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2013/10/24

第8回 組織工学的手法による歯の再生-その4-

 今月は、前回までに紹介させていただいた研究結果の考察をさせていただきたいと思います。この組織工学的な手法を用いた実験は、ブタの歯冠形成期の歯胚組織から取り出した歯胚上皮細胞群と歯胚間葉細胞群を担体の中で混合させて、ヌードラットに移植すると歯の組織が再生できることを見出しました。

 この結果は、歯冠形成期の歯胚組織中に歯を作る能力を持つ未分化な細胞が存在していることが示されたことになり、大きな意義があると思います。次に、その歯の再生過程を観察すると、天然の歯と同じように歯の再生にも上皮細胞と間葉細胞の相互作用が必要なことがわかりました。

 特筆すべきこととして、今までの研究では歯髄細胞から象牙質が再生することは、すでに報告されていましたが、エナメル質は未報告でした。したがって、上皮細胞からエナメル質が再生できたことは、歯科再生学の中でも大きな発展であり、部分的に欠損したエナメル質を再生エナメル質で修復するような技術にも大きく貢献できるのではないかと期待しています。

 われわれが目指す歯の再生研究の最終ゴールは、臨床に応用できる技術を開発することです。私も歯科医師の一人として、何とか実現したいと考えています。しかし、歯胚組織の細胞からほとんどの歯の組織を作れることはわかったのですが、やっとスタート地点に立つことができたともいえます。なぜなら、多くの問題点が残されていることが、前回の写真でもお分かりになるのではないでしょうか。

 では、どのようにして、現地点からゴールまでたどり着けばよいのでしょうか?はじめに、この研究で派生した解決すべき問題点について考えていきしょう。まずは、問題点を挙げさせていただきます。1、再生歯の形態が天然歯と同様な適切な配列で再生する割合は約10%と低いこと。 2、ひとつの担体の中で数個の組織が再生すること、3、第1の問題点と類似しますが、歯冠と歯根が同時にひとつの担体の中にできること、4、再生する歯の大きさが2-3mmと小さいということ、5、移植部位が大網ということで、顎の骨に移植した場合のことがよくわからないこと、そして、最後に、移植してから象牙質ができるまでに、約20週、エナメル質ができるまでに約25週と長期間必要であるということです。

 さらに、この問題点は歯胚組織の細胞から再生した歯の結果から生まれたものであり、歯胚組織を持たない場合には、それに変わる細胞源を探す必要があります。つまり、歯胚が無い場合にこの方法は用いることはできません。

 現在、われわれの研究室では、歯胚細胞からの歯の再生技術を確立するために、上記に述べた問題点を解決すべく研究を進めています。次回からは、現在、取り組んでいる研究についてご紹介させていただきます。

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