「STP分析」を活用してマーケティング戦略の基本を抑えよう

「STP分析」を活用してマーケティング戦略の基本を抑えよう
2021年2月24日
今回は、「STP分析」を活用したマーケティング戦略の打ち出し方の基本を解説します。

◆STP分析とは
 STP分析とは、戦略策定のフェーズにおいて活用される分析手法です。
 Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)、Targeting(ターゲティング:狙う市場の決定)、Positioning(ポジショニング:立ち位置の明確化)の3つの観点で分析を行うことから、それぞれの頭文字をとって“STP”分析と呼ばれています。

◆STP分析の目的
 STP分析の目的は、自社の商品・サービスを最も必要としている顧客層を特定し、自社の優位性を発揮できる立ち位置を明確にすることで、効率的に自社の商品・サービスの販売を実現することです。
◆STP分析の方法・ポイント
 STP分析では、3C分析等の他の分析手法と同様、“圧倒的なユーザー目線”がポイントです。また、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの要素は非常に関連性が高いので、分析の順番には固執せず、それぞれの要素を行ったり来たりしながら、分析を進めることもお薦めです。

<Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)>
 セグメンテーションでは、①属性データ(売上規模、従業員数、治療分野、エリアなど)、②購買データ(購入の経験、動機、頻度、用途など)、③行動データ(商談履歴、ウェビナーへの参加履歴、メルマガの開封履歴・クリック履歴など)などの視点で市場を切り分けていくと良いでしょう。
 ①~③の指標でセグメンテーションを行うには、該当するデータを取得する必要があり、歯科業界の構造上、特に②・③のデータは取得するために一工夫が必要です。以下では具体的なデータの取得方法をご紹介します。

①属性データ(売上規模、従業員数、治療分野、エリアなど)
→費用対効果を加味し、情報の収集方法を決定
・帝国データバンクやアールアンドディー等よりリストを購入
・ネットリサーチを通じてクリニックHP等から情報を収集 等

②購買データ
→アンケートやインタビュー等を通じて直接的にユーザーに接触し、データを取る
・自社の既存ユーザーや競合のユーザーに対して、アンケート調査やインタビュー調査を実施 等

③行動データ
→商談やウェビナー開催、メルマガ配信等、ユーザーへの直接的な働きかけからリアクションを拾う
・商談の実施
・ウェビナーの開催
・メルマガの配信 等

< Targeting(ターゲティング:狙う市場の決定)>
 ターゲティングでは、セグメンテーションで「分けた」市場を、「絞る」作業を行います。セグメンテーションで分けたグループの“かたまり”に対して、狙う“かたまり”の優先順位付けを行います。
 優先順位付けにあたっては、まずは実際に取引が発生しているクライアントの傾向値を探り、既存ユーザーの共通項から購買可能性の高い顧客セグメントを推察することがポイントとなります。その際に、定量的なデータ(属性データや購買データ、行動データ)と定性的なデータ(ユーザーからの声や営業担当者の肌感覚)の両方を加味することで、よりターゲティングの精度を高めることができます。
 また、セグメンテーションでご紹介した3つの指標を個別に活用するのではなく、複数の指標を掛け合わせることで、よりターゲットとなる顧客層を具体的にイメージすることが可能です。
(例)売上○億円以上のクリニック → 売上○億円以上の○○を専門としたクリニックで、○○を導入しており、○○へ参加履歴のあるクリニック

< Positioning(ポジショニング:立ち位置の明確化)>
 ポジショニングでは、セグメント内の競合の商品・サービスを踏まえ、自社の立ち位置を決める作業を行います。自社の立ち位置を決めるうえでは、競合と比較するための「評価軸」を何に設定するかという点が重要です。購買者は価格や品質等、様々な要素の比較から最終的な購入の意思決定を行っておりますが、その中でも購入の意思決定への影響度が高い要素を特定し、その要素を評価軸に盛り込むことがポイントとなります。
 競合の存在の有無、存在する場合はどんな企業で強み・弱みは何なのか、という点をきちんと整理したうえで、自社が勝負できるポジションを探すことがポジショニングの基本です。レッドオーシャンやブルーオーシャンという言葉は、まさにポジショニングのお話しです。但し、注意しなければならないのは、競合との比較の中で、ブルーオーシャンに見える領域であっても、過去に多くの企業がチャレンジしたものの、市場が育たなかった(ニーズが存在しなかった)領域である可能性がある点です。競合や自社の視点だけでは、その市場にニーズが存在するのかどうかという顧客視点が欠如してしまうため、やはり“圧倒的なユーザー目線”を持つことが大切になります。
 また、より細かな分析を行うために評価項目を増やし過ぎてしまうと、かえってデータが複雑になり、本質を見落としてしまう可能性があります。複数の評価軸を基に比較を行う際は最大でも3~4つ程度の指標が望ましいでしょう。
◆まとめ
・セグメンテーションでは、①属性データ、②購買データ、③行動データなどの指標を基に切り分ける
・特に②購買データ、③行動データを活用するには、自らデータを取得しに行くためのアクションや仕掛けが必要
・ターゲティングでは、既存ユーザーの傾向値から購買可能性の高いセグメントを特定し、定量データ・定性データの両面から検証することがポイント
・ポジショニングでは、競合や自社の視点だけでなく、その市場にニーズが存在するのかどうか、という顧客視点が必要

 改めてSTP分析を通じて、自社のマーケティング戦略を整理し、現在取り組んでいるプロモーションの施策やユーザーへ発信しているメッセージの見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
 戦略を体系的に整理することでより一層、ユーザーに刺さるマーケティングが実現できるかもしれません。


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