効率向上だけでなく、患者さんの負担軽減にも直結します。そういった意味でも価値のある機器ではないかと考えています。

今後は「コネクテッド」という考え方が重要になる

Dentwave編集部:今後の可能性について教えてください。
安藤先生:デジタルデンティストリーの恩恵は、多くの先生方がすでに実感されていると思います。
その中で、今後は「コネクテッド」という考え方がさらに重要になってくるのではないでしょうか。
クラウド上でデータを一元管理することで、将来的にはAI活用などもさらに進んでいく可能性があると思いますし、自由診療・保険診療を問わず、デジタル技術が活躍する場面は今後さらに増えていくのではないかと考えています。

編集後記

今回の取材を通して印象的だったのは、デジタル技術の導入そのものが目的ではなく、それらをいかにつなぎ、診療と経営の両面で価値を生み出していくかという視点であった。
歯科医院のデジタル化は、CT、口腔内スキャナー、CAD/CAM、クラウド管理など、個別の技術単位で語られることが多い。しかし、それぞれを単独で導入するだけでは、必ずしも医院全体の効率化につながるとは限らない。
その点、安藤先生の取り組みは、取得したデータをクラウド上で統合し、診療フロー全体の中で活用することで、治療期間の短縮、診療効率の向上、教育の標準化といった複数の価値を同時に実現している点に特徴があった。
個々のデジタル機器を導入する時代から、それらをどう接続し、どう診療価値へ転換していくかという時代へ。歯科医院のデジタル化は、単なる設備投資の段階から、医院全体の生産性を高める経営戦略の領域へと移行しつつあるのかもしれない。
今後は「何を導入しているか」ではなく、「それらをどうつなぎ、どう活用しているか」が、医院の競争力を左右する重要なポイントになっていくのではないだろうか。
(Dentwave編集部)

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