「SWOT分析」・「クロスSWOT分析」を活用して具体的な戦略を打ち出そう

「SWOT分析」・「クロスSWOT分析」を活用して具体的な戦略を打ち出そう
2020年12月10日
今回は、「SWOT分析」・「クロスSWOT分析」を活用した戦略の打ち出し方について解説します。

◆SWOT分析とは
 SWOT分析とは、環境分析のフェーズにおいて活用される分析手法です。
 Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの観点で分析を行うことから、それぞれの頭文字をとって“SWOT”分析と呼ばれています。

◆SWOT分析の目的
 SWOT分析は、「内部環境」と「外部環境」の2つの観点から、市場機会や事業課題等の現状を把握するために用いられるフレームワークです。
 特に自社の強み・弱みは、市場環境や競合他社の動向を踏まえ、相対的に判断すべきものであるため、「内部環境」だけでなく、「外部環境」を把握し、整理することが重要です。
◆SWOT分析の方法・ポイント
 SWOT分析では「外部環境」のOpportunity(機会)、Threat(脅威)の分析を行った後に、「内部環境」のStrength(強み)、Weakness(弱み)の分析を行うことがポイントです。
 「外部環境」を先に整理することで、自社にどのような影響を及ぼすのかという視点で「内部環境」の分析もスムーズに行うことが可能です。

<Strength(強み)>
 市場環境や競合他社の動向を踏まえた自社又は事業の優位性や、顧客が自社のサービス・製品を選んでくれている理由等の分析を行います。固定観念を捨て、フラットな視点で考えることが必要です。

< Weakness(弱み)>
 市場環境や競合他社の動向を踏まえた自社又は事業の弱みや苦手なことを分析します。ヒト・モノ・カネのリソースやビジネスモデル等の観点から、洗いざらい要素を抽出することが重要です。

< Opportunity(機会)>
 自社のビジネスにポジティブな要素をもたらす市場環境の変化や競合他社の動向等を分析します。小さなチャンスも見落とさず、機会を活かして自社のビジネス拡大に役立てていく発想が重要です。

< Threat(脅威)>
 自社のビジネスにとって脅威となり得る市場環境の変化や競合他社の動向等を分析します。自社の努力によりリスクヘッジができるものと、できないものがありますが、特に自社でリスクヘッジができる領域において、脅威を把握し、早期に戦略の軌道修正を行うこと重要です。
◆クロスSWOTの目的
 SWOT分析を行うのみでは、単純に各項目における要素を抽出することに留まってしまい、抽出された要素から戦略をイメージすることは難しいです。そこでSWOT分析の4つの観点を掛け合わせた「クロスSWOT分析」を行うことで、戦略に直結する施策を導出することが可能になります。
◆クロスSWOT分析の方法・ポイント
 クロスSWOT分析では、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つを掛け合わせて、戦略の方向性や取り組みの優先順位を導出します。
各要素を掛け合わせると、以下の4つの戦略に分類されます。

・ Strength(強み) × Opportunity(機会):積極化戦略
 自社の強みを活用できるチャンスが到来している、最も優先順位が高い、自社にとっての最重要戦略となります。チャンスを最大限活かし、市場シェアを一気に拡大するための積極的な施策を検討することがポイントです。

・ Strength(強み) × Threat(脅威):差別化戦略
 自社の強みを活かし、脅威によるネガティブな要素を乗り越えていくための施策を検討します。特に競合他社と差別化できるポイントを明確にし、ピンチをチャンスに変えていく発想を持つことがポイントです。

・ Wekaness(弱み) × Opportunity(機会):段階的戦略
 機会を利用し、自社の弱みを段階的に克服していくための施策を検討します。弱みを理解したうえでチャレンジすべきなのか、又は静観の対応をとるべきなのか、都度判断が必要となりますが、自社にとっての機会を逃すことがないように状況を見極めることが重要です。

・ Wekaness(弱み) × Threat(脅威):専守防衛・撤退
 自社の弱みと脅威の掛け合わせによる最悪の事態を免れるために、事前の防衛策やリスク極小化のための施策を検討します。大きな損失を防ぐために、状況次第では事業そのものを撤退する判断も必要となります。
◆クロスSWOT分析の例
 実際に歯科関連企業におけるクロスSWOT分析の一部をご紹介します。
(2020年10月28日開催 withコロナ時代の歯科医院への効果的なアプローチ方法を考える vol.2ウェビナー資料より抜粋)

◆まとめ
・SWOT分析は「外部環境」の分析を行った後に、「内部環境」の分析を行うことがポイント
・特に自社の強み・弱みは相対的に判断すべきものであるため、「外部環境」を正確に把握することが重要
・クロスSWOT分析は、実際の戦略に直結する施策を検討するために有効

 改めてSWOT分析を通じて、外部環境・内部環境を整理し、自社が掲げている戦略の確認、見直しや新たな施策の検討に役立ててみてはいかがでしょうか。
 クロスSWOT分析を通じて、今現在取り組んでいる業務が、どの戦略の、どの施策に基づいたものなのかを体系的に整理・理解することで、より一層、事業展開スピードの向上や各局面における判断の精度向上に寄与するはずです。


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